2022年4月8日8:00
西日本最大級のカラオケチェーン「ジャンボカラオケ広場(ジャンカラ)」を中心とするエンターテイメント事業を展開するTOAI(京都)は、ジャンカラの公式アプリに自動クレジットカード決済が行える新機能「0秒決済」を導入した。これまでの受付レス「待ち時間0秒のすぐカラ」に、精算レス「0秒決済」を追加し、受付から精算までの手続をスマートフォンで完結させた。カラオケ業界で初めての試みで、非対面・非接触で安全・安心、しかも便利な新たなカラオケ体験の提供を目指す。
クレジットカードと紐づけ
QRコード決済導入も予定
ジャンカラは、全国で167店舗(2022年1月17日現在)を展開し、西日本において業界最大規模を誇る。TOAIのデジタル戦略部 西ひかる氏は「ジャンカラは、本当の意味での顧客目線を実践し、カラオケ体験を10倍にすることを目指しています」と話す。その取り組みの中核となるのがジャンカラアプリの機能強化だ。TOAIは2019年10月、ジャンカラのスマートフォンアプリにカラオケ受付サービス「すぐカラ」を全店で導入した。待ち時間解消とサービス向上のため、ウェブ予約の来店客を対象に導入した。ウェブ予約すると、ジャンカラアプリから利用開始が行えるため、店舗の受付を介さずにすぐカラオケを楽しめる。
さらに同社は2022年1月から、ジャンカラアプリの新機能「0秒決済」をスタートさせた。事前に、ジャンカラアプリへクレジットカード情報を登録することで利用できる。「すぐカラ」を利用した場合、終了時間に自動でクレジットカード決済される。これにより、受付から精算までの手続きがスマートフォンで完結できる。利用可能なクレジットカード(2022年1月17日現在)は、JCB、Mastercard、Visa、American Express、Diners Club。今後、QRコード決済も導入する予定だ。
同社はこれまでも、自動受付機や自動精算機を導入するなど、入室・退店の自動化を進めてきた。受付機は来店後、必要事項を入力・選択すると伝票が印刷され受付が完了する。印刷された伝票を持って、そのまま部屋に入ってカラオケの利用が可能だ。精算機は、入室伝票に記載されているQRを読み取ると、精算金額が表示されるため、利用者が受付・精算をセルフで実施することが可能となる。
直感的なUI/UXを意識
カラオケの邪魔を徹底的に排除
アプリの機能は、それをさらに一歩前進させたものだ。西氏は「カラオケの来店客の声を聞くと、カラオケを歌い始めるまでの手順が長く、どうにかしてそれをゼロにしたいと考えて、アプリを開発しました。従来の受付手続き・精算手続きによる煩わしさ、手続きにかかる時間や混雑時の待ち時間が削減されることで、カラオケ時間を最大限にし、時間いっぱい楽しんでいただけます」と話す。アプリ開発にあたっては、直感的に使えるようなUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を意識した。「すぐカラ」は2019年からスタートしたサービスで、その時には「0秒決済」の実装も視野に入れていたという。西氏は「新型コロナウィルスの感染拡大前に計画したもので、カラオケを楽しむことの邪魔になるものを排除していくという利便性を高めるためのツールとして生み出しました」と話す。そして、コロナ禍では、非対面・非接触の方式が好まれており、特に一度体験すると便利さを実感してもらっているという。お客様と従業員のために、安全・安心を最優先し、非接触・非対面を前提として運営を実施している。「すぐカラ」を利用すれば、店舗に到着後、受付をする必要は無く、直接ルームに入りカラオケを始められる。さらに、今回導入の新機能を利用すると、精算をする必要も無く、そのまま帰れる。ジャンカラアプリの会員登録数は400万人で、アプリ会員は来店客の7割以上に上る。
「カラオケの強みをさらにプラス方向へ」
新しい体験の提供を目指す
1990年、カラオケ事業をスタートして以降、歌い放題、飲み放題、料金の明朗化を実現し、事業を拡大してきた。その特徴の1つに、カラオケルームを「快適で、楽しめる個室空間」へと進化させたコンセプトルームがある。「くつろぎ」「マット」「キッズ」「スペシャル」「プロジェクター」「ステージ」「パーティー」「趣味」「シアター」「音楽」「カントリー」「スポーツ」「タイアップ」といったさまざまなテーマを持った空間を提供。アプリの中でも、それぞれの部屋の特徴などを紹介している。
ジャンカラは、「カラオケ体験10倍」を掲げて、これまでのカラオケが抱えていたマイナス面をゼロにし、プラス面をさらにプラス方向へと引き上げる取り組みを加速させている。西氏は「今回のアプリの機能強化は、受付や精算などのわずらわしさから解放するというマイナス面の改善です。今後はプラス面をさらにプラスにするためのアプリの機能強化を考えています。最近はお客様が、カラオケを楽しむことだけでなく、さまざまな目的を持って来店しており、来店目的に合わせた嬉しい機能を追加したいです。さらに、カラオケ事業で培ったノウハウや豊富なリソースを活かし、お客様がワクワクするような新しい体験を生み出していきたいです」と話している。
カード決済&リテールサービスの強化書2022より