2021年8月4日8:10
“Visaのタッチ決済”はEMVコンタクトレスの仕様を基にしており、日本でも加盟店の広がりが見えてきた。昨年より交通系決済としての商用利用が始まり、その導入に際してはFIMEもブランドテスト等を担当し関係各社を支援した実績がある。交通系決済には通常の加盟店決済とは異なる処理が要求されカード会社は対応する必要がある。本稿では交通系決済モデルにもとめられる基本的な処理と、今後の展望について解説する。
記事のポイント!
①乗降時に利用料金が確定されるタイミングで「固定運賃モデル(KFT)」、「変動運賃モデル(MTT)」に大別
②交通系ではより厳しいセキュリティ処理を実施
③小規模な交通事業者の1つの最適解に?
④パイロットプロジェクトで手応えを得る
⑤マルチブランドサポートではある程度統一したガイドライン制定が必要に
⑥ABTのシステムの共通化で導入コストもより低減
交通系決済モデルと基本的な処理
交通系においては、主に乗客の乗降の際に利用料金が確定されるタイミングの違いにより、1)固定運賃モデル(KFT)、または2)変動運賃モデル(MTT)のいずれかに大別される。(KFT及びMTTはいずれもVisa仕様書の用語でそれぞれKnown Fare Transaction、Mass Transit Transactionの略)
前者は比較的短距離の交通系、例えば料金均一の市バス等に適している。後者はより一般的な交通系に適しているモデルとなる。
固定運賃モデルでは、乗客が乗車あるいは入場したタイミングで利用料金が決まるので一般的な加盟店決済に近い処理となる。一方変動運賃モデルでは乗車あるいは入場時にはカードの利用可否などセキュリティチェックを行い、降車あるいは出場時に利用料金が決まるためその時点以降に決済が行われる。どちらのモデルでもカード会社までオーソリを行うと時間を要するため、所定のセキュリティチェックを行った上で、一定時間以内にオーソリを行う(遅延オーソリ)ことが認められている。また加盟店決済とは少し異なり、発券処理や料金計算、他サービスとの連動を想定したバックエンドシステムを用意する必要があり、一般的にABT(Account-Based Ticketing)の名称で知られている。
セキュリティについては、カード会社へのオーソリ処理が必ずしもリアルタイムで行われるわけではないため、交通系ではより厳しい判定処理が行われ、不正あるいは利用状況に問題があると判定された場合ネガファイルへの速やかな登録が行われる。反対にそのような状況が解決された場合は速やかに削除を行わなければならない。利用者への通知や利用状況を確認するポータルサイトの構築も必要になると考えられる。
今後の展望
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