2025年6月17日8:00
TNG eWallet(「Touch 'n Go 」や「Touch'n Go eWallet 」)は、マレーシアの電子決済サービスであり、スマートフォンを利用して支払いが可能だ。同セッションでは、TNG Digital Sdn.Bhd. チーフ・オペレーション・オフィサーのハーマン・ビン・サービン(Herman Bin Sarbin)氏がTNG eWalletによってマレーシアの人々や海外から訪れた人の決済体験をどのように革新しているかを紹介した。モデレーターは、マレーシア国内貿易・消費者省 ディレクターのムハマド・ハニフ・アサリ(Muhamad Hanif Asaari)氏が務めた。
マレーシアの全国決済ネットワーク「PayNet」が提供する革新的なペイメントソリューションとは?
Touch'n Goは200万強の店舗で支払い可能
「Alipay+」との連携で国境を越えた決済
Touch'n Goは、2018年からビジネスを展開しており、200万を超える中小企業や店舗に力を与えてきたという。Touch'n Goは、支払い額で月に300億以上を処理し、また2,300万IDを有している。リアルタイムのダッシュボードから国境を越えたQR決済の利用まで、安全でスケーラブルでマーチャントフレンドリーなツールを実行する上で重要な役割を果たし、中小企業のデジタル決済を支援している。
Touch'n Goは、相互運用可能なQRコードを介して支払いを受付可能だ。同社と連携するスキームとして、アントインターナショナルの「Alipay+(アリペイプラス)」が挙げられる。同スキームと連携することで、例えば、タイ人がマレーシアに訪れた際、新しいマレーシアシステムのeWalletをダウンロードすることなく、タイ現地で利用する決済手段をそのまま使って、マレーシアで買い物が可能だ。
マレーシアは中国に次ぐコード決済の受け入れ国
小規模事業者の参入障壁やコスト削減に貢献
同社がマレーシアのデジタル化で果たしてきた役割として、人々がeWalletなどを使ってデジタル化を支援するプログラムを展開してきたという。利用者と加盟店の増加により、政府がデジタル採用のために設定した目標をすでに上回っているそうだ。現在、マレーシアは中国に次ぐ世界で2番目に大きなQRコード決済の受け入れ国となっており、またユーザー数も第二位だという。
QRコード決済が優れている点として、小規模事業者の参入障壁や処理コストをカットできる点が挙げられる。店舗はデジタル化の推進により、手数料なく使用できるため、クレジットカード等によるコストを抑制できる。Sarbin氏は、「日本やシンガポールのようなクレジットカードが多く利用されている国から見ると、QRコードを使うことは不思議に思われるかもしれませんが、商売を支援することが目的です」と説明する。現状、日本のQRコード決済サービスはマレーシアで使用できないが、国境を越えた取引にはより多くの機会や可能性があるとした。
また、人々が決済する際により多くの支払いオプションを提供することも重要だ。例えば、マレーシアの人々が日本を含め海外に訪れた際、同社としてユーザーに多彩な決済オプションを与えることを意識している。具体的に、Visa、Alipay、政府が推進するPayNETの3つの支払いオプションを使用できることで、決済の多様化が可能となり、マレーシアの人々が海外に訪れた際に不便にならないようにしている。
現在、Alipay+に参加しているのは、Touch'n Goに加え、タイの「True Money(トゥルーマネー)」、韓国の「KaKao Pay(カカオペイ)」などがある。アントインターナショナルによると、Alipay+は2025年6月現在、世界70カ国、約9,000万店利用可能であり、Touch'n Goも同様に利用可能だ。
また、シンガポールには決済サービス「NETS(ネッツ)」、インドネシアには「QRIS(クリス)」というネットワークがある。例えば、マレーシア人がインドネシアに訪れると、QRISのQRコードをスキャンして利用可能だ。Sarbin氏は「マレーシア人の海外旅行者の不安を取り除くことができるというような仕組みになっています。次の四半期にはさらに多くの国で展開されると予想しています」と述べた。
海外の人がマレーシアに訪れた際の決済方法については、ミヤンマー、カンボジアなど自国で利用するeWalletでQRコードを使った支払いが可能だ。現状、日本のQRコード決済サービスは利用できないが、今後交渉していくそうだ。
コード決済のさらなる普及に向けての課題は?
より多くの国との連携を強化
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