2021年10月22日18:52
ラックは、三菱UFJ銀行と、高齢者などを狙った特殊詐欺によるATM不正利用への対策として、AIによる不正取引検知の概念実証実験(PoC)を行い、不正取引の検知率94%を達成したと、2021年10月22日に発表した。不正取引検知は、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗など、犯罪者がキャッシュカードを騙し取り、ATMを不正利用して出金する手口となる。。
ラックと三菱UFJ銀行は、2021年5月より、AI技術を活用したATM不正利用の発見手法に関するPoCを共同で進めてきた。その背景には、年間の特殊詐欺被害額が285.2億円(令和2年、警察庁公表)にものぼり、過去最高となった平成26年(565.5億円)からは半減してはいるものの、依然として高い水準で推移している状況があるという。高齢者を狙って連絡し、騙してお金を犯罪者の口座に振り込ませる手口、キャッシュカードを騙し取ったり、盗み取ったりして犯罪者がATMを操作する手口など、ATMを経由し不正に預金を引き出される被害が多く発生している。
これまでも、インターネットバンキングや電子決済サービスなどを不正利用から守る対策として、ルールベースという方式を用いた不正検知システムはあったが、人によるきめ細かい条件の設定を行うことで不正判定の精度を高めるため、新しい手口の検知ルールを組み込む際に手間がかかるそうだ。さらに、検知レベルを高め過ぎると逆に正規の利用を不正と誤検知するケースも増加してしまうため、実用する場合は検知レベルを落とさざるを得なかったという。
この課題を解決するため、ラックはAIによる不正検知に取り組んできた。ラックの不正検知AIは金融犯罪対策(特殊詐欺、サイバー犯罪)に特化しているそうだ。ラックの金融犯罪対策センター(FC3:Financial Crime Control Center)が保有している金融犯罪対策のノウハウ・知見を活用し、AIモデルの特徴量エンジニアリングに反映。圧倒的に多い正規の取引の中に犯罪者によるたった一回の不正取引が埋もれている場合など、AIの分野で超不均衡データと呼ばれる精度を落としてしまう要因に対し、ラック独自のAI先端技術を用いることで精度を大幅に高め、この課題を克服することに成功したという。
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ペイメントナビ編集部
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