2023年7月6日8:00
化粧品業界で、新技術を活用した新たな取り組みが進んでいる。決済まで完結する無人販売店舗や、AIアバターによる接客実験など、デジタル技術を取り入れた動きが加速。コロナ禍における“非接触”の推奨を背景に、化粧品専用自動販売機の活用も目立ち始めた。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①オルビスが化粧品業界初の無人販売店舗
②人材不足の解消やコスト削減が可能に
③三省製薬はAIアバターが無人接客
④センサー、AI、カメラ、生体認証など活用
⑤ビジネスチャンスが増す自動販売機
⑥プレノがコロナ禍を機に本格展開に着手
⑦ネット販売やオンライン接客は市場に定着へ
⑧ブランドの伝統を継承をしつつ非対面メリット追及
■オルビスが業界初の無人販売店舗をオープン
化粧品通販のオルビスは2023年5月、ジェイアール東日本商業開発が運営する商業施設「グランデュオ立川」に無人販売店舗「ORBIS Smart Stand」をオープンした。スキンケア商品や健康食品を扱い、テスターも用意。ファミリーマートなどが利用する無人決済システム「TOUCH TO GO(タッチトゥーゴー)」を導入しており、化粧品業界では初の無人販売店舗事例となる。
店舗の天井には人感センサーを張り巡らせ、来店客の動きを感知。商品が置いてある棚には重量センサーを設置し、来店客が商品を手に取ると自動的に検知する仕組みだ。
商品登録も自動化されているため、レジの決済端末ではバーコードを読み取る手間が不要となる。出口の端末にディスプレイ表示された購入商品と合計金額を確認し、タッチパネルで決済。決済方法としては、交通系電子マネーや、クレジットカード、QRコード決済などを選択できる。
店内には、無人のオンラインカウンセリングコーナーも設けられている。設置したタブレッド端末や来店客のスマートフォンによるビデオ通話を通じ、同社ビューティーアドバイザーによる無料カウンセリングを予約なしで実施。来店客は商品について質問したりアドバイスを受けたりできる。
無人販売店舗では、人材不足の解消やコスト削減が可能となる。オペレーションコストが下がるため利益増加につながるとしており、反響を分析しながら2店舗目の出店も検討していくようだ。
■アバター接客や生体認証決済の実証実験も
化粧品の製造販売を手掛ける三省製薬は2023年3月、福岡市の商業施設「ソラリアプラザ」に期間限定でジェンダーフリーのカラー美容液「IROIKU」のポップアップショップを開設。デジタルサイネージに映し出されるAIアバター(分身)が、店員の代わりに無人接客を行う実証実験を行った。
施設を運営する西日本鉄道や、各種センサー、AI、カメラ、生体認証など複数のデジタル技術を提供する日立製作所と連携したもので、AIアバターが「IROIKU」の全6色の中から来店客の嗜好やライフスタイルに合う製品を提案。客が手に取った商品をセンサーが認識するスマート陳列棚を設置したほか、遠隔地にいるビューティーアドバイザーにオンラインで相談できるリモートカウンセリングも試せるようにした。
気になる商品があった場合に生体認証での決済を模擬体験できるコーナーも設け、体験後にはECサイトで使えるクーポン付きのレシートを提供。実際の購入については、ECサイトを通じて行う仕組みとなる。
■コロナを機に設置が進むモニター付き自動販売機
コロナ禍により非対面の接客が求められたことで、ビジネスチャンスが増したのが自動販売機だ。コロナが広がった時期から、コスメやスキンケア、シャンプーなど化粧品の自販機を設置する動きが加速した。
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