2023年3月9日8:00
メニュー、オーダー、決済を一気通貫へ…顧客・従業員の満足度向上
日本KFCホールディングスグループの日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下、日本KFC)は、公式モバイルアプリの機能強化を図る方針を明らかにした。アプリ内でメニューを選び、ネット注文し、キャッシュレス決済までをよりスムーズに行えるように改善するほか、ポイントを相互に活用できるように他社との協業を進めるなど、ユーザーの満足度の向上を目指す。
時間のないランチタイムなどに
ネットオーダーで受け取りをスムーズに
ケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)公式モバイルアプリは、レジで提示すると「チキンマイル」が貯まる会員証機能や、店舗で使えるクーポン、店舗検索、メニューのチェックなどのさまざまなサービスを利用できる。プッシュ通知を許可すると、キャンペーン情報やチキンマイル・特典の付与など情報を得ることができる。
KFCネットオーダーは、スマートフォンやパソコンを使って、予約注文から支払いまでを完結できるシステムだ。自宅やオフィスなど好きな場所・時間に注文し、店舗で受け取ることができる。日本KFC マーケティング部部長代行の平田雄己氏は「ランチタイムや夕食のための買い物で、列に並ばずに商品を受け取ることができるため、大変好評をいただいています」と話す。
KFCなどのファストフード店では、ランチや夕食時に商品をピックアップし、オフィスや家庭に持ち帰って食べるユーザーが多い。そのため、列に並ぶ時間を短くしたいというニーズが高い。そこで、日本KFCでは、ユーザーがネットオーダーで注文した商品をすべて非接触で受け取れる店内設置型ロッカー「ピックアップロッカー」のサービスを試験導入している。
KFCネットオーダーで注文する際、来店時間を設定すると、店舗では来店時間に合わせて商品を準備し、「ピックアップロッカー」内に保管する。来店客が注文番号を入力することで商品を受け取ることができるサービスだ。配達代行のスタッフが「ピックアップロッカー」を利用して指定場所に商品を届けることもできる。消費者が買いやすくなることに加え、従業員の生産性向上の効果も期待できる一方で、商品保存の温度管理などが課題だ。
ハウスプリペイド「KFCカード」
ギフト利用が増加
また、KFC店舗では、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済などさまざまなキャッシュレスの決済手段の導入を進めている。セルフレジでは、現金が取り扱える機種と、キャッシュレス専用の機種の設置を進める。平田氏は「かつてほど、クレジットカード一強ではなく、キャンペーン施策などをきっかけにQRコード決済サービスを利用するお客様が増えています。全体ではクレジットカード利用の割合はまだ高いですが、QRコード決済利用が高い伸び率を示しています」という。
また、ジェーシービーと連携して2015年からスタートしたハウスプリペイドカード「KFCカード」は、KFCカード取扱店表示のある店頭で発行でき、「デジタルKFCカード」は、カジュアルギフトサービスを提供する「giftee」で購入可能だ。平田氏は「企業のマーケティング施策では、ノベルティとしてKFCデジタルカードのダウンロード数が大きく増えるなど、ギフト需要が増加しています」と話す。
一方で、個人ユースに関しては、現状ではプリペイドのチャージを店頭でしかできないため、繰り返してチャージするユーザーはそう多くないという。今後はオンライン上で、クレジットカードからもチャージができるような機能追加を検討するなど、使い勝手を高めて、リピーターを増やしていきたい考えだ。
チキンマイルの魅力拡大と
ポイント総合利用がアプリ普及のカギ
アプリは現在、月間550万から600万ユーザーとなり、順調に伸びている。今後、アプリの魅力を高めて、ユーザー数のさらなる拡大を目指している。アプリの機能強化について、平田氏は「オンライン決済に関して、クレジットカード以外のバリエーションを増やす取り組みを進めることが課題です。さらに、現状はアプリで決済する場合、ウェブブラウザへと移行しますが、今後は、導線をシンプルにして、アプリ内で注文から決済までがスムーズに完結するように改修を進める方針です」と話す。
KFCでは、利用者が店舗を利用するごとにアプリ会員証を提示すれば「チキンマイル」が付与される「KFCチキンマイレージプログラム」を設けている。今後は、さらに多くの事業者と連携し、ポイントを活用できるようにして、アプリの魅力を高める考えだ。
平田氏は「お客様に満足していただけるサービスを提供することはもちろんですが、店舗の従業員にとっても使いやすいシステムにすることが大事です。お客様と従業員の両方の満足度を高めるアプリに仕上げていきたいです」と話している。