専用端末決済からソフトウェア決済へ、NTTデータが新サービスを提供予定 COTSデバイスを活用、まずmPOSベンダーへのOEMから提供

2023年2月28日0:25

NTTデータは、Android OS搭載の汎用スマートフォンやタブレットをキャッシュレス決済端末として活用できる新サービスを開発し、市場投入の検討を進めている。同サービスは、導入や維持の手軽さから個店でのキャッシュレス利用拡大を見込むほか、接客から決済完了までがシームレスになることによって顧客満足度の向上を目指すサービスを構想している。(決済・金融・流通サービスの強化書2023【PR】)

キャッシュレス決済でデバイスフリー
新たな決済シーンの実現の旗振り役に

タッチ決済が普及の速度を早める中で、店舗側には専用のキャッシュレス決済端末の購入・設置費用の負担が重くなっている。そんな中で、注目されているのが、汎用のスマートフォンやタブレットなどのCOTS(Commercial Off-The-Shelf:棚からすぐに出して使える市販品の意味)デバイスをタッチ決済が可能なキャッシュレス決済端末として利用するソリューションだ。

CPoC(Contactless Payments on COTS:COTSでの非接触決済)は、COTSデバイスのNFC(近距離無線通信)機能を利用してクレジットカードを読み取る。専用カードリーダーの導入・設置は一切不要であり、COTSデバイスだけで手軽にクレジット決済を店舗で取り扱えるのが特徴だ。米Visaが、NFC対応のAndroidデバイスを決済端末として利用できるようにするサービス「Tap to Phone」を打ち出すなど、国際ブランドはCPoCの実用化や普及に向けて力を注いでいる。

NTTデータITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 戦略・ビジネス企画統括部 ビジネス企画開発室の清水秀大氏は「日本のPOS市場では専用端末からモバイル化やデバイスフリー化が進んでいますが、決済の世界で、専用端末を必要としないデバイスフリーの世界を広げることによって、日本のキャッシュレス推進と店舗ビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速につなげることができます。NTTデータは、日本のキャッシュレス決済のさらなる普及に向けて、COTSのプラットフォーマーになることを検討しています」と構想を述べる。

NTTデータが描くCOTSのプラットフォーマーとしてのビジネスモデルは、飲食店や小売店などにモバイル決済システムを提供しているmPOSベンダーなどに対し、COTSをOEM(相手先ブランドによる製造)委託するサービスだという。また、POS連携などを含むサービス拡張や、個社別のカスタマイズも含めて様々な加盟店要望に応えていく柔軟性の高いサービスとして市場に展開する構想を抱いている。

NTT データIT サービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 戦略・ビジネス企画統括部 ビジネス企画開発室 清水秀大氏

「初期投資の負担なし」が魅力
加盟店にもmPOSベンダーにも恩恵

資金力の乏しい小規模の加盟店にとっては、キャッシュレス専用の決済端末を設置するには初期投資の負担が重いため、mPOSベンダーの中には、端末の費用を肩代わりしているケースもある。NTTデータが構想する新サービスでは、店側が手持ちのスマホを非接触用決済端末として使用できるため、加盟店にとっても、mPOSベンダーにとってもメリットのある仕組みを検討している。
 すでに、mPOSベンダーを中心に新サービスの打ち合わせをする中で、初期投資を肩代わりする必要もなく、故障した場合の交換や、端末の機器の設置の必要もない「手離れの良いサービス」であることが求められており、市場に投入した場合ニーズは高いと見ている。清水氏は「加盟店にCOTSを使っていただき、利便性を実感してもらうためにも、多くの加盟店を顧客に持っているmPOSベンダーにCOTSを担いでいただくサービスを準備していきたい」と話す。
 COTSは、クレジットカードのタッチ決済、FeliCa電子マネーによる交通系ICカードによる決済が可能で、それに加えて、NTTデータはQRコード決済も同じアプリ上でできる仕組みを目指したい考えだ。清水氏は「磁気やICカードの決済に対応するためには、CAFIS Archのような専用端末が必要になりますが、それに加えてCOTSを利用いただくことで、混雑時のレジ対応やイベント店舗限定で利用いただくなどのケースでも準備負荷なく対応できるようになります。また、これまで現金決済しかしていなかった飲食店や小売店にCOTSを利用いただくことで、軒先での弁当販売や、移動販売などの新しい店舗の在り方にチャレンジしやすくなると考えています」と話す。

大企業向けにはPOS連携や
サブ機利用などカスタマイズ提供

一方、NTTデータが大企業向けに検討しているCOTSを活用したソリューション提供の方法については、大きく2種類を構想している。一つ目はPOSベンダーのパッケージの中に決済アプリを組み込む方法で、二つ目は大企業の顧客に直接提案し、既存のキャッシュレス決済環境に、COTSの機能をアドオンする方法だ。

大企業は、チェーン展開する店舗ビジネスについて、オンラインオーダーやPOSの活用などの店舗DXを軸にした接客力の強化に乗り出している。それを後押しするには、NTTデータのクラウド型総合決済プラットフォーム「CAFIS Arch」など既存の専用端末を母機として使いながら、サブ機として、機動力のあるCOTSを導入して、POSアプリや接客アプリに連携する方法が想定される。

