NTTドコモ、「d払い(コード決済)」推進で面展開を強化し、生活導線上での利用活性化

2022年6月20日9:00

NTTドコモは、メルカリ、メルペイの協力を得て、全国の店舗において2020年9月から、1つのQRコードで「d払い」と「メルペイ」の両スマホ決済サービスが利用できるサービスを推進している。これにより「d払い(コード決済)」の個店での導入促進につながり、ユーザーの日常利用が増え、大手も含めた店舗での稼働が活性化した。NTTドコモでは、共通ポイント「dポイント」をフックにユーザーの利用を促すとともに、店舗の販促支援も強化している。

NTT ドコモ ウォレットビジネス部長 田原務氏

記事のポイント!
①「d払い」「dポイント」は好調な伸び
②約2,700億発行のdポイントが来店のフックに
③手数料を有料化しても影響は少ないと想定
④MPMで先行するメルペイにより加盟店が拡大
⑤MPMの拡大でCPMの利用を促進
⑥「d払いステップボーナス」が好評
⑦好調の「スーパー販促プログラム」は個店向けの料金体系を検討
⑧収益的なバランスを意識
⑨「d払い」のクレカ設定で「dカード」「dカードGOLD」以外のポイント還元を廃止した理由は?
⑩日本で一番使われている状況を目指す
⑪スマホ活用のサービスで付加価値を提供へ

利用者・加盟店が拡大する「d払い」「dポイント」
新規の「d払い(コード決済)」店舗に手数料無料キャンペーン

NTTドコモの2022年3月期決算によると、「dポイントクラブ」会員数は8,908万、うち「dポイントカード」登録数5,786万、dポイント利用が2,703億ポイント、提携先での利用が2,081億ポイントとなっている。金融決済取扱高は2020年度の6兆9,800億円から2021年度は8兆8,600億に増加。そのうち、d払いが+55%の1兆2,560億円となったように、コロナ禍でも成長が続いている。d払いユーザー数は4,375万人となり、前年比+24%伸びた。また、dポイント・iD・d払い決済(コード決済およびネット決済)が利用できる決済・ポイント利用可能箇所は2020年度の309万から2021年は410万となり、100万箇所以上増加した。これらの数字を見てもわかるように、d払いは、利用者、加盟店双方で順調に成長しているといえるだろう。

d払い加盟店には、大手コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパーマーケットなどが名を連ねる。中でも大手コンビニエンスストアでの利用が多いが、ユーザーがQR/バーコードを読み取るMPM(Merchant‐Presented Mode)方式となるd払い(コード決済)も日常的に利用されている。特に飲食店や居酒屋、美容院の利用率が高い。

NTTドコモでは、全国の加盟店において、1つのQRコードでメルペイの「メルペイ」とd払いの両スマホ決済サービスが利用できるサービスを展開しているが、2021年9月1日~2022年9月30日までに新規でd払い(コード決済)を申し込んだ加盟店を対象に、決済手数料を無料とする「『d 払い』をはじめる街のお店を応援!手数料無料キャンペーン」を実施中だ。

同キャンペーンは、キャッシュレス決済の導入に躊躇する加盟店も多いため、まずはd払いの良さを理解してもらう目的でスタートした。NTT ドコモ ウォレットビジネス部長 田原務氏は「d払いのユーザーはdポイントを持たれている方が非常に多いです。dポイントは約2,700億ポイントが使われており、ポイント利用者が多く来店されています」と話す。d 払い(コード決済)の導入店舗では、d払いでの決済時、200円で1ポイントが付与されるため、来店の動機づけとなっているそうだ。

NTTドコモでは、d払いの手数料について調査したが、「それが原因で利用を中止するところは少なく、利用者のニーズで判断するケースが多いです」と田原氏は説明する。d払いの加盟店では、基本的には利用者が希望する決済手段を揃えたいと考える店舗が多いという。d払いはもちろん、他の主要なコード決済事業者も多くのユーザーを抱えているため、「お店を利用する消費者のニーズを踏まえたうえで導入を決められています」と田原氏は語る。コロナ禍でd払い(コード決済)の取引が少なくなった時期もあったが、4月、5月は回復し、コロナ前の状況に戻りつつある。キャンペーン期間中に加盟店になった店舗については、手数料有料化後も店舗への送客効果が見込めるため、解約するケースは少ないとみている。

なお、d 払い(コード決済)の手数料は通常2.6%となり、中小加盟店がクレジットカード決済を導入するよりも安価であると認識している。

メルペイ加盟店を皮切りに設置が進む
煩雑な手続きなく、導入が可能に

d 払い(コード決済)導入の推進にはメルペイの役割も大きい。メルカリとメルペイ、NTTドコモでは、2020年2月に業務提携に合意。同6月にはフリマアプリ「メルカリ」とNTTドコモの「dアカウント」連携を開始し、メルカリでdポイントが利用できるようになるなど、連携を深めている。メルペイとの共通QRコードを設置した時期はNTTドコモがd払い(コード決済)を強化する時期と重なり、メルペイ加盟店を皮切りに設置が進んだ。両社の座組では、メルペイがd払いの包括加盟店としてサービスを展開。加盟店は、一度の申し込みで、メルペイとd払いの双方を導入可能ため、煩雑な手続きなく、両コード決済を導入できる。田原氏は「メルペイの加盟店がd払いを使えるようになりましたので、取扱高も伸びました」と成果を述べる。なお、共通QRコードという意味では、デジタルガレージグループが提供する「クラウドペイ」、総務省の統一QR「JPQR」にもd払い(コード決済)は対応しており、今後の利用拡大に期待している。

メルペイとの共通QRによる決済の開始でMPM加盟店が拡大

当面の予定として、2022年9月までは新規加盟店の手数料0%は継続するが、10月以降の展開は未定となっている。田原氏は「MPMの加盟店が広がることで、店員が利用者のQR/バーコードをスキャンするCPM(Consumer Presented Mode)の利用が増えます。お客様にとって、自分の生活導線上で利用できる店舗が増えてくれば、d払いがさらに使われます。(手数料0%は)全体での影響を考えると、そこまでマイナスにはなっていません」とキャンペーンを評価する。当初はMPMを導入した店舗も利用者が増えるとともに、CPM方式に変更するケースも見受けられる。

最大3%還元の「d払いステップボーナス」が好評
「スーパー販促プログラム」の個店への展開も準備

ドコモユーザー限定の「d払い ステップボーナス」。通常ポイントとしての基本還元率0.5%、dカード還元率1%に加え、ステージポイントを最大1.5%付与している

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