2011年1月6日15:18
世界最大級のICカードの展示会である「Cartes IDentification 2010」が2010年12月7日から9日まで、フランス・パリのノール・ヴィルパントで開催された。今回は25周年の節目にあたり、パリの大雪で来場に大きな影響がでたが、ICカードビジネスなどに携わる432社が出展し、1万8,768人が来場した。出展者の7割以上が海外からで、来場国は140カ国を上回った。
Cartes IDentification 2010ではブース展示やセミナー、革新性を認められた製品やサービスに贈られる「セサミアワード」の受賞式などが行われた。
ブース展示では、環境に配慮した素材のカードをPRする企業が目立った。ジェムアルト、ギーゼッケ&デブリエント、オベルチュール・テクノロジーズといった大手ベンダーは環境に配慮したSIMカードを展示。例えば、1枚のカードから複数のSIMが取れるように工夫したり、SIMを取る部分はABS樹脂だが、周囲は紙加工を施したカードをPRしていた。そのなかで日本の凸版印刷では紙素材でプラスチック並みの耐久性を誇る生分解性100%の紙カードを展示。ひと際注目を集めていた。
SIMカードの発行枚数は世界で40億枚に上るといわれているが、今後は環境面に配慮したSIMカードの開発が市場での競争力を高めることになりそうだ。
もう1つ注目を集めたのが、カードの券面にディスプレイなどが入ったワンタイムパスワードカードだ。欧米では国際ブランドのVisaやMasterCardがワンタイムパスワードを導入する動きが活発になっているという。実際、海外では数百万枚単位でワンタイムパスワードカードを採用する動きがあるそうだ。
Cartes IDentification 2010ではVisa、MasterCardといったブランドをはじめ、台湾、イスラエルの企業など、多くのブースでワンタイムパスワードカードのPRが行われていた。国内企業では大日本印刷やトッパン・フォームズが紹介を実施。中にはキーボードが付いたカードをペイメントカードとロイヤルティカードとして切り替えて利用するカードもあった。
NFCに関しては、各ブースではそれほど目立ってはいなかったが、NXPセミコンダクターズがセミナーなどでPRを行っていた。また、セサミアワードを受賞した10点のうち「インサイド コンタクトレスのオープンNFC」「オベルチュール・テクノロジーズのナイスNFCシティー用NFCナウ」の2点がNFC関連だった。
そのほか、開催国のフランスを本拠とするプリンタメーカーのエボリスが大きなブースを構えるなど、ダイレクトプリンタ関連の展示も目立った。またホログラムのPRに力を入れる企業も多かった。
会場の各ブースにはテーブルとソファが置かれ、商談が活発に行われていた。また、来場者にシャンパンなどをふるまったり、展示会終了後にはギターの演奏を行う企業もあった。出展した企業の中には「ここ数年のCartes IDentificationのなかでもっとも盛り上がっている」との声もあったほど、会場は活気に満ちていた。
なお、Cartes IDentification 2011は2011年11月15日から17日までノール・ヴィルパントで開催される予定だ。