2022年3月3日12:14
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、2022年2月22日、Visaデビットの状況を説明するオンライン説明会を開催した。当日は、「TSUBASAちばぎんVisaデビットカード」を発行する千葉銀行がイシュイング(カード発行)、アクワイアリング(加盟店開拓)双方でキャッシュレスに取り組む理由、これまでの成果について紹介した。
世界のVisa取扱高の52%がVisaデビット
高校生は97%が利用に満足
新型コロナウィルス(COVID-19)の感染の影響を受けて消費支出の減少がみられた。今後、コロナが落ち着き、消費の活動も戻っても恒常的な変化をもたらした面もある。人々の消費行動はよりオンラインに変化してきた。また、キャッシュレスを好む消費者も増えている。ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 コンシューマーソリューションズ部長 寺尾林人氏は「そういった環境下においての貢献は、キャッシュレスの推進でデジタル化社会の転換、消費者にメリットがある社会に貢献していきたい」と話す。キャッシュレスの軸を回すため、Visaが日本においてドライバーの1つとしているのがタッチ決済で、この2年間で利用者も増えてきた。また、非対面決済でのトークン化、そして、デビットが挙げられる。
Visaデビットは、Visaのお店であればどこでも使える銀行直結型の決済だ(イシュアによってインフラ上、利用できない店舗・シーンもある)。口座と紐づくことですぐに引き落とされ、決済が可能だ。日本でも徐々に利用者が増えている。
Visaが12月に行った調査によると、利用者にとってのデビットの魅力は「利用すると、銀行口座からすぐに引き落としになる」が51.9%、「Visaの使える店舗であれば世界中のお店で使える」が44.4%、「インターネットショッピングで使える」が53.8%、「キャッシュバックやポイントなどの特典がある」が44.4%となった。
社会的にみても、現金と比較したメリットとして、ATM運営コスト削減、現金を運搬・補填するメリット、現金の取り扱いコストを削減できる点があるとした。
Visaの決済の状況として、2021年の世界のVisa取扱高の52%がVisaデビットとなり、取引件数の66%を占めた。2019年の取扱高が45%だったため、デビットの割合が増加している。特に日常利用として使われることが増えたという。
現在、国内のVisaデビットの発行銀行数は37行(2022年2月現在)、発行枚数1,770万枚(2021年12月末)となる。「非常に大きな規模になっており、右肩上がりで増えています」(寺尾氏)。取扱高は直近10年間で20倍に増えた。例えば、英国では10年前は圧倒的にデビットが少なかったが、現在は大きく逆転している。寺尾氏は、今後日本でも5年後、10年後に受け入れらればシフトが起きるとした。
DX(デジタルトランスフォーメーション)観点でのメリットは、銀行を取り巻く環境として、低金利の長期化、資金余剰の状態が民間セクターで続いている。コロナ禍で銀行支店に行く人が減り、対面からデジタルにシフトしている。こういった状況の中、DXの観点では競争優位性の確保が目標になるが、銀行口座のデジタル化、脱現金化により、銀行のコスト削減、口座サービスの強化など、顧客接点が強化できる。また、アプリやオンラインバンキングを通じたデジタル接点も含めると、これまで見えなかった行動が見えるようになり、より良いサービス開発につながるとした。その先には決済データを通じた付加価値の提供も挙げられる。
Visaデビットの利用者は、普段からATMを利用している回数が少ないというデータがあるそうだ。また、インターネットバンキングやアプリを利用している人が多い。インターネットバンキングで残高を確認する頻度も多く、毎月一定割合を貯蓄している人の比率も高いそうだ。
現状、Visaデビットの満足度は高い評価を得て、利用者の9割が満足している。特にデジタルネイティブの高校生は97%が満足している評価があるとした。寺尾氏は「より広い世代に広がることがデジタル化に向けて推進するドライバーになります。これからは、銀行口座はデビットで直接デジタルに使うことが当たり前になることが社会的なメリットになります。お金のストレスを軽減できる世界を目指したいです」と意気込みを見せた。
Visa等のプリンシパルのライセンス取得
自らの発行で年会費無料化、幅広い発行が可能に
「TSUBASAちばぎんVisaデビットカード」を発行する千葉銀行は、千葉に160、東京15、その他14店舗で営業をしている。また、15社の子会社で構成しており、カードビジネスについてはちばぎんJCBカード、ちばぎんディーシーカードが担っていたが、「TSUBASA キャッシュレス決済プラットフォーム」を構築し、2019年10月から、地域の事業者に「TSUBASA ちばぎんキャッシュレス加盟店サービス」の提供を開始している。
なお、千葉銀行では、同行と第四北越銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行、武蔵野銀行、滋賀銀行、琉球銀行、 群馬銀行の 10 行が参加する地銀広域連携の取り組みとなる「TSUBASAアライアンス」を組成しており、合わせると78兆円とメガバンク3行に次ぐ規模になっているとした。
同行が銀行本体でキャッシュレスに取り組む理由として、国内のキャッシュレスは約30%の割合となっており、「さらに加速し、2025年の40%達成は確実視されています。将来は80%を目指していますが、キャッシュレス決済市場が166兆円増加する可能性を秘めています」と千葉銀行 執行役員 カード事業部長 俣木洋一氏は話す。今後は、銀行が従来関与した決済取引は縮小するため、銀行が本気になって取り組む必要があるとした。
千葉銀行では、銀行本体でVisaとMastercardのプリンシパルのライセンスを取得して、加盟店事業を2019年10月より実施している(関連記事)。業務とシステムを内製化し、加盟店の決済システムと決済センターを構築した。また、これまではJCBデビットを発行していたが、「業務委託費もかかって、年会費も徴収していた」という。「TSUBASA ちばぎんVisaデビットカード」を発行することで、年会費の無料化が可能になり、すべての利用者に発行できるようになったという。さらに、ポイント管理システムも構築し、独自のポイントサービス「TSUBASA ポイント」の提供も可能となった。俣木氏は「コスト削減と開発の自由度を得ましたので、競争力とサービスの提供力が増しました」と成果を述べる。
デジタルバンクで顧客接点強化へ
カード発行や加盟店開拓の成果は?
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