2021年1月19日19:07
ジェーシービー(JCB)は、ブロックチェーン技術を提供する合同会社Keychainと、 Machine to Machine(M2M)領域におけるマイクロペイメント向け決済インフラに関するソリューションを開発し、実証実験を開始した。
JCBとKeychainが開発したソリューションについて、両社共同で特許の出願を行っている。特徴として、 デバイスのアイデンティティと帰責者のアイデンティティの紐づけが挙げられる。ヒトが意志表示を行う従来の決済モデルの場合、そのヒトを識別することで取引承認を行う。一方でデバイスの場合、そのデバイスに責任を有するもの(帰責者)を特定し、デバイスと帰責者の関係性を把握したうえで、デバイスによる取引を許容することが重要な社会課題になると考える。また、デバイスのアイデンティティと帰責者のアイデンティティとをそれぞれ特定し、適切な確認のうえで紐づけを行っていくことを実現する。
次に、取引をオフライン環境含めエッジ(ネットワーク端末)側で行うインフラの構築だ。ヒトが意志表示を行う従来からの決済モデルの場合、取引を起動するための手段(例えばクレジットカードや各種ID情報)はその数量が限定されているが、デバイスは1人のヒトや1つの企業に対して、膨大な数となる。一方、デバイス数が膨大となるなかで、個人や企業の取引に使える金額(たとえば可処分所得)は大きくは変わらないことが想定される。その場合、取引件数が膨大になる一方で、取引単価は低額になっていくことが想定される。また、ヒトが行う決済に比べて、デバイスが行うM2Mでの取引はより即時性が求められる可能性が高くなる。例えば、自動運転車やドローンなどが移動しながら自動契約を行っていく場合などだ。高頻度・超低額かつ即時性を求められる決済インフラとして、センターサーバーやクラウド層での取引承認処理を行うのではなく、デバイス間での処理やフォグ(クラウドと物理デバイスの間を取り持つシステム)層での取引承認処理を実現するそうだ。
また、取引履歴を把握し、従来環境での決済に流し込むインフラの構築が挙げられる。M2M領域では、デバイスの喪失や通信環境からの断絶といった制約が一定程度発生することが想定される。分散台帳技術を活用し、取引を適宜分散台帳上に記録していくことにより、取引履歴を安全に維持するインフラの構築を行う。また、M2M取引履歴を項番1で構築される帰責者のアイデンティティに含まれる決済情報に連携させることで、M2Mに関わる決済を従来環境での決済インフラに流し込むことを想定している。
今後技術検証および具体的なユースケースの検討を進め、 2021年中にプロトタイプモデルによる本番検証の実施、2022年以降の実用化を目指す。
なお、Keychainは、さまざまな業種の企業に対して、ブロックチェーン上でデータセキュリティとアイデンティティ基盤を実装できる、「Keychain Core」を提供している。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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