県全域を対象とした「沖縄MaaS」で乗車券や観光チケットデジタル化

2021年4月14日8:00

複数の交通手段、観光・商業施設、自治体と連携し、多様なサービス提供

沖縄都市モノレールは、TIS、琉球銀行、ゼンリンと協力して、沖縄全域における観光型MaaS 実証事業「沖縄 MaaS」を2020 年12 月23 日~ 2021 年3 月31 日まで実施している。同事業には、交通事業者20 社以上、交通事業者以外10 社以上、7 自治体が参画。実証事業終了後の4 月以降もサービスを順次拡大し、公共交通の利便性に加え、地域の活性化を目指す。

複数チケットをセットで販売
ゆいレールではスマホをかざして改札通過

沖縄MaaSは、国土交通省の「令和2年度 日本版 MaaS 推進・支援事業」に選定されている。沖縄全域のモノレール、バス、船舶などの乗車券や観光/商業施設、その他サービスとの連携を目指した事業であり、「県全域で行われ、利用エリアが広い特徴があります」と沖縄都市モノレール 石井正氏は話す。沖縄都市モノレールでは、実証実験全体の取りまとめを実施。2019年に八重山地域でのMaaSサービスの経験などがあるTISがMaaS基盤構築と同事業の企画立案、琉球銀行がキャッシュレス決済サービス、ゼンリンが地図検索サービスを加盟店に提供する。

2020年12月23日からの第一フェーズでは、沖縄都市モノレール、カリー観光バス、東京バス、やんばる急行バスの電子チケットを電子化するとともに、美ら海水族館、首里城公園に1割引で入場できるチケットを販売している。利用者は、沖縄MaaSのWebサイトで利用登録を行い、好きなチケットを購入して利用可能だ。アプリは、利用者のダウンロードの手間、運営コストの観点から採用を見送った。

電子チケットは終日券、24時間/48時間券を販売しているが、交通と観光がセットになった当日券が売れている。石井氏は「お客様に使用していただきやすい値段を設定しているため、メリットを感じていただけているようです」と説明する。

ゆいレールの改札はQRコードの読み取りに対応しているが、沖縄MaaSでは、ゆいレール乗車時に、スマートフォンに表示されたQRコードを改札機にかざすと乗車が可能だ。沖縄都市モノレールでは、TISなど5社と連携して、2018年7・8月に中国の決済サービス「Alipay」を改札で読み取る実証実験を実施し、改札機の読み取り速度を検証した実績がある。鉄道改札機でAlipayが直接利用できるサービスは国内初となったが、QRコードは、イニシャルやランニングコストが安いため、当時から幅広く活用できる期待があった。現在はオペレーション上の問題なく読み取りができているそうだ。課題として、1人で複数枚のチケットを購入した場合、QRチケットを改札にかざして通ることができず、駅員に見せる必要がある。

ゆいレールでスマートフォンに表示したQR コードをかざして改札機を入場する流れ

ゆいレール以外の交通事業者、施設では、紙のQRコードを利用者のスマートフォンで読み取り、チケットを係員に見せて利用する「MPM方式(Merchant Presented Mode)」を採用している。これにより、参画事業者のコストを抑制している。

4月以降も取組継続を視野に
クーポンや共通ポイント連携も

3月17日からの第2フェーズでは、ゼンリンの地図検索、ヴァル研究所のリアルタイム検索機能がスタートすると共に、沖縄全域の交通事業者、観光施設が対象に加わる。また、浦添市オンデマンドバス、宮古島MaaSとのリンク連携、観光・商業施設のクーポンサービス、シェアリングサービスとの連携も行う(※)。

沖縄MaaSは、2021年3月末までの事業となり、国には2月末に報告書を提出しているが、4月以降も取り組みを継続させたい考え。すでにクーポン事業者、大手共通ポイント事業者、旅行代理店などと連携を協議中だ。キャッシュレス決済の対応は現在、琉球銀行の協力を得ており、VisaとMastercardのクレジットカード、デビットカードが利用可能だが、4月以降は沖縄銀行と連携してJCBブランドの導入も想定している。

事業展開の際、運営面でのコスト負担はネックとなるが、観光型MaaS、地域住民の利用も含めて、地域の交通課題にどう向き合うかを考えて事業化を目指す。沖縄県では、地域住民や観光客の自動車の利用が多く、都市部での渋滞が深刻化しているが、公共交通分担率を高め、沖縄全県の観光・商業施設への観光客、地域の人々の周遊と分散を目指す。TIS 田村友克氏は「先行するMaaS事業同様に、月1,000件のチケットを販売し、5,000会員を獲得するサービスに育てていきたいです」と意気込みを見せた。

なお、ゆいレールでは、沖縄の交通ICカード「OKICA」を導入しているが、2020年3月10日から「Suica」およびSuicaと相互利用する交通系ICカードの利用が可能となった。沖縄MaaSによる電子チケットなど、多様な決済手段で利便性を高めたいと考えており、国際ブランドのクレジットカードの導入も検討しているそうだ。

(※)当初は2月13日に第2フェーズを開始する予定だったが、政府の緊急事態宣言と沖縄県独自の緊急事態宣言が延長されたため、開始を見直した

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