2019年7月29日8:00
ゆうちょ銀行は、銀行口座とスマホアプリを紐づけて、加盟店での支払いの際に代金を口座から即時に引き落とす銀行口座直結型のサービス「ゆうちょPay」を、2019年5月8日にスタートした。全国津々浦々に張り巡らされた郵便局のネットワークを活用したフェース・トゥ・フェースの丁寧なサポートを強みに、1カ月弱で20万人の登録者を獲得。加盟店は現在、大手家電量販店、ドラッグストア、外食・ファストフードチェーンなど、1万3,000を数える。まずは決済に特化したスマホアプリで、ゆうちょ銀行を生活口座として使っているユーザーにキャッシュレス決済の便利さを体感してもらって基盤を固め、ユーザーの声を反映させながら徐々に機能を追加して、2021年度には利用者数1,000万人を目指す。
スマホ決済の導入により“新しいべんり”を提供
銀行口座直結型サービスでスマホをお財布代わりに
ゆうちょ銀行は2018年度~2020年度の中期経営計画の中で、お客様本位の良質な金融サービス実現のための“新しいべんり”の提供をうたい、その柱の1つに非現金決済の充実を挙げている。その重要な施策の1つがスマホ決済で、これを実現したのが、5月8日に取り扱いを開始した「ゆうちょPay」である。
「ゆうちょPay」は、ゆうちょ銀行の口座を保有している顧客が、ゆうちょ銀行と契約した加盟店での代金支払いの際、専用のスマホアプリの操作によって、あらかじめ登録したゆうちょ銀行口座から代金を即時に引き落とす、銀行口座直結型のサービス。クレジットカードの登録や、事前チャージの必要がなく、現金感覚で利用することができる。ゆうちょ銀行コーポレートスタッフ部門 経営企画部 担当部長 表邦彦氏は、「ゆうちょPay」を、「日頃から生活口座として利用しているゆうちょ銀行の口座と、常に携帯しているスマホを紐づけることで、まさに口座を財布代わりに使っていただけるサービス」と説明する。
「ゆうちょPay」はGMOペイメントゲートウェイの「銀行Pay」の仕組みを使っている。表氏は、「後発とはいえ、できるだけ早く新サービスをスタートさせたいと考えていた折り、横浜銀行の『はまPay』などで実績のある『銀行Pay』を活用させていただくことに決めました」と話す。
まずはスマホ決済に慣れ親しんでもらうことを第一義に機能を絞り込んでスタートし、顧客のニーズを取り込みながら随時、機能拡張を図っていきたい考えだ。
全国の郵便局のリアルチャネルを活用し
フェース・トゥ・フェースで利用促進を図る
ゆうちょ銀行では「ゆうちょPay」のスタートに先立ち、マーケット調査を実施した。その結果、キャッシュレスを利用していない最も大きな理由は、不安や心配であることがわかった。これを踏まえて「ゆうちょPay」は①安心・安全、②”べんり”、③おトクの3つをキーワードにサービス展開を図っている。
1つ目の「安心・安全」に関しては、セキュリティ対策をはじめ、ユーザー自身が利用限度額を設定できる使いすぎ防止策を設定。また、全国津々浦々に張り巡らされた郵便局のネットワークを活用し、フェース・トゥ・フェースで丁寧な告知・サポートに努めることで、安心して使ってもらえる環境を提供できると同行では考えている。
2つ目の「”べんり”」は、スマホ決済の特性そのものだ。スマホを端末にかざした瞬間に口座から代金が引き落とされるという口座直結型のシンプルな仕組みは、これまでキャッシュレス決済を使っていなかった層にも受け入れられやすいと同行は見る。またこの仕組みは、クレジットカードと異なり、与信不要で、口座を持っていれば年齢などにかかわらず誰でも利用できる点でも利便性が高い。ただ「ゆうちょPay」は口座直結型サービスに固執しているわけではなく、将来的にユーザー層が広がって別の要望が出てくれば、ほかの決済手段を追加することも視野に入れている。
現在は店頭支払いがメインだが、払込取扱票による公共料金や通販利用代金の支払いにも利用が可能。また、東急電鉄各駅の券売機から現金を引き出せるキャッシュアウト・サービスにも対応している。
3つ目の「おトク」に関しては、加盟店との連携によるキャンペーンの展開などを考えているという。
加盟店は家電量販店やドラッグストアなど1万3,000
登録者数は1カ月弱で20万人、2年後1,000万人が目標
「ゆうちょPay」の加盟店は現在、ヤマダ電機、ケーズデンキなどの家電量販店、ウエルシア薬局、キムラヤ、マルエドラッグなどのドラッグストア、松屋などの外食・ファストフードチェーン、コンビニエンスストアのミニストップなど1万3,000店。一方、スマホアプリをダウンロードし、口座を登録したユーザーは、5月末時点で20万人だ。
ゆうちょ銀行ではスタートから3年後の2021年度に「ゆうちょPay」の利用者数1,000万人を目標としている。この目標達成のため、加盟店開拓などに力を入れる。
GMOペイメントゲートウェイの「銀行Pay」を活用している「ゆうちょPay」は、同様のサービスを利用している横浜銀行、福岡銀行、熊本銀行、親和銀行などと連携しており、互いのユーザーが互いの加盟店で利用することが可能となっている。また、国のQR・バーコード決済の統一規格であるJPQRにも参画している。表氏は、QRコードに加え、さまざまなインターフェースを用いることも検討していきたいとした。
なお、日本郵便は2020年2月から郵便局の窓口のキャッシュレス決済の試験運用を開始すると発表しており、ここでも「ゆうちょPay」の利用が可能になるものと期待されている。