2022年10月24日18:07
ジェーシービー(JCB)および、トッパンフォームズ(TF)、Keychainの3社は提携し、NFC(Near Field Communications、近距離無線通信)に対応したカード形状およびキーホルダー型ICタグのユーザーインターフェースを活用して、オフライン環境の店舗用決済端末で取引を行うシステムを開発・検証すると発表した。
現在のキャッシュレス・ソリューションは、センターサーバーとの通信を前提としているものが大半を占めている。一方、山間部や海上など通信の途絶が発生する環境や、停電などにより通信サーバが機能しないケースなど、キャッシュレスが利用できない局面での対応が課題で、中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBDC)においても、オフライン環境下での決済が必要機能の1つとして議論されている。
3社では、これらの課題に対し、これまでJCB・Keychain両社が取り組んできたMachine to Machine(M2M)向け決済システムの活用を検討してきた。このほど技術的な実現の目処が立ったこともあり、3社共同で決済ソリューションを開発し、実証実験を行う。
同システムでは、汎用的な非接触ICカードの限られたメモリー内に認証機能を組み込むためのノウハウと、決済を行う店舗用決済端末および端末に搭載するアプリケーションをトッパンフォームズが提供する。エッジデバイスの限られた性能に対して、機器のなりすましやデータの改ざんを防ぐためにKeychainが持つ技術(Keychain Core)をベースとすることで小さなアプリケーション(分散台帳技術を用いた認証情報/デジタルID)として組込み、NFC規格を利用してタブレット・スマートフォンなどの店舗用決済端末との決済処理を安全に行うとしている。
なお、KeychainのKeychain Coreは、ブロックチェーン技術や分散台帳技術を一般的な開発チームでも実装できるような環境を提供し、自己主権的デジタルアイデンティティ、データセキュリティ、さまざまな端末や通信環境における合意コンセンサス・取引を実装できるようにするという。
なお、JCBとKeychainでは、2021年11月にNFCを活用し、スマートフォンやスマートウォッチを利用した、新たなシステムの実証実験を実施し、店頭での非接触型のモバイル決済と同様のユーザビリティを実現したことを発表している。同システムは、外部の決済処理センターとの通信を必要とせず、デバイス間の相互認証処理やデバイスに近接した上位レイヤーのデバイス(ルーターやサーバーなど)での承認処理により、オフラインでも決済ができるシステムだという。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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