2025年10月14日8:00
日本のキャッシュレス決済比率が政府目標の40%を前倒し達成し、次なる目標の80%へ向けた取り組みが課題になる中、三井住友カードのマーチャントビジネス統括部長の秋田篤志氏とマーチャントビジネス推進部部長代理の米田恭輔氏はインタビューに応じ、オールインワン決済端末「stera terminal(ステラターミナル)」をはじめとするstera事業を中核に据えた加盟店の拡大戦略を明らかにした。
steraは47万カ所以上で使用可能
中小事業者向けに加盟店手数料を1.98%に
―― 三井住友カードのアクワリング事業の成長は順調か。
秋田:経済産業省が掲げているキャッシュレス・ビジョンの中で、キャッシュレス決済事業はオーガニックに成長していますが、それに加えて、当社では積極的にstera事業を展開しており、非常に大きな成長を毎年遂げさせていただいています。加盟店契約数は公表していませんが、steraの使える場所は今、47万カ所を超えています。
―― 他社に先駆けて、中小事業者向けに加盟店手数料を本格的に1.98%で提供し始めるなどの戦略も功を奏したのか。
秋田:キャッシュレスを新たに始める中小事業者・個人事業主向けに加盟店手数料を低く設定し、導入しやすいような環境を整える取り組みを進めており、店舗からはポジティブな声を頂戴しています。例えば、「それがきっかけで、キャッシュレス決済を始めてみようと思った」や、「これまではPayPayしか使えなかったが、これを機にクレジットカードも使えるようにした」など好意的な声が多く、キャッシュレス決済推進に貢献できたのではないかと思っています。
中小キャッシュレス推進は社会課題への取り組み
DX化で多様なソリューション提供
―― 最近数年で、キャッシュレス決済の導入に力を入れた業態はあるか。
米田:「大手」も「中小」も業態に関わらず、キャッシュレス決済の導入を勧めておりますが、特に中小事業者向けへは昨年より加盟店手数料1.98%での提供を開始しており、キャッシュレス未導入の加盟店様へのキャッシュレス決済推進を加速させております。
秋田:大手企業はすでにクレジットカードを使える環境でしたので、事業者間での競争が激しくなっており、差別化を進めてシェアを獲得していきます。一方、中小事業向けのキャッシュレス推進は、社会課題への取り組みとも考えています。まだ、都心部でも中小事業者ではキャッシュレス決済が使えない店舗やQRコード決済しか使えないところはまだあります。地方ではその傾向がより強いです。インバウンドの方も含めて、どこに行っても、支払いがスムーズにできる環境を作ることは大事です。リーダーシップを持って、取り組んでいきたいです。
―― キャッシュレス決済普及の鍵を握るのは何か。
秋田:キャッシュレス決済ができるというだけではなく、DXを進めていく中で、業務の効率化や省人化など、本質的な価値を求めて、キャッシュレスの導入に踏み切っている店舗も増えています。例えば、省人化を進める中で、レストランなどでは、テーブルオーダーやテーブル会計が増えていくことは確実です。店のタブレットなどに「Tap to Phone(タップトゥーフォン)の機能を入れることで、テーブル会計でクレジットカードのタッチ決済ができるなど、店舗と一緒になって、最適な決済スタイルを構築するような取り組みを進めていきたいです。
米田:さまざまな店舗からは、テーブルオーダーの導入によって、追加注文のハードルが下がることから客単価が上昇するという副次的な効果も報告されています。省人化と売上拡大を両立できるソリューションなので、テーブルオーダーも広がっていくのではないでしょうか。弊社では、「stera smart one」というテーブルオーダーに対応したソリューションも展開しており、ご利用いただく事業者さまが順調に増えております。
キャッシュレス8割は消費者の行動が鍵を握る?
OliveやVポイント、データ分析など駆使し加盟店支援
―― 現在のキャッシュレス決済比率の計算式では口座振替は含まれず、政府が掲げる8割に引き上げるのはハードルが高いのではないか。
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