GMOあおぞらネット銀行がDCJPYを発行へ、デジタル通貨としての強みと構成要素は?

2023年10月18日8:50

ディーカレットDCP、GMOあおぞらネット銀行、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、ディーカレットDCPが提供するDCJPYネットワーク(二層構造デジタル通貨プラットフォーム)を活用した商用のサービス第一弾として、GMOあおぞらネット銀行が発行するデジタル通貨DCJPY(仮称)を使い、IIJが行う環境価値(非化石証書等)取引のデジタルアセット化と、デジタル通貨DCJPYによる取引・決済を、2024年7月の開始を目指し共同で推進していくことに合意したと発表した。また、2024年7月ローンチを目指すDCJPYネットワークが社会に広く普及した世界観や、デジタル通貨を実現するための仕組みがより具体的に書かれた「DCJPY ホワイトペーパー 2023」を、2023年10月12日に発行している。

左からディーカレットDCP 代表取締役 村林聡氏、GMOあおぞらネット銀行 代表取締役会長 金子岳人氏、IIJ 常務執行役員 基盤エンジニアリング本部長 山井美和氏

IIJが非化石証明のデジタル化
エンタメ、NFTなどでの活用も可能に

10月12日に開催された説明会では、ディーカレットDCP 代表取締役 村林聡氏が実証実験の概要について紹介した。同サービスは、2024年7月からディーカレットDCPが提供するDCJPYネットワークを活用し、環境価値をデジタルトークン化したうえでデジタル通貨を利用した決済を行う。GMOあおぞらネット銀行は、BaaS事業における新たな位置づけとしてDCJPYを発行する。ディーカレットDCP は、DCJPYネットワークを提供する。環境価値取引はブロックチェーン上で管理され、それと連動した効率的なデジタル通貨決済サービスをGMOあおぞらネット銀行が提供する仕組みだ。IIJは、一般社団法人日本卸電力取引所の非化石価値取引会員に加入し、2023年10月から非化石証書を代理調達するサービスを提供開始する。

具体的に、GMOあおぞらネット銀行の預金をDCJPY口座に移動する。IIJは調達したデジタル価値をトークンとして発行し、データセンターの利用者へ環境価値トークンを発行する。環境価値トークンと合わせて、DCJPYも移転するようにプログラムされており、同時に決済される。同仕組みを利用して環境価値のアセットをトークン化し、プログラムによりデジタル通貨を移転し、決済することをさまざまな場面で行う。

環境価値トークン以外でもエンターテイメント業界の知的財産やチケット、メタバースのNFT市場、セキュリティトークン、行政事務などの自治体市場といった領域をターゲットとして展開を進める。これまで実現してこなかったビジネスシステムと金融システムの一体化は真のDXの貢献を実現するとした。

GMOあおぞらネット銀行はBaaS事業強化につなげる
DCJPYで環境価値のデジタル化と決済連動

今回、DCJPYの発行を担う金融機関のGMOあおぞらネット銀行はデジタルバンクとして5年前に事業を開始した。同社では№1テクノロジーバンクを目指しており、スタートアップやネットビジネスを展開する法人を中心に事業を拡大している。デジタルソリューションを活用して、新しいサービスを展開。BaaS事業では、同社の銀行の預金口座をベースにAPIをディーカレットDCPと連携することでDCJPYの発行を実現していく。ブロックチェーンの技術とBaaSを組み合わせることにより、新たなビジネス価値を提供する予定だ。GMOあおぞらネット銀行 代表取締役会長 金子岳人氏は「事業領域として、銀行口座、APIに加えて、デジタル通貨をサポートする機能を展開していきたい」とした。

IIJデータセンターにおける脱炭素の取り組みと環境価値の概要については、IIJ 常務執行役員 基盤エンジニアリング本部長 山井美和氏が紹介した。

IIJのデータセンターでは、単に電力を消費するだけではなく、環境付加価値の提供によってGX/DXの推進を図っている。カーボンニュートラルの取り組みでは、エネルギーの効率が求められている。再生エネルギーの利用やエネルギー効率の向上に加え、2023年の改正省エネ法では国の定期報告が義務化されたが、その対応に向けた新たな展開も行っていくという。IIJでは関西電力のVPP(バーチャルパワーブランド)事業に参画して電力もう安定化に貢献していくそうだ。また、非化石証書の代理調達を開始し、顧客の脱炭素化を支援する。さらに、2024年7月には環境価値アセットのデジタル化とDCJPYを連動する計画だ。同取り組みはデータセンターの中のボランタリークレジットという扱いとなる。非化石証書はどこの発電所でどういう種類の電力を発電したかをJPEX(再エネ価値環境取引市場)が割り当てをしてトラッキングして受け取るが、顧客の代わりに調達して発行し、決済とブロックチェーンで管理する仕組みを提供する。利用者は、環境価値トークンに客観的な真正性が担保された環境価値を入手可能であり、環境価値の再割当(二次利用)ができる。同時にデジタル通貨での生産を行うことで、事務コストも軽減されるそうだ。

DCJPYサービスはAMICの4つのコア要素で成り立つ
ファイナンシャルとビジネスのゾーンで構成

「DCJPY ホワイトペーパー 2023」の概要については、ディーカレットDCP 専務執行役員 事業統括 時田一広氏が紹介した。

2021年のホワイトペーパーはデジタル通貨DCJPYの実現方式を示したものだったが、今回はDCJPYの世界観、実際に提供するサービス、裏付けとなる法制度や技術、支援をもらった企業からのコメントを紹介している。DCJPYの商用化に向けて、ブランド開発を進め、名称も変更している。

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