2024年9月6日8:30
ディーカレットDCP、GMOあおぞらネット銀行、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2024年8月28日に記者説明会を開催し、ディーカレットDCPが7月に本番検証に向けたシステムリリースをした「DCJPYネットワーク」において、GMOあおぞらネット銀行が発行するデジタル通貨「DCJPY」を利用して、IIJが環境価値のデジタルアセット化とDCJPYによる決済取引を開始したと発表した。まずは非化石証書からスタートしたが、今後は既存経済圏との連携を経て、社会全体のデジタル化を目指す。
池谷貴
GMOあおぞらネット銀行がDCJPY発行
IIJが環境価値のデジタルアセット化
DCJPYネットワークは、フィナンシャルゾーンとビジネスゾーンの2層にわかれ、IBC(Inter-Blockchain Communication)と呼ばれるブロックチェーン間通信で繋がるネットワーク、フィナンシャルゾーンは、民間銀行に提供し、預金をデジタル通貨として発行・移転・償却できる機能を持つ領域だ。ビジネスゾーンは、企業などがビジネスを展開し、モノやサービスとデジタル通貨を紐付けて、取引を行う領域となる。
システムを構成するのは4つのコア要素、AMICだ。デジタルデータ化された資産であるAseset(アセット)、円と連動したデジタル通貨であるMoney(マネー)、所有者を示すID(アイデンティティ)、アセットとマネーの取引条件を定義するContract(コントラクト)という4つのコア要素が互いに連携し、システム全体がブロックチェーンによってつながることで、金融とビジネスが融合された新たなサービスを創出するという。
その商用プロジェクト第1弾が環境価値のデジタルアセットと決済だ。IIJが展開している環境価値の代理調達サービスをGMOあおぞらネット銀行が発行するデジタル通貨「DCJPY」を用いて地域デジタルアセット化する。従来にないやり方で信頼性が高く、効率的な取引や決済を実現するそうだ。カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーにおける環境価値への注目は高まっており、その取引市場も拡大している。現在、日本における環境価値取引は非化石証書、グリーン電力証書、Jクレジットの3種類だ。しかし管理や取引に手間がかかること、流通の過程で環境価値の証明が難しくなる課題などがあった。こうした課題を解決できるのがDCJPYネットワークによるデジタルアセットと決済だという。ビジネスゾーンでは、IIJが提供する環境価値を環境価値トークンに変換し、デジタルアセットとして提供することが可能となる。資金の流れは、GMOあおぞらネット銀行が発行したフィナンシャルゾーンのDCJPYと連動する。
環境価値トークンには、環境価値の種類や量、流通経路などさまざまな情報の記録が可能だ。環境価値を透明性高く把握することができ、データの改ざんを防止できるため、信頼性が高まる。またDCJPYは、銀行預金そのものであり信頼性が高く、企業間で行われる大口決済にも利用可能だ。ブロックチェーン技術による環境価値のデジタル化は、カーボンニュートラルに取り組むさまざまな企業が注目しているサービスだ。将来的には電力小売り業者や発電事業者、環境価値の取引所なども含め、環境価値取引における一連の流れがDCJPYはネットワークでつながる世界を目指しているそうだ。
具体的な操作の流れとして、普通預金からフィナンシャルゾーンへ資金を移転し、金額を入力して発行ボタンを押す。普通預金の残高が減少し、フィナンシャルゾーンの残高は増加する。フィナンシャルゾーンから環境価値取引に使用するビジネスゾーンに資金を移転しチャージすると残高が増加する。環境価値トークンの移転と資金の移転が同時に実行される流れとして、発行ボタンを押し、該当するファイルを選択して発行処理を行う。移転ボタンを押し、移転処理を行うことで、環境別の移転と資金の移転が同時に完了する。なお、システムのセキュリティについては万全の対応をしているそうだ。
今後は環境価値取引にとどまらず、社会のあらゆる場面でより豊かな暮らしに貢献していきたいとしている。実際にデジタル通貨による決済が可能なデジタル証券、クリエイター向けコミュニティサービスでのデジタルアセットの活用、企業間取引のDXプラットフォーム構築に向けた分科会の設立、デジタル通貨を活用した育児給付金の実証実験などが行われており、さまざまな分野において活用を検討中だという。
GMOあおぞらが考える2つの価値とは?
DCJPYのビジネスストーリー
DCJPYを発行するGMOあおぞら銀行では、最新の銀行システム、銀行API、内製開発を強みとしている。また、「BaaS(Banking as a Service) byGMOあおぞら」として同サービスを非金融事業者にも提供している。さまざまな銀行APIの機能を提供しているのも特徴だ。「デジタル通貨の発行もチャレンジの1つとして今回取り組ませていただきました」(GMOあおぞらネット銀行 執行役員 小野沢 宏晋氏)。同社ではさまざまな銀行APIを開発しているが、それを組み合わせることで、ビジネスゾーンからフィナンシャルゾーンへのつなぎ込みを上手く作ることができたという。
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