2025年11月13日8:10
消費者向けeコマースの市場規模が拡大する中、加盟店からはより安心・安全でシームレスな決済が、そして消費者からは決済に要する時間短縮とユーザー体験の向上が求められている。これらの要望に応える、これからのeコマース決済のグローバル標準「クリック決済」の概要、仕組み、また、先行導入している海外事例などを紹介する。(2025年10月16日開催「ペイメント・セキュリティフォーラム2025 fall」の講演より)
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 ソリューション営業本部 テクニカル・イネーブルメント部 部長 田中 俊一氏
カード情報の入力を不要にし
非対面取引のストレスを解消
今日は「クリック決済」についてお話しさせていただきたいと思っております。グローバルには「Click to Pay」と呼ばれているサービスです。
数年前はタッチ決済もどこで使えるのかわからないという状況でしたが、現在ではVisaの対面決済の半分以上がタッチ決済によるものになっています。対面決済は、カードスワイプからIC、そしてコンタクトレスのタッチ決済へと変遷し、ユーザーエクスペリエンスが大きく改善されてきていますし、セキュリティもかなり向上しています。かたやオンライン決済においては、手作業の部分が残っている。それを解決するのが今回ご紹介する「クリック決済」です。
eコマースにおいてはカゴ落ちが非常に大きな課題になっています。カゴ落ちすると、お客様は買いたいものが買えないですし、加盟店は販売機会を失う。カゴ落ちの理由は、UXが悪かったり、サイトの安全性に不安があるという理由でお客様が離脱する場合もありますし、カード決済が承認されずに離脱するという場合もあります。これらをこの「クリック決済」で大きく改善していきたいと当社は考えています。
対面におけるタッチ決済と同様、eコマースにおいて簡単、スマート、安全な決済を実現するのが「クリック決済」です。カードを出して、カード番号や有効期限やCVVを入力する、そういった手間をなくすのが「クリック決済」です。
「クリック決済」では、チェックアウト画面で、登録したカードの一覧が表示されます。そこでカードを選んで決済ボタンを押せば、決済が完了します。同時に、加盟店に、住所や名前を伝えることができます。決済情報だけではなく、決済に付随する情報も加盟店に直接送ることで、利便性を高めることを狙っています。
「クリック決済」は既に複数のマーケットで展開されています。オーストラリアなどでは多くのお客様に使っていただいています。日本においてはこれから積極的に展開していくというところになります。
カード情報入力不要、どのデバイスからも利用可能
トークンとパスキーで安全性を確保
「クリック決済」の特徴は大きく3つあります。1つ目は、決済時のカード情報の入力が不要だということです。「クリック決済」はタッチ決済と同様、EMVCoで標準化された技術を使っています。ですので、Visaだけではなく、ほかの国際ブランドも対応済みです。今後もカード各社が対応を進めていくのではないかと思います。
2つ目の特徴は、トークンです。Visaの場合「クリック決済」にはすべてトークンを利用します。ですからPANが漏えいする心配は一切ございません。お客様がPANをどこかに入力するというわけではなくて、すべてがトークンによって決済されますので、万が一漏えいしたとしてもトークンを無効にすればカード情報が流出することはありません。
同時に、パスキーですね。当社にはVisa Payment Passkeyという商品がございまして、これを標準で搭載することによって、これまでよりUXに優れた方法による本人認証を実現します。
3つ目の特徴は、デバイスに依存しないということです。特定のデバイス、特定のOS、特定のブラウザではなく、どのデバイス、OS、ブラウザでも使えます。
Visaでは「クリック決済」により、eコマースの課題を解決したいと考えています。Visaの調べでは、トークン化により承認率が4.1%向上し、不正利用が58%軽減しています。また、、手動入力よりもチェックアウトスピード20秒短縮したという事例もあります。
各イシュア、PSPと手を取り合って
日本における「クリック決済」の普及を推進
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