三井住友カード、インバウンド決済の約20%を捉えた消費トレンドを解説

2024年5月9日8:32

三井住友カードは、膨大なキャッシュレスデータを活用したデータ分析支援サービス「Custella(カステラ)」を提供しているが、コロナ禍以降の消費者におけるキャッシュレス利用動向の変化、インバウンドの急激な回復などを背景に、このほど無料配信のWEBレポートサービス「Custella Trend(トレンド)」をレベルアップした。同社では、2024年4月24日にCustellaTrendのレベルアップの概要について記者説明会を開催したが、三井住友カード マーケティング本部 データ戦略ユニットの村上慶祐氏が概要を紹介した。

インバウンド消費に関するコンテンツを追加
16桁のBINから国籍を把握

CustellaTrendはカスタマーを照らすというネーミングで展開する無料配信のWEBレポートサービスだ。クレジットカード会社として保有している膨大なキャッシュレスデータを用いて、データドリブンにマーケティングの支援を行うことが可能なサービスとなる。

カード保有者の属性データと、その人がどんな買い物をしているかという決済データを掛け合わせることにより、「誰が」「いつ」「どこで」「どの業種」にお金を落としているのかを把握できる。

キャッシュレスデータにより市場のマクロ動向を捉える分析から、自社顧客のペルソナを可視化する分析、さらには有望層をターゲティングして店舗への送客につなげる打ち手の支援を取り揃えている。

CustellaTrendは、マクロの市場動向の把握支援を狙いとして、登録ユーザーにレポートを送付している。これまでは日本人の消費動向を把握するためのレポートだったが、昨今はインバウンドの消費動向に対する引き合いが強くなっているため、CustellaTrendのコンテンツにインバウンドを追加したという。

実装しているコンテンツとして、全体別、エリア別、国籍別に見たときの推移を紹介している。どの国籍の人が、いつ、どこで、どの業種で買い物をしているかという切り口でデータを保有している。村上氏は「16桁のカード番号に搭載されているどの国で発行しているカードかを国籍に読み替えています」と説明する。

業種によってクレジットが使われる傾向は異なるが、訪日外国人の約20%のデータは拾えており、買い回りを横断的にみていくのは信憑性の高いデータだとした。官公庁のデータとインバウンドのデータの比較もしており、ある程度整合性が高いことも確認している。また、AlipayやWeChat Payなどのデータは含まれていないが、「観光庁の統計でも中国のニーズ、消費金額が取れますが、政府のデータと比較しても整合性がある」とした。

Custellaで使用している決済データは、2022年度は33兆円程度のデータを集めている。また、約1,300万会員、加盟店数は約200万店の決済データから抽出される。

インバウンド観光客の地方での決済増加
国籍多様化、コト消費へシフト

村上氏は、インバウンド消費の全体の時系列推移として、訪日外国人のデータから作成した2019年の1月~12月の1年間の消費額平均値を100としたときに、その後の消費額がどのように推移しているのかという指数をグラフ化したデータを紹介した。

「ここで着目いただきたいのは、2022年10月に新型コロナウイルスの水際対策が緩和されて、入国者数の上限が撤廃されました。2023年5月にコロナが5類に移行して入国時の水際対策がなくなりましたが、2023年末時点ではすでにコロナ前を超えるような消費額の水準となっています」(村上氏)

インバウンド決済の傾向として、コロナ前と比べて変化している点として、村上氏は3つのポイントを挙げた。

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