2023年5月23日8:00
京王電鉄と京王パスポートクラブでは、2022年10月から、サービス名称を「京王グループ共通ポイントサービス」から「京王ポイントサービス」へ変更し、京王グループ外へのポイントサービス展開を開始した。両社では、京王ポイントの付加価値向上に力を入れており、2023年秋には住信SBIネット銀行と連携して、金融サービス「京王NEOBANK」の提供も開始する予定だ。
鉄道グループ共通ポイントの先駆けに
クレジットカード会員は3つのポイントがお得に貯まる
京王グループは、京王線・井の頭線の沿線エリアを中心に、鉄道、バス、タクシーといった運輸業、京王百貨店、京王ストアといった小売業、不動産業、レジャーサービス業などを展開している。京王ポイントは前身となった京王グループ共通ポイントが2002年にスタート。現在は複数の鉄道事業者が展開する鉄道のグループ共通ポイントの先駆けとなった。京王パスポートカード会員は2022年3月で162万人、23年3月で166万人を有する。
会員の種別として、クレジットカード会員は約37万5,000人、現金カード(もしくはモバイル)が約124万人となる(2022年3月時点)。中でも三井住友カードと提携して発行する「京王パスポートVISAカード」は、「京王のお店で、クレジットでお支払いなら、ご利用店舗でのポイントに加え、クレジットポイント(ともに京王ポイント)、三井住友カードの『Vポイント』という3つのポイントが付与されます」と京王パスポートクラブ 取締役 経営管理部長兼システムセンター長 小野郁恵氏は説明する。
京王パスポートカード会員の属性として、50代、60代、70代で6割以上を占める。また、クレジットカード会員は女性比率が高い。京王パスポートクラブでは、年間8割の稼働を誇るクレジットカード会員の獲得に特に力を入れている。
さらに、デジタル化への取り組みとして、スマートフォンアプリ「京王アプリ」もアイリッジと連携して提供している。利用者は、京王パスポートカードを登録すると、京王ポイントのデジタル会員証機能を使用可能だ。ポイントの残高や利用履歴も京王アプリで確認できる。京王アプリは20代、30代の利用が目立ち、若年層の獲得に貢献している。また、今後は40代以上の利用も伸びていくと見ている。
「京王ポイント」をささはた商店街から付与
沿線での相互送客を目指す
「京王ポイントサービス」は、定期券購入や交通IC電子マネーの利用に加え、京王沿線約750店舗で「貯まる・使える」サービスだ。貯めた京王ポイントは、1ポイント=1円から百貨店やホテル、スーパー、書店など、さまざまな対象店舗で利用可能だ。
これまで京王パスポートクラブは、ポイント対象店を京王グループおよびグループ施設内店舗に限っていたが、2022年10月にポイントサービス名称を「京王グループ共通ポイントサービス」から「京王ポイントサービス」に変更し、グループ外の店舗でも利用できるようにした。京王グループは沿線で密度の濃い会員組織が強みとなり、沿線に特化した店舗を有していたが、ポイントの外部開放により、京王沿線のさまざまな生活シーンで利用してもらえると考えている。
第一弾として2023年4月から、渋谷区 西原・幡ヶ谷・笹塚商店街連合会(以下、ささはた商店街)と連携し、西原・幡ヶ谷・笹塚エリアの8つの商店街に「京王ポイントサービス」を導入した。京王電鉄 経営統括本部 IT管理部 カード担当 課長 藤川岳人氏は「若年層を含む、新たな顧客層の開拓と既存のお客様、および沿線の活性化まで見据えています」と話す。ささはた商店街では、2008年から、会員登録を行えば手持ちの「PASMO」「Suica」がポイントカードに兼用できる独自ポイントサービス「ささはたポイント」を運営してきたが、3月末で終了した。これに伴い、利用者が貯めた「ささはたポイント」は「京王ポイント」に移行している。
同商店街を皮切りに、今後は、京王線沿線の小売、飲食、サービス業などに幅広く「京王ポイントサービス」に加盟してもらいたいと考えている。加盟店舗にとっては、他の加盟店からの送客や電車・バス利用者をはじめとした見込客の増加が期待できるという。
「stera terminal」でポイント付与が可能
加盟店舗は商圏会員へのアプローチも可能に
加盟店舗は三井住友カードの「stera terminal」を利用してポイントの付与が可能だ。すでに「stera terminal」には京王ポイントのアプリが標準で搭載されている。また、クレジットカード等の決済は三井住友カード、PASMO等の交通電子マネーは京王電鉄と契約すれば、1台でポイントと各種決済サービスの導入が可能だ。
加盟店募集は、京王グループをはじめ、既存のPASMO電子マネー加盟店、沿線の商店街などを中心に行っている。外部加盟店で京王ポイントが付与された場合、他の共通ポイントと同様に、加盟店の取扱高の数%を京王パスポートクラブに支払う仕組みだ。藤川氏は「ポイント事業で収益を上げることよりも、沿線を如何に活性化させるかを主目的にしています」と述べる。
なお、加盟店舗に対しては、京王パスポートカード会員をターゲティングして、ダイレクトメールを発送するといったマーケティング支援も可能だ。また、利用者の属性など、レポーティング機能の提供も要望があれば行っていきたいとした。
「京王NEOBANK」で若年層との接点強化
デビットカードで日常利用を促す
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