2026年6月26日8:00
日本クレジットカード協会(以下、JCCA)は、政府目標である 将来のキャッシュレス比率80%(2030年には65%)の達成に向け、全面的キャッシュレス(以下、全面的CL)の導入効果や拡大に向けた検討・調査を行った。これによると、全面的CLの導入が進んだ場合、国内のキャッシュレス比率を約6%引き上げる効果があるという。

営業利益率+1.4%の効果を期待
人件費削減効果は1.3%に
経済産業省の発表によると、日本のキャッシュレス決済比率は2025年で58.0%(決済額162.7兆円)に達している。政府は将来的に80%の達成を目指しており、それに向けた中間目標として2030年で65%を掲げている。
キャッシュレス比率80%の達成に向けては、既存市場・利用者層のさらなる活性化を企図した全面的CLが起爆剤となり得るため、JCCAではデロイトトーマツコンサルティングに委託し、調査を行った。キャッシュレス化は省人化やコスト削減などの観点から、加盟店における全面的CL化が注目されている。また、2025年に開催の「大阪・関西万博」の成功によって、全面的キャッシュレスの機運が醸成されつつある。
さらに、アクセプタンスの拡大には加盟店によるメリット(人件費・現金関連コストの削減など)の理解不足などが課題として存在する。それらの対応策のうち、これまで十分な検討がなされていないが有効と考えられる全面的CLを同レポートで検証したそうだ。
同調査では、調査Aとしてクレジットカードの取り扱い加盟店1,521社(主要35業種含む全面的CLの未導入先)に「全面的CLの導入効果」に関するWEBアンケートを実施。調査項目は、全面的CLに移行した際の財務面の効果を算出するため、売上高、CL比率、加盟店手数料等をヒアリングの上、CL比率が100%となった場合のコスト増加分と人件費・現金関連コストの費用削減分を比較した。また、調査Bとして、全面的CLを導入している11社に導入後の効果・課題について、個別ヒアリングを実施している。
その結果、調査Aにより全体の約15%の加盟店は、全面的CLを導入することで「1.営業利益率の改善につながること」、 調査Bにより「2.売上機会の逸失が極小であること」が把握できた。
利益率改善効果として、CL比率100%になると人件費その他の現金関連コストが撤廃され、営業利益率+1.4%の効果を期待できる。釣銭準備作業、現金残高の確認作業などの労働時間を削減など、人件費削減効果は1.3%となった。また、釣銭の両替手数料・売上金の入金手数料等のコストなど、現金関連費用を1.1%削減可能だ。業種別の調査も行ったが、現金・キャッシュレス併用と比べて業態により0.5~4%の営業利益率の押し上げ効果が見込まれる。
現金関連コストはCL決済比率100%で完全に削減?
25業態(約7割)で全面的CLとの親和性が高い
キャッシュレスの普及により、加盟店が支払う手数料が増加するが、現金ハンドリングが一切ない状態を実現することにより、加盟店手数料の増加分よりも人件費を中心に現金関連コストの削減額が上回ることが期待できる。JCCAによると、現金関連コスト(人件費含む)はCL決済比率100%で完全に削減できるという。
また、全面的キャッシュレスの導入により、現金派の顧客を失うことによる機会損失が発生し、売上減少を懸念する意見もあるが、SNS・チラシ等の事前の周知を丁寧に行うこと、現金チャージ機の設置等の対策を講じることで十分にカバーできることが把握できた。
全面的CL店舗に対するインタビュー (11社)では明確な客数減少は確認できず、逆に客単価の向上(約2%。業態や店舗による)で売上高が拡大する事例もあった。経済産業省が公表している万博の全面的キャッシュレスの報告書においても、全面的キャッシュレスによる大きな不満はなかったと報告されている。
加えて、強盗・盗難リスク低減に伴う心理的安心感や接客品質の向上など非財務メリットも期待できる。
業種・業態別では、5,000億円以上の市場規模を有する35業態のうち、25業態(約7割)で全面的CLとの親和性が高いと評価した。また、全面的CLには我が国のキャッシュレス比率を最大約6%引き上げる効果がある可能性がある。主に小売、飲食、運輸、医療業で全面的CLの導入よる比率向上の期待効果が大きいそうだ。
JCCAでは、今回の調査結果から、全面的CLの導入には加盟店にとって多くのメリットや効果があると評価している。また、今後さらに省人化ニーズが高まることや店舗の小型化、モバイルオーダー決済の普及やマイナカードへの決済機能搭載などが進むことにより、全面的CLとの親和性が高まる加盟店の拡大が期待されるとした。












