2023年9月10日7:00
TISは、ベトナム国内のBiblioCafeでweb3技術を使ったNFTクーポンの実証実験を2023年7月19日~31日の期間で行ったと発表した。
TISが2023年4月に立ち上げたweb3関連ビジネスを推進する専門組織である「Web3ビジネス企画部」では、web3を活用した企業におけるビジョン実現に向けてさまざまな分野でのブロックチェーンを活用した事業に携わってきた。
今回の実証実験ではTISが全体の企画運営を行い、スタートアップ企業であるSUSHI TOP MARKETINGの「NFT One Shot」を使用して、TISの出資先であるTinhVan Technologies JSC.のサポートの下、ベトナムのハノイにあるBiblioCafeにてNFTを活用したクーポン施策を行った。各社がすでに保有している知見・技術・サポート体制を組み合わせて共創し、3社共同での事業企画議論開始からカフェでの実証実験まで約2カ月という短期で行った。
実証実験では、BiblioCafeの公式Facebookと、店頭で合わせて6種類のNFTを配布した。公式Facebookからは先着500名へ1種類のNFTを配布し、そのNFTを取得した人が実際にカフェに来店するとドリンクが無料で提供される。さらに、カフェでドリンクを購入した人へは、購入したドリンクに応じて、NFTを受け取るためのカードを進呈。そのカードでスタンプラリーページにアクセスし、NFTを集めていくと、次回のご利用時にドリンクを無料で提供を受けることができる。購入者に進呈するカードには、一回しかNFTを発行できないSUSHI TOP MARKETINGの「NFT One Shot」という知財を使いカードに印刷されたQRコードを読み取ることでNFTを取得する。
今回対象のBiblioCafeは、売上を伸ばすために中間価格帯から高価格帯へのシフトや新規顧客獲得を目指す一方で、大学生利用の夏季閑散期の集客課題も抱えている。また同カフェでは企業によるブロックチェーン/web3セミナー場所として使われることも多く先進的な者が集まっているが、ベトナムではブロックチェーン/web3がここ1、2年で注目されつつも、身近で使われていることはほとんどないのが現状だ。そのため今回、日本の先行事例を活用することで注目を浴びるのではないかと考え、実証実験を共同で行うことになった。
同実証実験を通して、web3技術を活用した消費者との新たな接点の創出や店舗体験の向上、店舗経営課題への貢献を検証し、飲食店業界のコロナ禍の影響を軽減し新たな展望を築くための一石となることを目指す。
施策を実施した7月のBiblio Café全体の売上・販売数量・平均単価は、前年同月比および閑散月と通常月との差異のいずれも改善し、売上は前年同月比で6%アップ、換算月と通常月の差異は10%改善が見られた。
新規来店顧客・販売数量のアップだけでなく、特定ドリンク購入でもらえるNFTを複数集めると特典が付与される施策も同時に実施し、このNFT付き特定ドリンクの平均単価はコーヒー+1.4%、ヨーグルトドリンク+2.7%と店舗全体平均を上回る単価アップを図ることができた。
これらの施策により、新規顧客獲得・販売数量アップ、売上単価アップ、閑散月対策のいずれにも寄与したものと考えられる。また、特定ドリンクは4人に1人がNFTを受け取った。
TISは自社サービス・プロダクトのご提供に加え、知財や技術ノウハウのあるweb3パートナーとの共創もあわせ、経営課題の解決に新たな技術をどう活用するかといった企画段階から利用者へ統合的に価値を提供する。
これまでは長い期間をかけて専用システムの構築を行うことが多くあったが、TISはweb3を活用することで不正利用を予防しつつ低コスト・スピーディで実現することを目指す。また、NFTを単に配布するだけではなく、経営課題の解決に活用していくそうだ。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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