2024年3月18日8:30
POSファイナンスシリーズの第3回目は、FinTech企業で代替オンラインペイメントソリューションのPayPalの関連会社で、POSファイナンスとBNPL(Buy Now Pay Later)のプロバイダーであるPayPalクレジット(旧、Bill Me Later)について紹介してみたい。
和田文明
■連載:海外のPOSファイナンス
1、“POSファイナンス”とは
2、FinTech企業のPOSファイナンスのプロバイダーとPOSファイナンスのプラットフォーム
3、POSファイナンスプロバイダーのPayPalクレッジット
4、Finturf(アメリカ)のPOSファイナンスのプラットフォーム(1)
5、Finturf(アメリカ)のPOSファイナンスのプラットフォーム(2)
アメリカベースのPOSファイナンスとBNPLのプロバイダーであるPayPalクレジットは、FinTech企業で代替オンラインペイメントソリューションのPayPal(設立:1998年、本社:カリフォルニア州サンノゼ)の子会社で、2000年に“Bill Me Later”(BML)として設立され、2008年11月にPayPalの傘下に入り、2014年にPayPalクレジットに社名を変更している。PayPalクレジットの本社は、メリーランド州ティモニウムにある。
| PayPal PayPalは1998年にピーター・ティールやイーロン・マスクなどによって設立されたアメリカの代替オンラインペイメントサービスのプロバイダーで、2020年時点で、PayPalは3億5,000万以上のアクティブユーザーを擁している。PayPalは、日本を含む世界200以上の国と地域で、ドルやユーロなど20以上の通貨で決済や送金が可能である。PayPalの代替オンラインペイメントサービスは主にE-コマースの決済やP2Pの個人間送金に広く利用されている。ユーザーは銀行口座やクレジットカードを電子財布のPayPalアカウントに登録(紐づけ)して、支払いを行うことができる。PayPalにおいては、セキュリティ対策と購入プロダクツの保護機能が重視されている。 PayPal は取引をより簡単かつ安全にするオンライン支払いサービスで、インターネット上で簡単かつセキュアにクレジットカード決済が可能である。PayPal は、Visa、Mastercard、American Expressなどの主要なクレジットカードやデビットカードなどのペイメントカードをサポートしている。 PayPalは2002年にオンラインオークション最大手のeBayによって買収されその子会社となったが、2015年にPayPal Holdingの名でeBayから独立を果たしている。 また、日本のユーザーの利便性の向上を図るため、2007年に日本語サイトがオープンされ、カスタマーサポートセンターが新設された。2021年には、日本のE-コマース向けのBNPLのPaidy(ペイディ)を買収している。 | 
PayPal クレジットは、提携するオン・オフのマーチャント(加盟店)に対して、後払いのPOSファイナンスとBNPLの金融・決済サービスを提供している。PayPalクレジットは、再利用可能なクレジットライン(与信限度額)が設定され、クレジットラインの範囲内で買い物をして、6カ月以内に全額支払われた場合、利息はかからない仕組みとなっている。6カ月以内に残高が全額支払われない場合、購入日からさかのぼって利息が請求される。なお、PayPal クレジットの顧客は、毎月の最低支払額(ミニマムペイメント)の返済が必要である。
(表4) はPayPal クレジットの概要を示したもので、PayPalクレジットでは、有償の“ペイメントセキュリティ”(決済補償制度)や無償の“購入保護制度”などにより顧客保護を行っている。また、PayPal クレジットのアカウントは、Synchrony Bank(本社:コネチカット州スタンフォード、創業:1932年)を通じて顧客にリボルビングのクレジットライン(与信枠)を提供し、クレジットカードを使わずともリボルビング払いが可能で、アメリカの場合、顧客が居住する州の最低年齢に達している者が利用することができる。
(表4) PayPal クレジットの概要
| 資格 | ・PayPal クレジットアカウントを申請するには、ユーザーは PayPal アカウントを持っていなければならず、その要件は18 歳以上で、アメリカなど特定の国に居住している必要がある(日本は、2024年1月末現在PayPalクレジットの対象外) | 
| 申請プロセス | ・PayPal を受け入れる Web サイト、または PayPal Web サイトでチェックアウト中に PayPal クレジットを申請することができる ・ユーザーは、承認されればクレジットライン(与信限度額)を即座に得ることができる | 
| クレジットライン | ・承認されると、PayPalクレジットの顧客には、顧客の信用度に基づいて少なくとも250ドル(約3万7,500円)のクレジットラインが設定される | 
| チェックアウト | ・PayPalクレジットのクレジットラインを使用して、数回クリックするだけで購入が可能で、有効期限もない | 
| 年会費 | ・PayPalクレジットの年会費は不要 | 
| 信用照会 | ・PayPalクレジットの申請を行うと、最初の信用照会(ソフトクレジット照会)を行う | 
| 〇ソフトクレジット照会とは | |
| 〇ハードクレジット照会とは | |
| 金利 | ・PayPal クレジットでは 年23.99% (2023年9月1日現在)の変動年率 (APR) の金利が請求される | 
| 延滞料 | ・最低支払額(ミニマムペイメント)が支払期日までに支払われなかった月ごとに次の延滞料が発生し、請求される | 
| 電子財布 | ・PayPalクレジットを申請するには、PayPalのアカウントが必要で、PayPalにサインアップしたら、それ以降PayPalクレジットの申請を開始することができる | 
| 顧客のクレジット情報 | ・クレジット情報をリテイラー(加盟店)と共有しないことで、トランザクションを安全に保つのに役立つ | 
| PayPalクレジットの“ペイメントセキュリティ” (決済補償制度) | ・PayPalクレジットの“ペイメントセキュリティ” (Payment Security)とは、特定の適格なライフイベント(失業、休職、障害、入院、特別養護老人ホームへの入所、人命の損失、末期症状)に際し、最大1万ドル(約150万円)のPayPalクレジット残高全体を補償できる有償の補償のオプションで、顧客は加入後いつでも“ペイメントセキュリティ”をキャンセルすることができる | 
| PayPalクレジットの“購入保護制度” | ・注文した商品が届かない場合、または説明と大幅に異なる場合は、“購入保護制度”の対象となる場合があり、利用規約と制限にしたがって、購入価格の全額と元の送料が払い戻される | 
| モニタリング | ・PayPalクレジットは、トランザクションを24時間監視続けている | 
| セキュア | ・PayPalクレジットは、暗号化により、オンライントランザクションを最初から最後まで保護する | 
| 不正防止 | ・PayPalアカウントに対する不正な請求から身を守るため、不審な点がある場合は何時でも通報することを顧客に求めている | 
| 紛争の解決 | ・PayPalクレジットでは、取引に問題がある場合は、問題が解決するまで資金を保留し、あらゆる段階で関与していくとしている | 
出典:PayPalクレジットのHPなど
PayPalクレジットの“購入保護制度”
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