2017年3月10日18:56
日本クレジットカード協会(JCCA)は、2015年と2016年に実施した観光立国実現に向けたJCCAとしての取り組みを踏まえ、商店街におけるアクセプタンス向上に係る実証実験、また地域のクレジットカード利用環境向上の課題把握・解決策検討のための地方関連団体ヒアリングを実施し、調査報告書として取りまとめ、2017年3月9日に発表した。
商店街におけるアクセプタンス向上に係る実証実験は、しもきた商店街において、店舗におけるクレジットカードの利用可否や利用可能表示の有無などのアクセプタンスの状況によって、どの程度来訪者の消費行動が変化するかを把握・分析した。
実証実験結果から、新たに利用可能の店外表示をした店舗、具体的には国際ブランドロゴシールを通りから見える店頭に貼るなどをした店舗では、外国人の集客力が上がったことがわかったという。また、これら店舗が集客した外国人はクレジットカードを利用し、購入単価も従前より高くなっていた(図表1)。
さらに、実証実験結果から、多言語対応、免税対応に表示などにより6割~7割の外国人に対して、誘客が進む効果があることがわかったそうだ。また、カード決済が可能な場合は、外国人の半数が、より高額の買い物を行うことや現金よりカードでの決済を選ぶと回答している(図表2)。
また、インバウンド振興に向けた地方の課題を把握するため、さまざまな地域単位でインバウンド振興に取り組む関連団体へのヒアリング調査を実施した。
地域とりまとめ団体は、当初はクレジットカード利用環境向上をあまり意識していないが、高山市のようなインバウンド振興が進み、誘客が実現している地域の団体、あるいは商店街という決済に直結している団体では、クレジット利用環境の向上についての課題認識が進んでいるという。
地方ヒアリングを行った地方自治体(妙高市、高山市)あるいは商店街(奈良市もちいどのセンター街)の事例より、これらの地域取りまとめ団体がインバウンド観光振興に力を入れることで、補助金の確保や機運醸成がなされ、クレジットカード利用環境の向上が加速化する可能性が示唆されたとしている。