2023年11月13日8:50
NTTデータは、2023年10月10日、11日に発生した全国銀行データ通信システムに関するシステム障害の障害の状況と今後の取り組みについて説明会を開催した。
「システム総点検タスクフォース」を立ち上げ
10行で更改したRCで電文の送受信ができず
NTTデータグループ 代表取締役社長 本間 洋氏は「10月10日、11日に全国銀行データ通信システムで不具合が発生し、預金者、金融機関並びに関係者に多大な迷惑をおかけしました。深くお詫び申し上げます」と謝罪した。同社では、内部に社長の直轄組織として、品質保証部を中心としたタスクフォースである「システム総点検タスクフォース」を立ち上げた。同タスクフォースでは、今回の全銀システム障害の本格対象、再発防止策の検討に加え、同社内の重要システムの総点検を行う。
全銀ネットは、資金決済法にもとづく資金清算機関となり、全銀システムおよび全銀EDIシステムの運営、内国為替取引に関するルール整備等を行っている。また、全国銀行データ通信システム(全銀システム)は、国内におけるほぼすべての預金取扱金融機関が接続し、相互間の振込や送金をオンライン・リアルタイムで処理されている。利用金融機関は銀行・信用金庫・信用組合・農協・ゆうちょ銀行など1,133機関、2万9,456店舗(2023年9月末時点)、2022年度実績として年間約22億件・約3,546兆円を処理している。
全銀システムは、平日日中の処理を行う「コアタイムシステム」、平日夜間および休日の処理を行う「モアタイムシステム」、および各金融機関をつなぐ「中継コンピュータ(RC)」からなる。
全銀システム障害では、10月7日から9日にかけて、「RC17シリーズ」(以下17)から「RC23シリーズ」(以下23)への更改を14の金融機関向けに実施した。旧来の17は各加盟銀行に設置されていたが、23については全銀センターに集約している。全銀センター側では、テーブル/定義情報の変更、加盟銀行側では確保する接続先を17から23へ切り替えてもらっている。
全国銀行資金決済ネットワークが10月18日に会見で公表した資料によると、為替電文を送付する際に仕向(送信)機関が被仕向(受信)機関に支払う内国為替制度運営費(銀行間手数料)をのぼり電文では入力、下り電文ではチェックをする仕様となる。このチェックの際にRCのメモリ上に参照されたテーブルを参照するが、その参照処理に置いてエラーが発生し、RCが異常終了した。これにより、コアタイムシステムの通信開始(8時30分)後、三菱 UFJ 銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、山口銀行、北九州銀行、三菱UFJ信託銀行、 日本カストディ銀行、もみじ銀行、商工組合中央金庫の10行で更改したRCで電文の送受信ができなくなった。
原因については、動作しているアプリケーションに原因があったわけではなく、参照する共有メモリ上のデータの一部が破損していたものに伴うものだ。これは、環境構築時にテーブルを生成するプログラムがあり、それに不備があったのが原因だ。NTTデータ 代表取締役社長 佐々木 裕氏は「共有メモリ上に一部不適切なデータがあり、データを閲覧する処理が手数料の処理だったが、システムの異常終了を起こした」と説明する。
取締役副社長執行役員 鈴木 正範氏は図の「環境構築(事前準備)」が破損しており、「メモリに展開する際のディスク上の元ネタを生成するプログラムが作られた段階で破損していた。それがメモリ上にそのまま展開されているので、結果的にメモリ上のテーブルが破損されており、トラブルに至った順序です」と話す。
数千種類のパターンを試すがすり抜け発生
今年度を目途にすべてのシステムを総点検
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