2024年6月4日8:00
ソニーの非接触ICカード技術方式「FeliCa」は、国内の交通分野や電子マネー、入退館などで長年にわたり利用されてきた。また、カードに加え、AndroidやiOSといったモバイルアプリケーションでも“かざす”だけで支払いや交通乗車などが可能だ。ソニーでは、FeliCa事業でのナレッジやソニーグループの資産を活用し、屋内行動分析プラットフォーム「NaviCX(ナビックス)」など、新たなサービスの創出を目指している。
池谷貴
約17億2,000万個を出荷
Android端末の約9割に機能搭載
――現在のチップの出荷数(カード、モバイル)はどの程度の個数となっているか?
ソニー:FeliCaのチップは約17億2,000万個(2024年3月末時点累計)を出荷しております。内訳は、FeliCaカード用ICチップが約13億3,100万個、モバイルFeliCa ICチップが約3億8,900万個となっています。
――長年サービスを展開されているが、FeliCa技術の国内での浸透状況について聞きたい。
ソニー:1997年に交通系ICカードでのサービスを開始して以降、社会インフラを支えるテクノロジーとして、公共交通機関や決済、認証などの分野でさまざまな事業者に活用いただいています(参考)。
モバイルFeliCa対応チップが携帯電話端末に搭載されるようになってからちょうど20年が経ち、モバイルでもご利用いただける各種対応サービスが浸透、普及しました。現在、日本国内で販売されているAndroid端末の約9割にモバイルFeliCaの機能が搭載されています(フェリカネットワークス調べ)。
――決済をはじめ、さまざまなアプリケーションでFeliCa技術が利用されている。現在、利用されているシーンや今後の広がりが見込める分野について聞きたい。
ソニー:主に交通、決済、アクセスコントロールなどのサービスで利用されております。アプリケーションに限りませんが、FeliCaやNFCを活用し、生活を安心・安全・便利にする技術を発展させるとともに、デジタルデータを管理・活用したさまざまなソリューション提案を進め、新たな顧客価値の創出に取り組んでいます。
GP-SE上でモバイルFeliCa対応サービス実装
アジアの国々の公共交通機関で活用
――国内でのApple Pay開始後、iD、QUICPay、Suicaをはじめモバイルでの展開が広がったが、その成果については?
ソニー:まだフィーチャーフォンの時代の2004年から、世界に先駆けて携帯電話をタッチするだけで、店舗での決済や交通乗車券として、安心して便利に楽しくお使いいただける各種サービスの提供を実現してきました。
GlobalPlatform仕様等の国際規格に準拠したセキュアエレメント(GP-SE)上で、サービス事業者の皆様とも連携してモバイルFeliCa対応サービスの要件を満たす実装を可能にすることで、さまざまなスマートフォンやウェアラブル端末にも搭載しやすい環境を提供しております。
世界的なモバイルでの非接触ICサービスの広がりを喜ばしく思うとともに、今後ともGP-SEを活用したサービスのさらなる導入と普及に貢献してまいりたいと考えております。
――以前取材したインドネシアをはじめ、海外展開も強化しているが、その後も順調か?
ソニー:1997年の香港での導入開始以降、インドネシア、ベトナム、バングラデシュなどアジアの国々の公共交通機関を中心に活用いただいています。交通渋滞が深刻化する国などでの導入により、スムーズな乗降や公共交通機関の利便性向上により乗客数が増加し、交通渋滞の緩和に貢献したという事例もあります。
新たなユースケース創出、NaviCXは大手で採用
タッチ決済への見解は?幅広い業界の課題解決へ
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