2011年12月26日10:00
ネットからリアルへ 購買につなげる新・eクーポン戦略
単発の販促施策からCRM戦略の一環への昇華が期待される
小売・サービス業において伝統的な販売促進手法である“クーポン”。かつては新聞折り込みチラシやポスティングなど、紙媒体に印刷されて配布されるケースが多かったが、近年ではインターネットを経由してスマートフォンやケータイに届けるものが主流になりつつある。今回の特集では、ネットユーザーをリアルな購買の場に引き寄せるクーポン戦略のあり方を探った。
古くて新しい販売促進手法“クーポン”
インターネット、モバイル端末の普及により、クーポン配布のハードルは低下している。その結果としてクーポンを活用する企業が増加している中で、マンネリ化した取り組みでは、多くの成果を得ることは望めなくなっている。成功のカギは、CRM 戦略の一環としての位置付けと、見込客・顧客のニーズに合った魅力的なオファーの開発にあると言えるだろう。
小売・サービス業における伝統的な販売促進手法である“クーポン”。割引サービスなどをオファーに来店・購買を喚起するこの手法では、かつては新聞折り込みチラシやポスティングなど、紙媒体に印刷して配布されるケースが多かったが、近年ではインターネットを経由してケータイやスマートフォンに届けるものに主流が移りつつある。今回、本誌が独自に行ったアンケート調査でも、「あなたは割引クーポンをどこから入手することが多いですか」という設問(SA)への回答で、「ケータイやPC のWeb サイト」(22.8%)、「ケータイやPC へのメルマガ、e メール」(13.2%)の合計が36.0%で、「新聞折り込みチラシ、ポスティング」の28.6%を7.4 ポイント上回っており、時代の変化を映し出した。
また、Facebook チェックインクーポンのように、位置情報を登録して入手するクーポンの利用経験者は、16.8%であった。今やクーポンはお客さまをネットからリアルへ、オンラインからオフラインへ呼び寄せるためのツールになりつつあると言っても過言ではないだろう。
ただ、配布する企業にとって、クーポンの目的が新規顧客やリピーターの獲得にあることは、紙媒体が主流であった時代から変わらない。その意味では、インターネットやケータイ、スマホの普及を背景に、より届けやすく、低コストで、かつ生活者にとっても利便性が高い配布方法への移行が進んだと言うこともできるだろう。
いずれにしても、現在も多くの小売・サービス事業者がクーポンを有効な販売促進手法として活発に利用していることは間違いない。一方、前出のアンケート調査で、この1 年間にひとつでも割引クーポンをもらった人にどこで使ったかを複数回答で尋ねたところ、「飲食店、ケータリングサービス」が62.0%、「コンビニ、スーパー」が30.6%などとなり、「ひとつも使っていない」人は14.4%にとどまっている。
今回の特集では、ネットユーザーをリアルな購買の場に引き寄せるクーポンのあり方を探った。