2023年5月30日8:30
ラックは、2023年5月24日に記者説明会を開催し、自社が運営する金融犯罪対策センター(Financial Crime Control Center、以下:FC3)が不正利用される銀行口座のAI検知技術を開発し、金融犯罪対策ソリューション「AIゼロフラウド(AI ZeroFraud)」に組み込んでサービス提供を開始すると発表した。
追加認証やルールよりも犯罪抑止力が飛躍的に向上?
業界横断のプラットフォームを目指す
ラックはサイバーセキュリティ対策全般を行っており、特に金融機関は被害が金銭に直結するため、重点的に対応している。金融システムや企業内のインフラを守ることは重要だが、喫緊の課題として金融機関の利用者が標的になる被害が発生している。利用者が騙され、資金が抜き取られる被害が起きている。ATMを用いた送金をさせる特殊詐欺、フィッシング詐欺と携帯電話ごとの乗っ取り、銀行アカウント不正アクセスの合わせ技となるSIMスワップといった金融犯罪手口の多様化がみられる。
ラック 代表取締役社長 西本逸郎氏は「金融犯罪を防ぐポイントは、犯罪資金の流れを断つこと」だと話す。被害者の口座から不正口座への流れを断つことにより、不正を未然に防止する。この切り札となる新技術がAIによる不正口座の検知となり、機械学習によって犯罪のお金の受け取りを防止するという。
続いて金融犯罪対策センター センター長 小森美武氏がAIによる不正口座の検知の概要について紹介した。ラックの金融犯罪対策センター(FC3)を2021年5月に立ち上げた。金融機関の金融犯罪対策に精通したメンバーを有しており、AIと融合してコンサルティングサポートを行う。
金融犯罪対策の状況として、フィッシング、不正送金、クレジットカード不正など、新たな金融犯罪の手口を繰り出す犯罪者とのイタチごっこが続いている。特にこの1~2年で犯罪手口の脅威が増えたという。その結果として、金融機関の防御力が低下してきている。こうした中、2022年のインターネットバンキングの不正送金や特殊詐欺による被害額はそれぞれ約15億円(前年比+7億円)、約361億円(前年比+79億円)と増加傾向している。
これまで金融機関が有効だった対策が有効ではなくなっており、手口の進化によって、多要素認証や追加認証などの防御力が低下していると小森氏は考える。不正検知でも「従来型のルールの検知は防御力が低下している」としたうえで、「実際に、不正取引が成立しやすくなっています」と小森氏は断言する。一方で、AIを用いたものであれば、不正阻止する確率が高くなるとした。
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