2017年7月28日6:55
スタンプや「LINEポイント」「LINE Pay」を活用し、LINEらしいサービス展開で利用拡大を図る
LINEは、夢の街創造員会が運営する日本最大級の宅配ポータルサイト「出前館」と業務提携し、2017年7月26日より、「いますぐどこからでも」をコンセプトに、デリバリーサービス「LINEデリマ」をスタートした。新たなアプリをインストールする必要なく、LINEアプリ上から、全国1万4,000店舗のフードメニューを検索・注文することができる。注文によって「LINEポイント」が付与され、貯まったポイントは出前注文の際に使ったり、決済・送金サービス「LINE Pay」やスタンプ購入に使える「LINEコイン」と交換したりできる。また加盟店の多くでは、「LINE Pay」の利用が可能だ。LINEでは今後、フードだけでなく、生鮮食品や日用雑貨、医薬品など、さまざまなカテゴリーの商品をデリバリーするサービスの提供も検討している。
全国1万4,000店舗のフードメニューをLINEアプリ上から気軽に検索・注文
スマホの普及に伴い、WEBサイトやアプリを介した出前注文が増える中、LINEは、夢の街創造委員会が運営する日本最大級の宅配ポータルサイト「出前館」と業務提携を行い、2016年7月より、LINE公式アカウントから出前の注文ができるサービス「出前館 on LINE」を展開してきた。この実績を踏まえ、2017年7月26日、「いますぐどこからでも」をコンセプトに、デリバリーサービス「LINEデリマ」をスタート。同日、記者発表会を行った。
「LINEデリマ」では、新たにアプリをインストールする必要なく、LINEアプリ上から、全国1万4,000店舗のフードメニューを検索・注文することができる。検索機能では、サービス内の「ジャンル検索」「エリア検索」「店舗名検索」に加え、公式アカウントのチャットに「ピザ」「寿司」などの単語を入力することによって配達可能な店舗一覧などを呼び出すこともできる。
記者発表会冒頭の主催者代表あいさつで壇上に立ったLINE 代表取締役社長 CEO 出澤剛氏は、「単に注文できるというだけでなく、スタンプやLINEポイントを活用したキャンペーンなどLINEらしいサービス展開によって、出前の楽しさ、便利さを伝えていきたい」と抱負を述べた。
「LINEポイント」が使える、貯まる
フード以外へのジャンル拡大も検討中
「LINEデリマ」では注文によって、カクヤスを除くすべての店舗で、注文金額に応じた「LINEポイント」を受け取ることができる。貯まったポイントは出前注文の際に一部の店舗で1ポイント=1円として利用できるほか、「LINE Pay」やスタンプ購入などに使える「LINEコイン」と交換することができる。また、「LINE Pay」での決済が可能な加盟店も多い。
今後の展開としてLINEでは、ユーザーの利用履歴や属性などからおすすめ商品をプッシュ通知する機能や、ランキング機能、位置情報を用いて公園やイベント会場など住所が不明確な場所へのデリバリーも可能にする機能の追加を予定している。
フードのデリバリーは各加盟店が自前の配達員により行うのが基本だが、夢の街創造委員会では、デリバリー機能を持たない店舗も参加できる「シェアリングデリバリー」というサービスをテスト展開中。主に新聞販売店が拠点となり、周囲の20~25店舗をカバーし、デリバリーを代行する。LINEではこの仕組みを活用して「生鮮食品、日用雑貨、医薬品などフード以外のデリバリーにもサービスを拡げていきたい」(LINE 執行役員 藤井英雄氏)と将来の構想を語る。
LINEを入り口に幅広い層にリーチ
特に女性層に好反応
LINEにとって夢の街創造委員会と連携することには、「出前館」の加盟店ネットワークと運営ノウハウを活用できるというメリットがある。一方、夢の街創造委員会にとっては、LINEの広大なユーザー基盤にアクセスできるメリットがある。
「出前館は目的があってアクセスするユーザーがほとんどなので、もともとコンバージョン率、リピート率が非常に高いのです。LINEを入り口にすることによって幅広い層にリーチできる代わりに、コンバージョン率は下がると思っていたのですが、ここへきてかなり上がってきています。リピート率にいたっては、従来の出前館の顧客層と同レベルまできています」(夢の街創造委員会 代表取締役社長 中村利江氏)
通常の「出前館」では、利用者の女性比率が55%なのに対し、「LINEデリマ」に先がけ実施してきた「出前館 on LINE」では、利用者の72%が女性であった。これは、LINEとの連携によって、新しい顧客層にリーチできたことの1つの証明と言える。
2017年3月からLINE、および、夢の街創造委員会と連携して、東京・恵比寿店でシェアリングデリバリーのテストを開始し、現在では10店舗で導入している吉野家 代表取締役社長 河村泰貴氏も、多くの女性客にリーチできていることに手応えを感じている。
「来店者は男性が8割なのに対し、デリバリーでは女性比率のほうが高くなっています。デリバリーを開始したことで、二重の意味で、新しいビジネスチャンスを獲得できたと感じています」(河村氏)
注文がオンライン経由であることと、商品を手渡すのが配達員というだけの違いで、店舗側のオペレーションはテイクアウトと何ら変わらないので、負荷は増えていないという。
LINEでは今後、性別、年代層にかかわらず全方位に向けて、デリバリーの可能性を模索していく考えだ。