2014年7月17日7:35M-POSの時代(Mの時代)
モバイルペイメントに革新をもたらすツールとして注目を集めているのが「モバイルPOS(M-POS)」だ。
M-POSは、従来のPOSカード決済端末機に比べて、導入のハードルが低く、初期コスト、運用コストが格段に安い。また、カード決済資金の入金サイクルが1日から数日以内と早く、さらにマーチャントフィー(カード加盟店手数料)が高くないなど、カード加盟店にとって導入メリットがある。
また、簡易プリンターやバーコードスキャナーなどのオプションを加えても一台数百ドルで入手できるモバイルPOSペイメントソリューションを活かしたタブレット端末機のPOSレジスターは、多彩なソフトが組み込まれ、大手流通企業のPOSシステムのレジスターと遜色のない機能を有しているという声もある。
モバイルPOSペイメントソリューションは、クレジットカードやデビットカードによる決済を受け入れるマーチャントにとって便利な方法である。特に、インドや南米、中国などの新興国では、固定電話の回線インフラが十分ではなく、日本や欧米先進国のように電話回線などによるカード決済端末機を設置・展開していくことは難しい。
一方、先進国では“O2O(Online to Offline)マーケティング”ツールとして注目されているほか、展示会やデリバリーにおける代金決済としての活用が見込まれている。また、既存のPOS端末機のタブレット端末機に置き換えにおいてもスマートフォンやタブレッド端末機などのモバイルフォンデバイスを用いたモバイルPOSペイメントは、その初期投資を抑えることが可能である。
ただし、M-POSには課題があることも触れておきたい。一部のソリューションでは加盟店審査を自動化し、審査コストと導入までのスピードを速めているが、一方で「公序良俗に反する加盟店での利用が散見されている」という声もある。特に中小規模向けのソリューションの場合、収益は薄利のため、単純なカードリーダーのバラマキでは収益の圧迫につながる。実際、海外で中小規模向けのソリューションを展開するある企業では、売り上げは多いものの、赤字が続いている。今後は、国内のコイニーが展開しているように、販売商材の明確化、取引商材に合致しているか、といった審査時点での確認は最低限必要になると思われる。
レポート「モバイルペイメント要覧」では、スマートフォンやタブレッド端末機などのモバイルフォンデバイスを用いたモバイルPOSペイメントについて、世界中の動向を紹介している。「Square」、「PayPal Here」といった国内でもおなじみのソリューションが展開されている米国をはじめ、ICカード化が先行しているイギリスなどヨーロッパを中心にしたカードリーダのデバイスのEMV ICカードとPIN(暗証番号)対応やコンタクトレスICカード、NFC(Near Field Communication)などに対応の動向についても取り上げている。