2013年4月25日8:44
セルフレジとPOSのコンパーチブルモデルの販売を開始
「O2Oエンドレスアイル」や「Express Key」の国内展開も視野に
日本NCRは、2013年4月24日に記者会見を行い、セルフレジとPOSを容易に切り替えて使える「NCR SelfServ Checkout Convertible(セルフサーブチェックアウト コンバーチブル)」を、国内小売業向けに販売開始すると発表した。また、銀行における個人与信業務の中の個人信用情報照会システムの利用を低コストで実現するクラウドサービスを提供することもリリースした。
店舗の込み具合によって1台2役の運用が可能に
スマホを利用した「Mobile SCO」も米国でテスト
「NCR SelfServ Checkout Convertible」は、店舗の混み具合に応じて自由にPOSモード、セルフモードに切り替えることが可能な商品である。例えば、クレジットカード決済利用時については、POSモードの場合は暗証番号入力装置の向きを変え、顧客がクレジットカードの暗証番号入力を行えるようにしている。
NCRのセルフレジは全世界ですでに25カ国、150社を超える企業に10万台以上導入されており、2013年度は、日本国内で導入10周年を迎えた。しかし、まだセルフレジを導入していない企業においては、「本当に効果があるのか?」という声も少なくない。その際に、どちらでも利用できるシステムとして導入が可能だ。
すでにイギリス大手のスーパーマーケットで運用を開始。同スーパーマーケットでは、全体の38%が17品目以下の利用であり、少ない購入点数ほどセルフを使う傾向にあった。そのほかの顧客は、多品目の商品を購入しているため、全レジをセルフレジするとピーク時には混雑してしまうという課題があった。
そのため、全体時間の15%と言われる忙しい時間帯を有人レジで、残りの85%の時間帯をセルフレジで運用している。結果として、「内部の評価基準を達成しており、運用は上手くいっている」(日本NCR 製品・マーケティング本部 部長 池田裕之氏)そうだ。
また、「NCR SelfServ Checkout Convertible」は、カウンターに組み込む形でも運用が可能だ。例えば、くじやたばこなど、店舗の人が介在しないと購入できないものもあるため、カウンター型の有人レジは必要となる。
今後の取り組みとしては、スマートフォンを利用した「Mobile SCO」をテストしている。これは、店舗に来店した顧客のスマートフォンで商品をスキャンすることにより、価格情報をサーバに送付し、価格情報を取得した後、レシート情報と合計金額をサーバに保存するソリューションである。店舗ではセルフレジで顧客のバーコードを読み取り、買い上げ情報を表示。また、重量チェックや商品の追加・削除などを行うものである。すでに、米国では実験がスタートしているそうだ。
また、従業員がiOSやAndroid等のタブレット端末を携帯することにより、セルフレジ利用者の運用をチェックし、問題時には直ちにサポートできる「アテンダントステーション」の運用も検討している。
個人信用情報照会システムのクラウドサービスを発表
各センターをまたがった名寄せが可能に
記者会見では、銀行における個人与信業務の中の個人信用情報照会システムの利用を低コストで実現するクラウドサービスの提供も発表された。同システムは山形銀行での採用が決定している。
従来、金融機関では、個人与信業務における個人信用情報照会システム導入に当たっては、ハードウェア・ソフトウェアへ個別に投資し、システムも自社運用を基本としていた。そのため、初期投資に莫大な費用を要し、且つ、個人信用情報センターである「全国銀行協会個人信用情報センター(KSC)」「シー・アイ・シー(CIC)」「日本信用情報機構(JICC)」の3機関のシステム変更への対応のために過大な負荷がかかっていたそうだ。
NCRのクラウドサービスを利用することで、自社でのシステム設計・構築やサーバ管理業務が不要となり、初期投資の大幅な負担軽減やランニング費用の平準化が行える。3つの個人信用情報センターに対応することで、各センターのサービス変更にも迅速に対応可能だ。また、「商品ごとに使用するセンターの選択が可能」(日本NCR プロフェッショナル・サービス本部 統轄部長 伊藤英昭氏)となっている。さらに、各センターにまたがった名寄せが可能であり、借入件数や金額などの情報を自動集計できる。
そのほか、同クラウドサービスはバックアップシステムを備えているため、従来のシステムに比べ障害対策・災害対策が強化されるという。加えて、最新の技術を利用した、データや情報へのセキュリティ対策も行っている。
同日は、日本NCR 代表取締役社長兼CEO 諸星俊男氏が、今年度の事業戦略について説明を行った。同氏は、直近のハイライトとして、JR東日本メカトロニクス、三菱UFJニコスと共同で開発した、クラウド型マルチ決済システム「J-Mups(ジェイマップス)」のPOS接続ソフトウェア等を紹介するとともに、今後の重点ソリューションについても説明した。同氏によると、KIOSKやデジタルサイネージを通して買い物を行うことができる「O2Oエンドレスアイル」、スマートフォン等でホテルのチェックインが可能な「Express Key」の投入を予定しているという。