2023年11月22日8:20
北國フィナンシャルホールディングス(石川県金沢市、以下北國 FHD)は、マルチクラウドによる次世代コアバンキングシステム(勘定系システム)の開発を開始した。国内でマルチクラウドのフルバンキングシステムが稼働する初の事例となるそうだ。2023年11月16日に開催の「Google Cloud Next Tokyo ‘23」基調講演と記者説明会で北國フィナンシャルホールディングス 代表取締役社長 杖村 修司 氏がマルチクラウド化の取り組みについて紹介した。
パブリッククラウドでフルバンキングシステム稼働
北陸を日本のデジタル先進地域に
北國銀行は1943年に北陸地域の3つの銀行が合併してできた地方銀行だ。2021年に北國FHDとして金融持ち株会社に生まれ変わった。
個人のスマホによるデジタルバンク「HOKKOKU LIFE+(ホッコクライフタス)」を4年前にパブリッククラウドで始めた。LIFE+は振込やATM手数料は無料となる。また、2015年からノルマ営業も廃止している。同行では、短期的な利益のためではなく、中長期的な目線で利用者の暮らしや夢をサポートすることを目指している。
ATMに関しても自社で構築し、設置を増やしている。また、勘定系システムについても2021年5月にオンプレミスからパブリッククラウドの「Microsoft Azure」上にあげて、フルバンキングシステムを稼働している。「これは日本で初めての試みです」(杖村氏)。2023年からは北陸地方の発展に向けて、BaaS(Banking as a Service)機能、更新系API、インターネットバンキングやカード機能の拡大、そしてそれを支える勘定系のマルチクラウド化、クラウドネイティブ化に取り組んでいる。これらの施策を通して、「次世代地域デジタルプラットフォーム」と呼んでいる。同活動は北陸地域を日本のデジタル先進地域にしたいという想いから展開しているそうだ。
クラウドでも一定頻度障害が発生
複数のクラウドの長所を活用へ
この実現に向けた取り組みでは課題にも直面してきた。なぜなら、銀行の勘定系は超がつくミッションクリティカルなシステムだ。オンプレミスと同様に、クラウドでも一定頻度障害は起こる。その際は復旧まで待つしかないという。杖村氏は「1つのクラウドだけに依存することはITガバナンス上、またプライム市場の企業として許されることではない」と話す。この点については記者説明会において、2年半大きな障害はなかったことを明かした。マルチクラウド化については、自ら選択肢を持って能動的に動けることに加え、スタートアップを含めて更新系APIに積極的につないでもらいたいとしている。杖村氏は「モダナイズとマルチクラウド化は避けて通れません」と強調する。
また、勘定系システムは小回りがきかない面もあり、20年、30年先を見据え、フロントシステムの生産性と同等にしていきたいと考えている。杖村氏は「複数のクラウドの長所を活用するシステム構造をとる。これは、コンテナ化とJava化によるアプリケーション構造の見直しにつながります」と話す。このタイミングでWindowsとCobolから脱却したいと考えた。現在の勘定系を進化させ、Google CloudとMicrosoft Azureを使ったマルチクラウド化と、モダナイゼーション、アプリケーションの見直しを決断したそうだ。
Google Cloudを選んだ3つの理由とは?
大規模障害でも30分程度で復旧を想定
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