2023年6月9日18:46
トランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)は、視聴者の反応分析によるサイネージ広告等の効果測定のため、新技術を開発し特許を取得した。これはディスプレイに表示された情報に対する通行人等の不特定多数の人々の訴求程度情報を把握することができるシステムに関するものだ。
この新技術の実用化において、分析の精度向上のため、TMNはAI顔認識エンジン「FaceMe」を提供するCyberLink Corp.(本社:台湾新北市、以下 サイバーリンク)と技術提携を行った。
TMNは、決済とマーケティングを融合させる情報プロセシングを推進しており、その一環としてIoT技術に関する研究開発に注力している。IoTカメラから得られる顔認識情報や表情情報を購買データと組み合わせることで、マーケティング分析の詳細性と精度を一層向上できると考えており、これを実現するため、2021年から社内売店などで顔認識に関する実証実験を行い、この新技術の開発に取り組んできた。
今回、その具体的な応用方法と実用化に向けた一歩として、サイネージディスプレイに表示された情報に対する視聴者の反応(無関心、注目、納得など)を、IoTカメラを用いて推定するシステムを開発し、特許を取得した。同システムにより、リアルタイムで視聴者の反応を把握し、それに基づく広告効果の測定および検証といった従来のデジタル広告の課題解決につなげることができるという。今後、DSP(Demand-Side Platform)との連携により、OOH(Out of Home)広告に対する視聴者の反応をオーディエンスデータとして活用し、デジタル広告のさらなる効果向上に貢献できると考えているそうだ。
具体的には、ディスプレイの前を通行する不特定多数の人々を、IoTカメラを用いて顔の動きを計測し、そのデータを新たに取得した特許を応用したTMNの独自AIアルゴリズムで分析する。これにより、ディスプレイに表示された情報に対する視聴者の反応(無関心、注目、納得など)を、ディスプレイの画面表示エリアごとに時間軸で推定することが可能ととなる。
効果として、年齢、性別情報、時刻情報も同時に取得することが可能で、サイネージ広告やプレゼンテーションなどで、視聴者の反応やその他の情報をこれまでにない詳細度で可視化することができるそうだ。どのシーンのどの情報が注目を集めたのかを正確に把握し、その情報を効果測定に活用することが可能となる。視聴者の反応をリアルタイムで把握し、その情報を活用することで、広告主はより効果的な広告戦略を立案できるだけでなく、視聴者に対しても価値ある情報を提供することが可能となる。
今後、表情分析の範囲を興味や納得に加え、さらに広範に情報の受け取り手のさまざまな感情を分析していく。また、このシステムを活用することで、反応に合わせたコンテンツを配信するなど、マーケティング施策にも連動させることも検討しており、新サービスの提供を目指し、広告配信ソリューションや視聴者の行動データを活用した多様なソリューションの開発にも取り組んでいくそうだ。
さらに、TMNはあらゆるデジタルデータのゲートウェイとなることを目指し、IoTカメラによる情報や決済情報などを取り扱うことで、情報プロセシングに関する技術やノウハウを積み上げていきたいとした。