2012年3月29日18:00
NTTデータとPT. NTT DATA Indonesiaは、2011年10月~2012年2月にかけて、インドネシア国内最大手通信キャリアのPT. Telekomunikasi Indonesia社(PT. TELKOM社)と、同国内初となるモバイルNFCペイメントのプロトタイプシステムを構築し、共同で技術検証を行ったと発表した。同技術検証により、NFCのブリッジテクノロジーが実用に耐えうる十分な通信距離・処理性能を発揮することを確認し、インドネシア国内におけるモバイルNFCペイメントの商用化の可能性を確認したという。
プロトタイプシステムは、インドネシアで普及している非接触ICカードリーダに、POS、RFIDリーダ、サーバを組み合わせて構築した。同システムでは、RFIDタグの付いた商品を入れたバスケットをレジに置き、支払い額を自動算出する。また、携帯電話を非接触ICカードリーダにかざすことで、支払いやチャージ、残高照会や履歴照会を行うことが可能だ。さらに、サーバ経由、もしくは携帯電話同士をかざし、ユーザー間で電子マネーを送金することができるという。
同プロトタイプシステムでは、インドネシアの携帯電話の大半がNFC非対応端末である実情を考慮し、既存端末を「NFC化」する技術、ブリッジテクノロジー(つなぎ技術)を複数種類活用した。NFCアンテナ内蔵のSIMカードやmicroSDカードを既存のNFC非対応端末に取り付けることで、NFC対応端末として活用することが可能だ。また、ブリッジテクノロジー内のアプリケーションは共通のものを使用し、インストール工程においてブリッジテクノロジー製品への依存を無くしているという。
同プロトタイプシステムでは、インドネシアで普及している非接触ICカードリーダで、すべてのタイプのブリッジテクノロジーの処理を実現。すでに同国内で実績のあるICカードリーダを使用することにより、既存の非接触ICカードリーダで流用可能な、商用サービスの技術検証を行った。
実証の結果、3種類のブリッジテクノロジーデバイス、5種類の携帯電話、2種類の非接触ICカードリーダを組み合わせ、非接触ICカードリーダから携帯電話間の通信距離、サーバからPOS間、サーバから携帯電話間でのトランザクション処理速度などを計測し、実用に耐えうる十分な性能を発揮できることを確認したという。また、共通のJava Cardアプリケーションを使用して、複数のブリッジテクノロジー製品の差異を意識することなく、非接触ICカードリーダのアプリケーションを構築できることを確認できたそうだ。
なお、実証実験における役割分担としては、NTTデータが全体設計、携帯電話アプリおよびJava Cardアプリ構築、技術検証を担当。NTT DATA Indonesiaがサーバーアプリ構築と検証環境構築、PT. TELKOM RDCがRFIDリーダーアプリ、NFCリーダーアプリ、およびPOSアプリ構築、技術検証を担った。
PT. TELKOM社は、今回のプロトタイプシステム構築をモバイルNFCペイメントのサービス商用化に向けたロードマップの第一段階と位置づけ、引き続き小売店舗での実際の通貨を用いたフィールドトライアルなどでユーザビリティ検証を予定している。NTTデータとNTT DATA Indonesiaは、引き続きPT. TELKOM社と協力し、インドネシアでのモバイルNFCペイメントビジネスの拡大に取り組んでいく。また、東南アジア地域を皮切りに海外向けモバイルNFCペイメントソリューションを整備し、2012年度内商用化をめどに東南アジアを中心とした新たなマーケットの開拓を目指す。