2015年5月25日8:13
スマートフォンやNFC技術を活用することにより、生活者が財布やカードを出すことなく、さまざまな経験が可能になる。ペイメントナビ編集部は2015年4月24日、シンガポールのジェムアルト(Gemalto)のセンターにおいて、モバイルを活用して、空港内でのユーザーの経験を便利にするデモを体験した。
ジェムアルトはICカードベンダーのイメージが強いが、ソフトも含めたアプリ開発、ハードウェア、認証システム、TSM(Trusted Service Manager )など、デジタルセキュリティの分野に進出している。
ユーザーは、空港の最寄り駅に、NFCスマートフォンを利用した乗車券で降り立つ。セキュリティゲートでのチェックインでは、ICチップ搭載のパスポートで認証する。また、チップ情報の認証後は、セキュリティゲートでカメラにより画像を認識してチェックする。
ゲートを通ると、NFCスマートフォンにアクティベートしたクーポンを使って、コーヒーショップで買い物ができる。端末にスマートフォンをかざすと、クーポン利用分の料金が自動で差し引かれ、決済が可能だ。
空港内では、搭乗までの時間を利用してオンラインショッピングも実施。パブリックな場のPCを利用した場合、どうしてもセキュリティ面の不安が残るため、スマートフォンを活用してワンタイムパスワードを自動で生成し、承認を行うことにより、セキュリティを担保している。また、認証については、同社提供のワンタイム・パスワード・トークンを利用することも可能だ。
空港内では、即時発行機を利用して、銀行のキャッシュカードの作成も可能だ。即時発行機では、ユーザー自身のカードを即座に作成できる。ジェムアルトの発行システムでは、ICカードのチップ部分のデザインの調整に加え、著作権のチェックができるサービスも提供しているという。
また、NFCタグが搭載されたテレビでは、画面の中にNFCタグが埋め込まれており、タップすることにより情報を取得できる。たとえば、画面に表示されたクーポンをタッチすることで、店舗でそのまま割引サービスを受けることが可能だ。また、店舗では値札に埋め込まれたタグをタッチすると、商品をチェックでき、最後にレジで決済まで行える。消費者は端末にスマートフォンをかざすと、PIN認証画面に誘導され、入力を行うと決済が完了する。
なお、シンガポールでは、IDA(Infocomm Development Authority)が推進する国家のNFCプロジェクトで同社のSP-TSM(Service Provider-TSM)、MNO-TSM(Mobile Network Operator-TSM)が採用されており、SinTel、M1、StarHubでの運用がスタートしている。Gemalto’s field marketing manager 鈴木信太郎氏は、「アジアでもNFCのサービスを企画している企業は多く、ポテンシャルはあると感じています」と話す。また、アジアではTaiwan Mobile Payment Co.(TWMP)がNFC決済サービス展開にあたり採用した、Allynisトラステッド・サービス・ハブ(TSH)の展開も進めていく。TSHは、サービス・プロバイダーやモバイル・ネットワーク・オペレーター(キャリア)等に向けに単一の接続を提供することで、モバイルNFCサービスを加速させるという。