SuicaとPASMOがコード決済サービス「teppay」提供、最後発でも勝負できる理由とは?

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2025年11月27日8:00

JR東日本とパスモ、PASMO協議会は2025年11月25日に記者説明会を開催し、Suica・PASMO のコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を2026 年秋より提供開始すると発表した。当日は、JR東日本 常務取締役 中川 晴美氏とパスモ 代表取締役執行役員社長 町田武士氏が登壇し、サービスの概要を紹介した。

左からJR東日本 常務取締役 中川 晴美氏とパスモ 代表取締役執行役員社長 町田武士氏

「teppay」に込められた3つの想い
そのまま使え、アプリを超えてつながる

JR東日本はコード決済事業に参入し、2026年秋からコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を開始する。「teppay」には「Travel」(移動・旅)「Easy」(簡単、誰にでも優しい)「Partnaership」(人と人、地域をつなぐ)という大切にしたい3つの想いが込められているという。2027 年春にはパスモと提携し、モバイルPASMO において も「teppay(テッペイ)」の提供を開始予定だ。

中川氏は、他のコード決済にはない「teppay」の特徴は2点あるとした。1つは「そのまま使える」ことだ。すでにモバイル Suica・モバイル PASMOを利用している人は新たなアプリダウンロードや登録が不要だ。2つ目は、「アプリを超えてつながること」だ。モバイル Suicaに加え、モバイル PASMO のアプリを超えて残高を「送る・受け取る」ことが可能だ。

多様な決済シーンをカバー
SuicaとPASMOは首都圏で浸透

また、「teppay」の機能として「電子マネー」「コード決済」「残高の送付」「オンライン決済」といった多様な決済シーンをカバーする。これにより、モバイルSuica、モバイルPASMOをより便利に進化させるとした。

同サービス立ち上げの背景として、JR東日本は20年以上前からSuicaで交通領域、電子マネー領域でのキャッシュレス化を推進してきた。また、PASMOとも2007年3月のサービス開始当初から相互利用を行っている。近年、世の中のキャッシュレス化が進み、決済手段が多様化し、多くの生活者がキャッシュレス決済を利用するようになった。一方で、決済手段の多様化に伴って、複雑化も増しており、生活者が決済手段をストレスなく快適に利用しているのかという疑問が生じたという。

そこで、同社は、一都三県(東京都/神奈川県/埼玉県/千葉県)、15~69 歳男女を対象に「キャッシュレス決済に関する調査」を実施。その結果、「約9割の方がキャッシュレス疲れをお持ちです」(中川氏)。これは例えば、「手段を分散させたくない・まとめたい」「種類が増えすぎている・乱立していると感じる」など、多様化・複雑化に何らかの疲れやストレスを感じているそうだ。また、生活者の3人に1人が、今なおキャッシュレス決済に抵抗感・不安感を抱いているそうだ。

生活者の 76.1%が「決済手段をなるべく分散させたくない・まとめたい」と回答している。また、「決済手段をまとめるなら、馴染みのブランド・サービスにまとめたい」と考える人が77.5%となっている。

SuicaとPASMOは首都圏の生活に密着しており、キャッシュレスサービスを利用したことがある人が、人生で初めて利用したサービスは、 Suica/PASMO が 5 割を超えて、クレジットカードをしのぎトップとなった。また、若年層ほどSuica/PASMOの割合が高く、30代以下では約7割の人が Suica/PASMO を初めて利用したキャッシュレスサービスと回答した。「馴染み、安心、信頼を抱くサービス」であると中川氏は説明する。

 

現在、モバイルSuicaとモバイルPASMOを合わせて、3,500万人が利用している。「teppay」は両機能のアップデートとしてサービスを提供するため、新たなアプリや機能をダウンロードする必要がない。サービス開始時には、モバイル Suica・モバイル PASMO のトップ画面がリニューアルされる予定で、「teppayボタン」を押すと画面が切り替わる。また、初期画面を「teppay」画面に設定可能だ。

「残高を送る・受け取る」ことも可能
JCBとSmartCodeや「teppay JCB プリカ」で連携

利用者は、teppay残高(teppayにチャージされている金額)からモバイル Suica・モバイルPASMOの交通系ICへチャージが可能だ。teppay残高には、銀行口座・ATM(現金)等のほか、ビューカードでの入金が可能だという。

「teppay」ユーザー同士で「残高を送る・受け取る」ことも可能だ。モバイル Suica とモバイル PASMO でアプリを超えたやり取りが行える。例えば、子供に交通費の支払いをアプリでやり取りすることもできる。子供は「teppay」残高でSuicaにチャージしたり、モバイル Suica・モバイル PASMO 定期券等の購入が可能となる。

コード決済では、交通系電子マネーの上限である2万円を超えて、30万円までのチャージが可能だ。ビューカードを紐づければチャージ不要で買い物も可能となる。

店舗開拓では、さまざまなコード決済サービスを一元化できるJCBのSmart Code(スマートコード)との提携を予定しており、サービス開始当初から約160万カ所でサービスが利用可能になる。また、独自でも加盟店網拡大を図る。

オンライン決済では、teppay 残高をインターネットでの買い物に利用できる「teppay JCB プリカ」をアプリ内で発行可能だ。これにより、EC決済が可能だ。また、タクシー、飲食店などのモバイルオーダーの利用も行えるという。

さらに、利用地域を限定した地域限定バリュー(通称:バリチケ)の利用が可能になる。バリチケは特定の地域に限定して利用できるバリュー(残高)で、teppay残高と組み合わせての支払いが可能だ。自治体発行のプレミアム商品券、キャッシュレス還元事業なに活用してもらうことで、地域内への移動・消費を活性化するそうだ。

「teppay」はPASMOと提携することで、JR東日本がサービス主体となり、モバイルPASMOのサービスでも同様のサービスを提供する。

PASMOでも、JR東日本の考える利用者の困りごとの解決や地域貢献などの構想に共感したという。JR東日本とPASMOはキャッシュレス化を共に進めてきた歴史があり、ストレスのないキャッシュレス社会を実現できるとした。また、同じコード決済を提供することで、便利さ、わかりやすさを提供できるとした。町田氏は「共通のプラットフォームを採用することで、経済合理性も高くなると考えています」と説明する。例えば、「残高を送る・受け取る」をモバイルSuica・モバイルPASMOを跨いで行えることは、ほかのコード決済にない特徴だとした。

競合との差別化、手数料や加盟店開拓は?
独自ポイント採用で各交通ポイントと交換可能に

記者説明会の後は、JR東日本マーケティング本部 Suica・決済システム部門 決済・金融ユニット ユニットリーダー 高松奈帆人氏(中央)、パスモ 事業部 課長 駒野智之氏(右)、PASMO協議会 東武鉄道 経営企画本部 課長 金子悟氏(左)が囲み取材を行った。

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