2017年6月30日8:00
ATMやコンビニに行かなくても24時間いつでも、どこでもスマホで払込票の支払いが可能に
ビリングシステムが提供するスマートフォン決済アプリ「PayB(ペイビー)」。百五銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行で導入されるなど、金融機関による採用が加速している。そのメリットについて、ビリングシステムの担当者に説明してもらった。
ホワイトラベルは百五銀行で採用
従来通りの払込票を使用
「PayB」はビリングシステムが開発した決済アプリだ。コンビニエンスストアなどで利用できる払込票(コンビニ等払込票)のバーコードや、ビリングシステムが提供する加盟店用アプリを用いて店舗側が提示するQRコードを、スマートフォンのカメラ機能で読み取り、リアルタイム決済が可能だ。ビリングシステム 営業本部 アライアンス営業部長 橘 悠介氏は、「ゆうちょ銀行様、みずほ銀行様の採用もあり、地方銀行など全国の金融機関から関心が高まっています」と話す。
すでにホワイトラベルは百五銀行で採用。ホワイトラベルとは、PayBアプリを加盟店や銀行に対してアプリをOEM提供するもので、PayBロゴを銀行のロゴに変え、色味を銀行のコーポレートカラーに変更して、各行のサービスとして提供可能だ。
PayBのiOS版は3月からサービスを開始。現在はAndroidも準備を進めている。利用者はPayBアプリダウンロード後は、名前、性別、生年月日、支払い方法を選択。登録後はQRコードまたはバーコードをスキャンして、暗証番号を入力するだけで決済が完了する。支払い方法は、クレジットカードと口座振替(銀行即時口座振替)に対応している。また、決済の対象は、払込票のバーコード、QRコードの決済、ECのアプリ決済、雑誌広告のQRコードを読み取っての決済が可能だ。
ビリングシステム 営業本部 アライアンス営業部 辻侑香里氏は、「従来は払込票をATMやコンビニに持って行く必要がありますが、このサービスはスマートフォンで自宅でも職場でもどこでも使えます。そのため、キャッシュレスでユーザビリティが高まります。また、口座振替決済にはインターネットバンキングの契約が不要で、提携銀行の口座を持ってさえいれば使うことができます。一方、加盟店にとっては、従来通りの払込票を使用するため、PayBを導入するための追加のコストはかかりません」と説明する。
大手収納代行会社との連携が決定
ビリングシステムが新しいコンビニの1つとなるイメージ
サービスの特徴として、ビリングシステムが加盟店開拓のために営業推進する先は主に払込票契約収納代行会社となる。つまり、払込票契約収納代行会社と契約することで、当該収納代行会社の払込票を発行している企業(加盟店)がPayBを使用できるようになる。すでに、複数の大手収納代行会社との連携が決定しており、それら収納代行会社の傘下には数千社以上の加盟店がある。たとえば、収納代行会社は加盟店に一斉通知をしてPayB導入の意思が確認できれば接続が可能となる。そのため、ビリングシステムとして、加盟店開拓の負荷は少ない。
なお、払込票の収納代行会社と加盟店との精算フローは従来のコンビニ収納と同様になる。収納代行会社にとっては、ビリングシステムが新しいコンビニの1つとなるイメージだ。収納代行会社は、各コンビニエンスストア運営会社と契約をしているが、収納情報と資金精算の流れは概ね決まっている。
「そのサイクルにビリングシステムが合わせて、情報と資金を移動するため、コンビニを新たに追加するマスター登録程度の負荷しかかかりません。銀行の新しいサービスを追加するということころに収納代行会社もメリットがあり、かかるコストの負担も少ないです」と辻氏は自信を見せる。
「ホワイトラベルの場合、システムの開発と保守運用費の契約となります。初期費用は数百万円、月額数十万円となりますが、銀行が新たにシステムを提供するコストとしては、ローコストだと考えています。支払い方法は、口座振替とクレジットカード決済ですが、銀行とのホワイトラベル契約では加盟店から得られる決済手数料が銀行の新たな収益となります」(ビリングシステム 営業本部長兼業務本部長 木幡徹氏)
なお、キャリアのKDDIとは、KDDIの各種料金支払い方法のうち、窓口払い(払込票を用いたコンビニエンスストアやauショップでの支払い)の支払手段として、PayBを採用し、2017年中を目途に取り扱いを開始することについて合意している。
加盟店はWeChat Payなどのサービスもワンストップで利用可能
また、PayBは、ビリングシステムの「スマホ マルチ決済サービス」の一つのメニューとして加盟店に提供される。これにより加盟店は、訪日中国人旅行者向けのWeChat Payなどのサービスの利用も同時に可能だ。たとえば、地方銀行では、特に観光客が多いエリアではWeChat Pay決済の関心が高いが、1つの加盟店システムでPayBとWeChat Pay両方が使えるワンストップサービスとして地元企業に提供できるようになる。かつ銀行が提供することで、信頼感も得られるという。
木幡氏は最後に、「コンビニエンスストアの払込票での支払いは年間で8億件強あると言われていますが、1割のシェアを獲得できれば8,000万件。また、使える銀行が増えれば増えるほど、訴求力は高まります。即時口座振替が備わっている金融機関には、すべて参加していただきたいですね」と意気込みをみせた。