2022年7月5日8:30
欧米や日本で拡大する後払い決済サービス「BNPL(Buy-now, Pay-Later)」が、東南アジアでも勢いを増している。コロナ禍によるネット通販の伸張でキャッシュレス需要が増えたことに加え、銀行口座やクレジットカードの保有率が低いことなどが背景にある。中でもベトナムやインドネシアは有望と見られ、国内スタートアップの資金調達を日本のベンチャーキャピタルが支援する動きも目立つ。さらに、BNPLを展開する日本企業の現地進出も始まった。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①東南アジアでBNPL拡大が期待できる背景
②高いポテンシャルを秘めるベトナムとインドネシア
③地元発BNPLスタートアップに注目
④若年層のEC利用や購買意欲が高いベトナム
⑤日本のベンチャーキャピタルが出資
⑥CHERRY TECHNOLOGY やEasyGopの動き
⑦インドネシアでは地元企業が活躍
⑧OVO社やKredivoの取り組み
⑨BNPLサービスで現地参入する日本企業も
⑩今後はより高額融資のニーズが高まる?
⑪各国の人たちの将来像を見据えた取り組みに期待
■東南アジアでBNPL拡大が期待できる背景
6億8,000万人以上の人口を抱える東南アジアは15歳から64歳の「生産年齢人口」が増えており、「今購入して後で支払う」というBNPL決済の主要ターゲット層となる20~30代が多くを占めている。コロナの影響で外出控えが続きネット経由のECが拡大したことから、必然歴にキャッシュレスによる決済ニーズが高まった。
BNPLを利用する層としては、クレジットカードを持っていないうえ、「手数料無料の分割払い」を希望する人が想定されている。多くの東南アジア諸国では銀行口座を持つ人でさえ平均30%程度にとどまっていて、当然ながらクレジットカードも保有することができない。貸金業の信用情報調査機関もないため、人々は自分の信用情報を積み上げることもできず、ECの決済手法として現状ではまさにBNPLがツボにはまる。
■ポテンシャルが見込めるベトナムとインドネシア
中でもBNPLの有望な市場として見込まれているのが、ベトナムとインドネシアといわれている。ボストンコンサルティンググループの調査によれば、シンガポールやマレーシアなどの東南アジア他国に比べ、ベトナムとインドネシアは銀行口座やクレジットカードの保有率が格段に低い。ベトナムでは銀行口座が40%、クレジットカードが11%で、インドネシアでは銀行口座は61%と半数を超えているものの、クレジットカードはわずか6%にとどまっている。
インターネットの普及率やEC売上高が大きく伸びている両国において、銀行口座やクレジットカードが不要なBNPLが広がっていくことはごく自然といえそうだ。
これまで世界のBNPL市場はスウェーデンのKlarna、アメリカのAffirm、オーストラリアのAfterpayといった欧米系スタートアップが牽引してきた。しかし東南アジアでは昨今、アプリダウンロード数がトップとされるECモール「Shopee」がBNPL機能をフックに急成長を遂げるなど、現地ならではの動きもみられる。ECの伸びがBNPLを押し上げ、BNPLの拡大によりさらにECが伸びる構図といえよう。
そのような中で注目されているのが、ベトナムやインドネシアでの地元発BNPLスタートアップの動きだ。
■ベトナムでは日本のベンチャーキャピタルが相次ぎ出資
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。続きを読むには「Paymentnavi Pro 2022」のお申し込みが必要となります。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。