2015年3月18日8:08■BASE「お母さんも使える」ネットショップのBASEの成長は加速インターネット上のあらゆる決済シーンの簡易化を目指す
「お母さんも使える」をコンセプトに、誰でも簡単に、あっという間にネットショップを作ることができるサービス「BASE」が急成長している。2015年春からは決済事業に参入。夏までにはID決済サービスの提供を開始する予定だ。
15万店舗が利用し、月間1万店増加
流通額も順調に拡大
BASEは、会員登録と商品登録を行うだけで、手軽かつスピーディーにECサイトをオープンできるサービスだ。サービス自体への手数料が発生せず、誰でも簡単にショップを開設できる。利用者にとって非常に簡明な設計がなされており、HTMLやCSSといった専門的な知識やスキルがない人でも開設できるのが特徴だ。無料サイトだが、商品登録数が無制限、デザインテンプレートの種類も豊富という特性も手伝って、個人に加え、法人の利用も多い。また、導入後はアクセス数や売上履歴を簡単に確認・管理することが可能だ。
BASEは、もともと大分で婦人服の小売店を営む同社 代表取締役 鶴岡裕太氏の母親がネットショップをつくりたいと言い出したことがきっかけだった。同氏は、インターネットに詳しくない人でも簡単にネットショップが作れるサービスを提供したいと考え、BASEのオープンに至った。
現在、店舗数は15万店強。直近では、月間1万店舗ほどの伸びを見せる。流通額も順調に拡大しており、「1年前と比較すると数倍になっている」(鶴岡氏)という。
BASEでは、2014年3月から、カード会社の三井住友カード、決済代行事業者のスマートリンクネットワークと包括加盟店契約を結び、新決済システムの運用を開始。これにより、安全性の担保が強化された。また、クレジットカード決済以外にもコンビニ・Pay-easy、代引、銀行振込を利用することが可能だ。鶴岡氏は、「現状はBASEショップでの購入の際のクレジットカード利用は半数、女性が多いためコンビニや銀行振り込みの割合も高くなっています」と説明する。また、2015年春には女性にニーズのある未回収リスク保証型の後払いの導入も予定している。将来的には、キャリア決済やJCBブランドへの対応も提供できるようにしていきたいという。
BASEでは、決済のトランザクションなどから、不正利用についての対策を行っており、「ここ半年は成果が表れています」と鶴岡氏は成果を口にする。また、スマートリンクネットワークの属性情報を活用した不正対策等も実施している。「決済については、一般的なサイトよりも厳しい対応をとっていると思います」と鶴岡氏は話す。
そのほか、商品が購入者にきちんと届いたかをBASE側で確認できる仕組みを構築。また、購入時に決済手続きが行われた際、その売上代金をBASEでいったん預かる形をとっている。そのほか、商品内容や受け渡しに万一のトラブルが発生した場合、BASEが窓口となって随時対応しており、購入者に商品が届かなければ返金できる仕組みを採用した。
開発者向け決済サービスを自ら提供
年間100億の流通額を数年後に見据える
そして、2015年春からはいよいよ自社で決済サービスに参入する。鶴岡氏は、「BASEというプラットフォームに拘っていません。世の中の決済の流れをスムーズにすることをしたい」と語っていたが、オンライン決済サービス「Pureca(ピュレカ)」を子会社化し、シンプルなコードとスムーズな審査でオンライン上に簡単に決済機能を追加できる開発者向けの決済サービス「PAY.JP」を提供する。開発者向けのコード決済サービスは、海外では「Stripe」が有名で、日本でもヤフーの「Yahoo!ウォレットFastPay」、LINEに買収された「WebPay」などがサービスを展開している。
「Pureca」ではすでにペイメントカードの国際セキュリティ基準である「PCI DSS」に準拠しており、カード情報は導入企業のサーバに残らず、セキュリティ面でも安全な決済を提供しているという。また、夏をめどに住所やクレジットカード番号などを事前に登録し、IDとパスワードのみで決済が可能な「ID決済サービス(チェックアウト)」も導入する予定だ。BASEでの決済はもちろん、それ以外のサイトにも同サービスの導入を勧めていく。
なお、BASEは延べ数百万人が利用しているという。決済サービスとの連携で、より利便性を高めることで、繰り返し利用してもらうユーザーの増加を期待している。
BASEとしては、「創業して二年間でベースができ、収益化もできていますので、今後はそれを広げていきたいです。BASE単体で年間100億の流通額は近い将来実現できると考えており、そこを通過点としてもっともっと上を目指していきたいと思っています」と鶴岡氏は意気込みを見せる。また、決済事業については、「お金を払う、価値を交換する。世の中に残されている貨幣はインターネットに最適化されていませんので、チャレンジしていきたいです」と鶴岡氏は力強く語った。