2021年1月21日8:00
分析プラットフォームを提供するTableau Softwareは、このほど、コロナ禍におけるデータ利活用についての意識調査を実施し、その結果を発表する説明会を開催した。同説明会では三井住友海上火災保険が、コロナ禍におけるデータ利活用、およびデータカルチャーの重要性を紹介した。
日本企業におけるデータドリブン組織の意識は?
コロナ禍のデータ利活用の意識調査は、英国のYouGov社に調査を依頼し、中堅以上の管理職およびIT意思決定者2,500名が対象となった。回答者の25%は1000名以上の企業となる。アジアの調査対象は、シンガポール、オーストラリア、インド、日本(以下、4カ国でAPJ)となる。
まずは、自社がデータトリブンな組織であるかを質問した。ここでのデータドリブン企業の定義は、データを大切にし、社員がデータにアクセスしてデータに基づいた経営判断ができる ようにしている企業となる。日本では、51%がデータトリブンな組織であると認識。参考として、アジアで62%、ドイツ、ニュージーランド、フランス、イギリスのEMEAで56%となっている。
データトリブンがもっとも進んでいるマーケットは、通信・メディア・テクノロジーとなった。また、1,000名以上の大企業であればあるほど、データトリブン企業であるという結果となった。
同調査では、日本のデータドリブン企業の75%が、パンデミックにおいてもデータ利活用により重要なビジネス上の利益を得ているとしている。一方で、日本のデータドリブンではない企業は、データの重要性についての認識が低く、必要不可欠なメリットを提供するとみているのは33%となった。
業種別データを見ると、通信・メディア・テクノロジーの89%、金融サービスは80%、小売は78%がデータドリブン企業の中でデータ利活用の優位性に同意している。
コロナ禍における企業が感じたデータ活用の利点は、「意思決定の迅速化」(39%)、「横断的なチームコラボレーションの増加」(38%)、「ステークホルダーとのより効果的なコミュニケーション」(36%)、「ビジネスをよりアジャイルにする」(32%)が挙げられる。
データドリブン組織はよりスキル・人材育成に投資
データドリブンの企業では、日本の73%が今後6カ月間に既存の投資を増加・維持すると回答した。一方で35%の日本のデータドリブンではない企業が、データスキルへの投資を縮小させるあるいはまったく投資しないと回答している。Tableau Software LLC カントリー マネージャーの佐藤 豊氏は両者について、「格差が広がるのは危惧する点」であるとしている。
さらに、データドリブン企業であることで将来の見通しを尋ねたところ、データドリブン企業は28%、データドリブンではない企業は19%となり、9%の差が出ている。
パンデミック禍でデータトリブン組織が学んだことは、「よりよい品質のデータ」(66%)、「データの透明性」(65%)、「データスキルへの投資」(64%)、「変わりゆく需要に対応するためには、より俊敏性が必要」(63%)となった。パンデミック禍で直面した課題としては、「将来の計画と課題」(67%)、「製品・サービスの継続性」(62%)、「能力開発の評価と向上」(62%)となっている。
三井住友海上は教育コンテンツのWeb化で成果
当日は、三井住友海上火災保険 デジタル戦略部業務プロセス改革チーム 課長の横山 輝樹氏がデータトリブン組織への取り組みについて紹介した。同社では、デジタライゼーションを柱の1つとして取り組んでいる。Tableauは2019年4月から導入している。20名からスタートして、1年後に82名、現在は約150名のTableauユーザーに対して教育を行っている。これまでリアルで研修を行っていたが、コロナ禍によりすべてのコンテンツをWebで提供しているが、自分の時間で研修を受けられ、後から見直しも可能であり、場所や時間に問わない推進で参加者の拡大につながった。横山氏は「総合的には高い品質を提供できています」と成果を述べる。
佐藤氏はまとめとして、「データドリブン企業とそうでない 企業とのデータ格差が広がっている」「データは企業の資産であり、あらゆる企業がデータを活用するべき時代が始まっている」「組織にデータカルチャーを醸成す るためにはスキルが必要である」とした。Tableau Softwareでは、製品提供に加えコンサルティングを強化して、データ利活用の促進させていきたいとした。