これによって、店舗スタッフが接客をしながら、シームレスに会計を行うなど、店舗DXを高める一方、消費者には、新たな決済体験を提供することができる。清水氏は、「まずは、2023年内を目途に、中小の事業者様をメインターゲットとしてスタンドアローンでのCOTS利用拡大を目指し、OEM対象となる各社様と準備を進めています。その上で、POSとの連携についても、開発を進めていきます。大企業向けは各社個別の要求が強いので、カスタマイズの対応にチャレンジしていきたいです」と意気込む。

CAFIS Archなど自社のシステムだけではなく、他社システムとの連携も進めることによって、サブ機だけの発注にも対応する。清水氏は「将来的には、配膳ロボットに決済機能を搭載したり、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の決済機能としても活用するなど、DX時代の新しい決済シーンを創出していきたい」と意欲を示している。

デジタルネイティブ時代のスタンダード決済 COTS

セキュリティ対策に万全を期す
COTSの新ルール制定を検討

NTTデータは、COTSを活用した新サービスの準備として、セキュリティ基準の開発・管理などを手掛けるグローバル組織であるPCI SSC(Payment Card Industry Security Standards Council)が、COTSデバイスを利用した決済ソリューションに求められるセキュリティ基準として公開した「PCI CPoC」への対応を済ませた。

COTSは、NFC機能を利用してクレジットカードを読み取るため、スマートフォンなどの機種ごとに読み取りやすさが異なる点を考慮しなくてはならない。清水氏は、「すでにお手持ちのスマホなどを決済端末としてご利用いただく“デバイスフリー”な環境を作ることがCOTSの本質だと捉えています。従って、機種ごとに読み取りやすさが異なる点をどのようにサポートできるかが、サービス価値になると考えています。とはいえ、最低限のガイドとして推奨機種やNFC非搭載のため利用不可である機種を告知する仕組みについて検討しています」と説明する。

続けて「“デバイスフリーな環境”を普及させるためには、従来の専用端末を前提としたレギュレーションによるサービス品質の担保ではなく、COTSによってハードウェア主体からソフトウェア主体の世界へ移行していくことを前提としたレギュレーションの制定が必要であり、NTTデータは国際ブランド/電子マネー事業者/端末メーカー/アクワイアラと幅広く協議・検討を進めております」と話す。

また、加盟店で不具合が生じた場合の対策にも万全を期す。これまで、決済業界が提供してきた問い合わせの「Q&A」のサービスレベルではなく、市販のスマートフォン並みのわかりやすいインストラクションにまで引き上げる方針だ。具体的には端末の設置導入というプロセスがなくなるため、初期設定はマニュアルを読まずとも画面に従って操作するだけで完了できるようにし、エラー時は、エラーコード番号だけを示すのではなく、対処法についても専門用語を使わずわかりやすく説明するなど、従来のQ&Aを徹底的に見直すことで、加盟店からの問い合わせを減らしていくことを目指す。店員向けに、トラブルが起こりにくいタッチ決済の方法などもアニメーションや動画を使ったインストラクション機能の搭載も検討している。

納得感のあるサービス利用料を検討
新たな市場を切り開く存在に

NTTデータが、COTSのプラットフォーマーとして検討している新サービスのビジネスモデルは、これまでの決済端末のビジネスとは全く異なる形を目指すという。これまでは、店舗に1台の決済端末の設置だったが、COTSデバイスは1店舗に複数台を設置するケースも予想されている。利用料金の設定は現在算出中だというが、個人のスマホユーザーがアプリを使う時に支払う料金に近いレベルにしたい考えだ。

これまで、大企業向けの決済ビジネスを中心に展開してきたNTTデータだが、今回のCOTSビジネスを機に、中小企業のキャッシュレス化や、現金払いにしか対応していなかった小規模事業者向けのキャッシュレスサービスにも手を広げていく。これは、自社のビジネス拡大はもちろんのこと、日本のキャッシュレス化推進に向けた「底上げ」に貢献しようという強い意志の表れでもある。

清水氏は「NTTデータはキャッシュレス決済の市場を変えるという、明確で強い意志を持って、COTSに取り組んでいます。現時点では、COTSのプラットフォーマーとしてビジネスを展開する競合企業は、日本国内では見当たりません。海外でCOTSの事例は先行しているので、海外ベンダーが日本で同様のビジネスを展開する可能性があると考えています。しかし、電子マネーやPOS連携に代表される日本固有の特異性はあるので、海外ベンダーとも競合というより協業関係を構築できるように、交渉していきたいと考えております」と話している。

NTTデータはキャッシュレスプラットフォーム「CAFIS」を通じて、日本のキャッシュレスビジネスを牽引してきた。今後普及が期待されるCOTSにおいても新たな市場を切り開く存在となりそうだ。

■お問い合わせ先
株式会社NTT データ
IT サービス・ペイメント事業本部
カード&ペイメント事業部
〒108-0073 東京都港区三田3-10-1
アーバンネット三田ビル4F
URL:https://solution.cafis.jp/contact/

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