2025年4月28日8:30
クレディセゾン、みずほ信託銀行、トーセイ・アセット・アドバイザーズは、不動産セキュリティ・トークンを通じて資産形成につなげるべく、協業を開始した。同協業の取り組みとして、クレディセゾンは、2025年6月16日から、セゾンカード・UCカードの会員を対象に、日本初のクレジットカード会社による公募(自己募集)型不動産セキュリティ・トークン「セゾンのスマート不動産投資」(以下:本受益権)を発行する。4月24日には、同商品開発の経緯について記者説明会を開催した。
少額からできる新しい不動産投資へ
申し込みはスマホで完結
記者説明会ではまず、クレディセゾン取締役(兼)常務執行役員 中山 直喜氏が「セゾンのスマート不動産投資」開発の経緯について説明した。
現在、人生百年時代と言われる超高齢化社会となり、また、長年にわたり低金利が続いていることもあり、若い頃から老後を見据えた個人の資産形成や資産運用が必要不可欠になっている。今後は、より個人が投資しやすい環境を整備するなど、まさにお金に関する不安を解消し、経済的に満たされ。人生を楽しめる状態、すなわちファイナンシャルウェルビーイングの実現を求めている。クレディセゾンでは、こうした社会と個人のニーズに対応できる金融サービスの機会を探していた。そして、サービス先端企業を経営理念経営理念に掲げ、ペイメント事業に加え、事業環境の変化に対応しながら、この十数年、住宅ローンや資産形成ローン、富裕層向けの不動産担保ローン、ストラクチャードファイナンスなど、幅広い不動産ファイナンス領域で、豊富な投融資実績とノウハウを同社は培ってきた。今回、不動産領域でさらにフィンテックを活用した信頼性の高い新しい金融サービスが提供できると考えたそうだ。クレディセゾンでは、クレジットカード会社としては日本初の不動産小口化スキームを開発し、さらに不動産セキュリティ・トークンでは初めて自己募集で行われるセゾンのスマート不動産投資をリリースする。
これまでの不動産投資は、専門的な知識が必要であり、限られた一部の人にしか支持されない商品だったという。中山氏は「それらを解消するには、幅広い層の人々に受け入れられる商品設計と、簡単でスピーディーな購買プロセスが重要だと考えました」と話す。セゾンのスマート不動産投資は、不動産信託受益権をデジタル証券として、利用者に不動産セキュリティ・トークンとして販売するものだ。
セゾンのスマート不動産投資には大きく3つの特徴があるという。1つは、セゾンカード会員向けの商品とすることで、同社の永久不滅ポイントを投資の原資に活用できることだ。今まで貯めたポイントを不動産投資で運用できるというカード会員との新しい関係構築に向けて大きな特徴を打ち出した。
2つ目は、不動産投資には興味があるが、現在セゾンカードを持たない人についても、同社のIT技術によるデジタルカードで手軽に新規カードを最短5分で即時発行でき、簡易に会員登録が行えるようにした。
利用者の元本を守る「優先劣後構造」
投資対象は安定性の高い「不動産」に
3つ目として、一口5万円の少額投資から始められ、その出資について「優先劣後構造」を設けた。日本国内では2事例目だが、劣後である同社の負担割合をより高くし、リスクの高い部分を負担することでカード会員を含む。個人投資家のリスクの低減が図られている。また、期中の配当についても優先して、カード会員の出資持分から先に配当が行われる仕組みになった。さらに、同社自らが同商品をカード会員に販売することで、証券口座を作るなど煩雑な手続きがなくなり、手軽でスピーディーなアカウント登録。申し込みのプロセスを実現し、直接的な関係が作られているそうだ。
投資対象不動産は、都心の賃貸住宅6物件になる。そのうち4物件は山手線内に所在するなど、利便性が高いことが特徴だ。新宿所在が3物件、文京区が1物件、大田区が2物件となる。ルームタイプは需要の高い1Kタイプが中心だ。賃貸住宅の特性としては、収益の安定性が高いことが挙げられる。デフレ化も賃料は大きく下がることなく、ほぼ横ばいで推移する傾向がある。また、インフレに連動して賃料は上昇する傾向があるという。対象不動産の稼働率は2025年2月末現在で100%だ。専有部は家具、家電などがすでに設置されており、マスターレッシーであるマツリテクノロジーズが民泊マンスリーマンションなどで運用中だ。
募集要項は、一口5万円、2万口の合計10億円の募集となる。最低投資口数は2口10万円となり、5万円単位での増額が可能だ。配当は年1回、想定利回りは年率3.0%を予定している。申込期間につきましては、5月12日~5月28日となるそうだ。
今回のスキームとして、不動産セキュリティ・トークンを共有するメンバーは受託者のみずほ信託銀行、アセットマネージャーがトーセイ・アセット・アドバイザー、ベンダーがみずほ銀行、プラットフォーム提供者がSecuritize Japanとなる。委託者 兼 発行者がクレディセゾン、リーガルカウンセルがアンダーソン・毛利・友常法律事務所、ファイナンシャルアドバイザーが東海東京証券となるそうだ。協業メンバーは、当該分野における専門的な経験と知見を有するプレイヤーとなっている。
アセットタイプ別の賃料推移をみると、賃貸住宅は他のアセットと比較して安定的に推移しているそうだ。不動産投資の特徴として、ミドルリスク、ミドルリターンの商品というポジショニングと位置づけられている。なお、株式と比較し価格変動は小さい傾向があるため、価格変動に一喜一憂せず、安定した資産形成を行う人に向いている。執行役員 阿部 規行氏は「これまでの不動産投資との違いとして、不動産セキュリティ・トークンは、単一または少数の不動産に比較的少額から投資できる点、価格変動が小さい点、専門家による運用管理が行われる点、そしてデジタル化によって取引の効率化が期待できる点などです」と話す。
セキュリティ・トークンは、ブロックチェーン技術を活用して電子的に発行・管理されるデジタル証券のことを指す。ブロックチェーン技術の特徴として、高いセキュリティ、透明性、データの改ざんが困難な点を挙げた。また、金融商品取引法では、金融商品としての位置付けが明確化されており、法的な安定性や信頼性を有していることが挙げられる。セキュリティ・トークンの市場は、5年累計で資産規模が3,100億円超、エクイティベースで1,000億円超の規模まで成長している。
不動産セキュリティ・トークンの銘柄として、平均発行金額が35億円、平均利回りが3.9%、平均の運用期間が7.2年となる。同社は不動産セキュリティ・トークンとしては43番目となるが、自己募集としては業界初、カード会社としては初の取り組みとなる。
不動産に限らない提供を視野に
クレジットカード活用や利用者数の構想は
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