2010年10月6日9:15
(12)世界最大のICカードチップベンダー、NXPセミコンダクターズ(下)
Android向けハードウェア
非依存型NFC APIの普及促進で協業
――NFCの取り組みでも業界をリードしていますね。
巴:NFC技術がリリースされて8年、世界で200以上のNFCの実証実験が行われ、各ICベンダー・携帯端末ベンダー・MNO・TSM・サービスベンダーの役割分担、非接触モバイル決済を中心に考えられたNFCのキラーアプリケーションの明確化、NFCフォーラムの各種仕様標準化と、本格事業化へ向けて準備が整ったと見ています。特に右図でご覧いただけるように、使用される機会も「決済」だけではなく、「医療」「アミューズメント」「マーケティング分野」など非常に幅広く考えられています。
また昨今のスマートフォンやタブレットPCなどの普及で携帯端末の操作性の向上、データ送受信のブロードバンド化、それらによるアプリケーション購入などの決済機会の増加、そしてソーシャルネットワーキングの普及など、NFC技術と親和性の高い要素が多く出てきています。NXPはこの分野において、STマイクロエレクトロニクス社、Trusted Logic社、Stollmann社と協業し、Android向けハードウェア非依存型NFC APIの普及促進を行っており、今後NFCの実用化に向けて各社の端末のNFC組み込み、Android OS上のアプリケーション実装におけるオープンなプラットフォームを提供することができるようになりました。
このようにNXPとしてはICの供給だけに留まらず、ファームウェア・ミドルウェアも提供することができるトータルソリューションを提供しています。
PN544の製品リリースで
ETSIとISOのNFC規格フルサポート
――携帯電話向け「PN544」の技術動向につきましてはいかがでしょうか?
巴:PN544の製品リリースにより、ひとまずETSI(ヨーロッパ電気通信標準化協会)とISO(国際標準化機構)のNFC規格フルサポートしている状況です。近々はETSIやNFCフォーラムの新たな仕様を盛り込んだマイナーアップデートと、市場の拡大にあわせ高性能で低コストを実現する次世代製品の開発を順次行っていく計画です。またセキュアエレメント側でも最新のJavaCard OSの対応や、マイクロSDへの実装に適した製品、セキュアエレメントとPN544の1パッケージ化など、NFCフロントエンド・セキュアエレメントともに積極的に製品をリリースしていく計画です。
――今後の御社の取り組みについてお聞かせください。
巴:引き続き非接触ICカード、NFC市場の成長は大きく見込まれています。NXPとしてはMIFAREとNFC技術のシナジーを核に、今後もICベンダーとしてNFC・MIFAREの高性能な非接触技術のプラットフォームを提供することに注力していきます。またNFC・MIFAREの開発者(インベンタ)として、市場拡大におけるあらゆるライセンス・各パートナーとの協業を強化していきたいと考えています。