2014年1月8日8:00
決済端末で国内No,1のシェアを誇るパナソニックの次なる展開は?
電子マネーは国内の主要サービスに加え、国際ブランド準拠の決済にも対応へ
国内の決済端末ビジネスを常にリードしてきたパナソニック システムネットワークス。同社では据置、モバイル、非接触電子マネー対応など、多彩な決済端末をラインアップしている。また、高機能版に加え、低価格な端末を提供。さらに、FeliCaベースの電子マネーに加え、国際ブランドが提供するVisa payWave、MasterCard PayPass等の決済手段にも対応予定だ。
累計100万台の据置型端末を設置
INFOX、JET-Sともに高いシェアを誇る
パナソニックは1986年からクレジットカードの決済端末を取り扱っており、大手情報処理センターの「INFOX-NET」(NTTデータ)や「CARDNETセンター」(日本カードネットワーク)に接続している。すでに累計100万台の据置型CCT端末を出荷。また、モバイル型端末も提供しており、大手の保険会社や物流会社等に提供している。最近では、スマートフォンやタブレットと連動する決済デバイスも開発。あわせて、電子マネーについては非接触電子マネーリーダーを提供しており、国内で取り扱っている主要な電子マネー/ポストペイにはすべて対応済みだ。
据置型端末はもともとINFOXからスタートした。そのため、累計出荷台数はINFOX端末のほうが多いが、近年ではJET-S端末の導入台数も増えており、直近での出荷比率はほぼ半々となっている。据置型端末は、フル電子マネー対応の高機能版、廉価版の2機種を提供しており、いずれもINFOX、JET-S端末に対応している。
高機能型については、リリースして7年経つ定番モデルとなる。パナソニック システムネットワークス ターミナルビジネスユニット 国内営業グループ 営業チーム 決済システム 担当課長 藤倉辰男氏は、「設置面積は現在でも業界最小クラスを維持しています」と特徴を述べる。また、同ビジネスユニット 企画グループ 商品企画チーム チームリーダーの江島孝幸氏は、「2006年度リリースした商品については、電子マネーアプリを含めた機能面の充実については、他社に先駆けて提供してきました」と説明する。
電子マネーリーダー「JT-R550CR」は、国内の主要な電子マネーに対応。2013年3月の交通系ICカードの相互利用スタートなどもあり、電子マネーのニーズは着実に増えているそうだ。また、EMVCoが定めるEMVレベル1およびレベル2の認定を取得しており、国際ブランドが提供するVisa payWave、MasterCard PayPassについては各ブランドと認定作業を進めている。しかし、一方で、市場の広がりに合わせて、端末コスト要求も年々厳しさをましているようだ。
昨今では、サーバー側ですべてのアプリケーションを管理するシンクライアント型の決済サービスが登場しているが、交通系カードについてはトランザクション・メディア・ネットワークスのセンターに接続可能だ。藤倉氏は、「スピードについてはリッチクライアントの方が早いことは確かですが、シンクライアントについても各ブランドのレギュレーションの範囲の中で提供できています」と説明する。
廉価版は圧倒的なコスト面のメリットが売りに
国産の強みを生かし他社へのOEM供給も行う
また、廉価版の端末については、クレジット、銀聯、ポイントカード等に機能を限定し、他社の端末に比べても圧倒的に価格が安いことが売りとなっているそうだ。
対応する通信回線についても充実している。藤倉氏は、「弊社はアナログ用、ISDN用、LAN用の端末をリリースしていますが、年々LANの比率が増えています」と話す。大手加盟店に対しては、主要なPOSメーカーにAPIを公開しているため、POS側でサービスのつくり込みが可能な点も強みとなる。
一方、モバイルについては、大手保険会社や宅配会社等の企業に対しカスタマイズして提供するケースが多いそうだ。
端末の設置後のサポートについては高い評価を受けている。全国46拠点の体制を築いており、全端末の保守・サポートを整えている。
なお、同社の端末やピンパッドは国産である強み、自社開発である強みを生かし、他社へのOEM提供を行っている。また、ハードを含めた特注品の要望にも対応可能だ。
国際ブランド準拠の決済を積極的に推進
据置の高機能機種の後継機を検討
現在の国内市場の設置台数そのものは、横ばいから微増となっているが、同社の市場シェアは拡大しているそうだ。藤倉氏は、「来年以降販売を強化する電子マネーのリーダライタに関してはトップシェアを維持していきたいです」と意気込みを述べる。特に、2020年の東京五輪に向け、Visa,JCB,MasterCard等の各ブランドが市場の整備を進めると想定されるため、それに合わせて端末を設置していく方針だ。
「今後は、より低価格な端末が受け入れられる傾向にあると思います。また、電子マネーについては、話題が先行していましたが、近年ではインフラとして整いつつあります。ここにMasterCard PayPassやVisa payWave等を含めた非接触決済の普及と、これらの非接触決済インフラを応用するサービス(例えば『MasterPass』等)が普及することにより、弊社にとっても新たなビジネスが生まれると期待しています。また、昨今のSquareなどの動きを受け、決済が『機能』として扱われることで、業務機器への決済機能の対応ニーズも増えると思います。弊社はそのようなニーズを捉え、業務用途でも使いやすい等の特徴を持った機器の販売も行っていきたいです」(江島氏)
今後は、据置の高機能機種の後継機を検討していきたいとしている。また、タブレットと決済端末を連動させた決済サービスも提供していく方針だ。