2022年9月27日8:00
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は、2022年9月21日に、ゆうちょ銀行を招き、オンラインブリーフィングを開催した。Visaは銀行口座からの即時払いが可能な「Visaデビット」の展開を強化している。ゆうちょ銀行は、2022年5月より、1枚のカードで、ゆうちょ銀行のICキャッシュカードとしても、Visaデビットカードとしても使用できるVisaデビットカード「ゆうちょデビット」の取り扱いを開始している。当日は、同行が「ゆうちょデビット」の展開について紹介した。
「デビットは銀行口座の新しい使い方」
発行枚数1,890万枚、イシュア37行
当日はまず、ビザ・ワールドワイド・ジャパン コンシューマーソリューションズ部長 寺尾林人氏がVisaデビットのVisaデビット最新動向について説明した。
日本でもWithコロナ・Aferコロナに向けて進んでいる。新型コロナウィルスによるパンデミックから約2年半が経過したが、新たなステージに進む転換点にいる。パンデミックによる変化もあったが、定着する1つとしてキャッシュレスがある。Visaでは、日本におけるキャッシュレス戦略として、3年間の取り組みが結実してきた「タッチ決済」、カード番号を保護することが可能な「トークン」と並び、「デビット」を挙げた。
Visaデビットは15歳から持つことも可能で、銀行口座の新しい使い方だとした。これまではキャッシュカードを持って銀行ATMで現金を引き出して使う形だったが、デビットで直接支払いが完了する。こういった使い方をしてもらうことにより、金融機関のデジタル化、脱現金化、データ化につながるとした。
グローバルな状況として、Visaデビットの取扱高は2019年の3兆8,660億ドルから2022年は5兆7,930億ドルと約1.5倍、取引件数は1,095億1,200万件から1,546億9,700万件と約1.4倍に増加している。
UK PAYMENT MARKETS SUMMARY 2022によると、英国では2017年にデビットが現金を逆転し、コロナ後にさらにシフトが加速した。米国では、パンデミック開始後、Visaデビットの利用回数が増加。コロナ禍で信用力低下の背景もあるとしながらも、キャッシュレスにシフトする中で、デビットが選ばれているとした。加えて、特に18~24歳の若い世代の利用が伸びている。寺尾氏は「幅広い世代にお使いいただける手段」であると強調した。
日本のVisaデビットの発行枚数は、2022年6月末時点で1,890万枚。また、8月末時点での発行会社数は37行となる。
若年層が利用できるキャッシュレスに
Apple Pay対応への見解は?
Visaデビットの利用シーンとして、生活環境が非対面にシフトする中、eコマース、オンラインミュージック プラットフォーム 、オンラインゲームなどでの利用も増えている。
Visa委託調査「Visaデビットに関する調査」(2022年6月)によると、Visaデビットを利用する理由として、一般層全体では「口座からすぐ引き落とされるから」が42%となった。高校生は「クレジットカードを保有できないから」が41%、大学・専門学生は「インター ネットショッピングで利用できるから」が41%、社会人3年目は「口座からすぐ引き落とされるから」が47%となっている。
また、Visaデビットの魅力を尋ねたところ、「Visaデビットに魅力を感じている」が75%、「ATMに並ぶ必要がない」が31%、「いつものコンビニやスーパーで使える」が28%、「わざわざチャージする必要がない」が27%となった。高校生に関しては、「Visaデビットに魅力を感じている」が9割以上となり、高い支持を得た。また、「高校生でも持てる」点を36%が評価している。
高校生の金融に関する意識として、最も多かったのが、「適切な収入・支出管理方法を学びたい」が52.8%となった。
また、親・教師から見た、高校生がデビットカードを利用したほうが良いと思う点として、「利用できる金額は、口座残高の範囲になること」が35.3%、「お金の管理がしやすいこと」が33.8%、「お金の使いすぎを防げること」が30.9%となっている。
今後の日本を考えた場合、若年層が利用できるキャッシュレスが重要となる。銀行から見ても高校生、大学生に銀行口座を使っていただくために、こういった観点は重要だとした。寺尾氏は「Visaデビットは、銀行口座の新しい使い方。口座からそのままお買い物。」というメリットを掲げて、銀行のパートナーと推進していきたいと意気込みを見せた。
なお、Visaブランドのデビットは国内でApple Pay対応ができておらず、イシュアからの要望もあるが、「Visaとしてもスマホ、デジタル決済が消費者のニーズが高いと理解しており、重要な施策の1つですので幅広い意味で選択肢を提供すべく日々努力しています」と寺尾氏は語った。
「ゆうちょデビット」の発行後の状況は?
キャッシュカード一体型で持ち歩くカードを目指す
続いて、ゆうちょ銀行 営業部門 カードペイメント事業部 執行役部長 當麻維也氏が、ゆうちょ銀行のキャッシュレスの取り組みや、「ゆうちょデビット」のサービス開始後の状況について紹介した。
ゆうちょ銀行では、リアルに加えて、デジタルチャネルを強化している。デジタル戦略として、「ゆうちょ通帳アプリ」を2020年から開始したが、2022年3月時点では481万口座となり、足元では500万を超えている。2025年度には1,000万口座を目指す「ゆうちょ通帳アプリ」に家計簿・家計相談アプリを構築するなど共創プラットフォーム戦略を進めている。當麻氏は「バックボーンとしてキャッシュレス化を進めていかなければいけません。お客様基盤として、活口座で7,000万口座ほどあります。そういった方々にデジタル、キャッシュレスサービスをご利用いただきたいです」と説明する。ゆうちょ銀行では、ATM網が全国に完備されている。そのため現金志向が強い人が多く、全銀協のデータによるキャッシュレスの払い出し比率の平均よりも低くなっている。當麻氏は「それだけにキャッシュレス推進の余地が大きい」とした。
ゆうちょ銀行の現在のキャッシュレスのラインアップとして、クレジットカードの「JP BANKカード」、デビットカードの「ゆうちょデビット」、コード決済の「ゆうちょPay」がある。なお、デビットは2019年から「mijica」を提供していたが不正利用の問題があり、終了している。
紆余曲折を経てスタートした「ゆうちょデビット」では、キャッシュカード一体型を採用した。また、利用者のカード情報をカードの裏面に集約することで、カード利用時におけるカード情報の盗み見等のリスクを軽減し、個人情報保護のレベルを向上させている。當麻氏は「セキュリティ対策などを含め、安心、安全を重視した商品になっています」と説明する。
これまでの発行状況は想定を大きく上回り、mijica発行時よりも数倍の申し込みがある。すでにカード調達の目処はたったが、一時はカードの在庫が厳しくなるほどの申し込みが寄せられたそうだ。その背景として、コロナ禍などの社会的な背景の中で、世の中の潮流が変わっていることを挙げた。銀行口座の基本性能の1つとして、デビットカードのニーズがあり、認知度が高まってきた。
mijica発行時は、デビットカード単体だったが、「ゆうちょデビット」ではキャッシュカードとデビットカードを一体化し、利用者が普段の生活の中で常に持ち歩くカードになることを目指している。
10代、20代が約4割
約半数が最初のキャッシュレスに
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