2022年3月28日6:00
若年層から高齢者まで地域でのキャッシュレス化を促進へ
佐賀銀行は、2020年1月7日から新たなキャッシュレス手段として、即時払いが可能な「さぎんJCBデビット」の取り扱いを行っている。同行では、スマートフォン専用アプリ「Wallet+」と併せて日常的に利用してもらうことで、利用者との関係を深めていきたいとしている。
即時決済型のキャッシュレス追加
日常使いでの利用が目立つ
佐賀銀行では、佐賀県の第一地銀として地域に密着した事業展開を行っている。「さぎんJCBデビット」は、国内外のJCB加盟店(3,700万店)で原則指定口座の預金残高範囲内で利用でき、原則利用の都度、代金が指定口座から引き落とされる。年会費は、初年度無料、次年度以降1,375円(税込)。中学生を除く15歳から入会が可能で、「若年層からお年寄りまで幅広くご利用いただけます」と、佐賀銀行 営業統括本部 小道雄樹氏は話す。利用者は、スマートフォン専用アプリ「Walet+」と連携したり、Apple Pay、Google Payにカードを登録して、日本全国で約170万台ある「QUICPay+」加盟店で、スマートフォンをかざして支払いを済ませることが可能だ。
佐賀銀行では、利用者のキャッシュレス化が進み、消費行動が多様化する中、そのニーズに対応するため、即時決済型のキャッシュレス決済手段として「さぎんJCBデビット」を展開することとなった。キャッシュレス決済ではクレジットカード「モテカカード」を発行していたが、収入による利用制限や審査により、カードを保有できない人もいる。その点、デビットカードは収入審査不要で、クレジットカードを持てない層の取り込みも可能だ。小道氏は「デビットは日常使いに適しており、より身近にキャッシュレスを感じていただけます。1回使っていただければ、便利さは実感いただけると思います」と説明する。
サービスの開始から1年が経過したが、カードの利用は概ね想定の範囲内だという。幅広い年代の人が利用しているが、中でも10代、20代、30代の若い世代の利用率が高い傾向にある。加盟店としては、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど、日常使いの店舗での稼働が目立つ。
「Wallet+」とセットで訴求
キャンペーンで稼働活性化へ
また、カードの継続率も高い傾向にある。利用者は、「年間10万円以上の利用(ショッピングのみ対象)」「本会員の年齢が23歳未満」「携帯電話料金をさぎんJCBデビット支払いに設定」「引落し口座を『Wallet+』のメイン口座として登録している」のいずれかを満たすと次年度の年会費も無料になる。小道氏は「引落し口座を『Wallet+』のメイン口座として登録いただければ、年会費は無料となり、ポイントの還元率も高まるため、『myCoin(マイコイン)』を便利に貯めてもらう流れができていることが大きいです」と述べる。
「Wallet+」では、さぎんJCBデビットやモテカカードの利用状況を把握でき、口座残高や明細をスマホでチェックできる。また、目的別預金を設定することで、目標に向けて積み立てを行うことが可能だ。
佐賀銀行では、入会キャンペーンを実施するなどサービスの訴求に力を入れている。直近では、2022年1月末までの入会者限定で、2月末までApple Pay、Google Payを登録・利用した人に対し20%をキャッシュバックするキャンペーンを実施した。毎年、春先は口座開設が多い時期だが、その際にキャンペーンも合わせて行うことで、「さぎんJCBデビット」と「Wallet+」をセットで利用してもらいたいと考えている。銀行窓口の店頭にはタブレットを置いており、口座開設の際にデビットカードをセットで提案している。
モバイル決済の伸びしろに期待
若年層の金融教育にも貢献へ
今後の展開として、「さぎんJCBデビット」の利用者を伸ばすとともに、稼働をさらに高めていきたいとした。特にモバイル決済の利用についてはまだまだ伸びしろがあると感じている。
国内でも高齢化が進み、サービスの非対面化が進む中で、若年層に対してのタッチポイントはさらに限られたものになることが予想される。そのため、「さぎんJCBデビット」や「Wallet+」を含め、顧客接点をさらに増やしていきたいとした。また、4月から高校生が金融教育の授業を受けることになるため、「地域でのキャッシュレスセミナーや学生教育で訴求できたらいいですね」と小道氏は意気込む。佐賀県は全国的に見てまだまだキャッシュレス決済が普及するポテンシャルを秘めており、「さぎんJCBデビット」を中心に地域でのキャッシュレス化を根付かせていきたいとした。