2023年7月25日8:30
島根県出雲市では、旅前・旅先でのふるさと納税を実現する「旅先納税」を導入し、その返礼品である電子商品券「いずもe街ギフト」の発行を2023年7月18日より開始した。なお、出雲市は、2022年11月に締結したギフティと日本航空(JAL)との業務提携契約のもと、両社の協業により旅先納税を採用した初の自治体となった。
スマホから即座に寄附できる
開始時点で53店舗で利用可能
「いずもe街ギフト」は、スマホから即座に寄附ができ、電子商品券を受け取り、地域で利用できる、観光を楽しみながら地域経済に還元できる電子商品券だ。同仕組みはeギフトサービスを提供するギフティが提供している。利用者は、専用サイトにアクセスし、クレジットカードによる決済で5,000円から100万円までの全8種類の金額の中から寄附が可能だ。寄附者には、寄附額の30%分の金額の電子クーポンをメールアドレス宛に返礼され、スマートフォンを介して出雲市内の加盟店で利用できる。加盟店では、宿泊施設、飲食店、地場産品を扱う土産店において1円単位で利用が可能だ。開始時点では、出雲大社周辺のホテル、飲食店、着物レンタルや和菓子作り体験など53店舗が加盟店に登録しており、随時増加予定だ。
全国的にもふるさと納税の寄附額は伸びているが、出雲市でも令和4年度は前年度から3億円伸びて、年間目標の10億円を突破した。既存のWebサイトを伸ばすことに加え、寄附者のニーズに沿った利用しやすい仕組みが大切だ。島根県出雲市 市長 飯塚 俊之氏は「いずもe街ギフトでは、旅行に出かける前はもちろん、出雲に来訪されてからも簡単にふるさと納税ができる仕組みです。魅力的な特産品、ブランド品、イベントでも支払いが可能です。現在、出雲市内53店舗の加盟をいただいていますが、より多くの皆様に加盟していただき充実したものにしていきたい」と意気込みを見せる。
縁結びの街、出雲としてコロナ前の状態に戻ってきており、旅先で気軽に寄附できるふるさと納税の仕組みはさらに伸びるとみている。また、ふるさと納税をしてこなかった人も利用してもらえると期待している。観光客も含め、より多くの人に認知してもらうことが重要となるが、日本航空の協力を得て、旅マエ、飛行機の機内などで告知してもらうことを心強く感じているそうだ。周知に関しては、市のSNSの活用、観光施設にパンフレットを設置するといったことも予定している。
ふるさと納税未実施者88%にも「旅先納税」を訴求
JALとの業務提携契約のもと出雲市で導入へ
ギフティは、デジタルギフト「eギフト」を主軸とした「eギフトプラットフォーム事業」を展開しており、スターバックスジャパンなどの大手流通企業で採用されている。同社の「e街プラットフォーム」では、電子化した地域通貨などを流通可能であり、特定の地域の加盟店のみで利用できる電子商品券の発行や流通にも対応している。
ふるさと納税は自治体間の競争が進んでおり、平成20年度の81億円から令和3年度は8,302億円と、14年間で100倍の寄附が生まれている。また、令和4年度の課税における実績として、ふるさと納税の控除を受けた人は約741万人だが、未実施者は約88%いる。そのためギフティでは、従来の各地の名産品を配送するふるさと納税に加え、ふるさと納税対象者約5,950万人にも「旅先納税」を訴求し、納税額・納税実施者の増加を促し地方創生に資する取り組みにしていきたいとした。
ギフティでは、「旅先納税」に関するソリューションを2019年11月に発表し、コロナ禍で自治体への導入進捗に遅れが生じたものの、今回の「いずもe街ギフト」開始で30自治体が採用している。
また、2021年12月に「旅先納税」システムを導入する自治体間で広域化する「旅先納税 ID」を開始。2022年9月には、公式WebサイトとSNSの運用も開始している。
出雲市での「旅先納税」の導入は山陰地方初の取り組みだ。また、同事業は、2022年11月に締結した日本航空との業務提携契約のもと、両社の協業により「旅先納税」を採用した初案件となった。
出雲市には年間で約900万人の観光客が訪れ、そのうちの約半数がスマートフォンと親和性のある20~40代となっている。そのため、ギフティでは、ふるさと納税未経験の若年層にも、出雲市の魅力に触れたその場でスマートフォンを利用して寄附してもらい、旅を楽しんでもらいたいとした。
旅先納税のこれまでの成果は?東京の地場産品販売施設でも
スマホ決済事業者大手など参入も激化
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