2023年12月13日19:46
キャッシュレス決済サービスと情報プロセシング事業を推進するトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)は、新潟交通が運営する一部路線バスにおいて、利用状況可視化に向けた実証実験を開始した。
同実証実験は、新潟市の「令和 5 年度新潟市概念実証支援補助金制度」の支援を受け、新潟交通の協力により実施する。2023年12月8日~25日まで、一部路線バス車内にカメラを設置し、バスの利用情報を取得する。
TMNは、キャッシュレス決済を始めとするデジタルデータの利活用により、さまざまな社会課題の解決へつなげる活動を情報プロセシング事業として推進しているという。路線バスは、交通渋滞や天候など外部要因により定時運行が難しいことや、ピーク時とオフピーク時の需要の変動が大きいことなどから、適切な運行本数や車両配置が課題となっており、TMN は、正確な利用実態の把握がこれらの課題解決につながると考え、カメラを用いた乗降情報の取得を行うシステムを開発している。
これまで乗降情報(乗車人数および降車人数)や利用者の属性情報の取得は、主に調査員による手作業や、交通乗車用のICカード利用実績、乗降カウンターでの集計が活用されていたが、調査員による手間や属性推定のばらつき、現金支払い利用者が非該当となることなどから、正確な情報が取得できていなかった。データ取得を顔認識技術によりシステム化することで、人手によるばらつきなく、効率的かつ正確に取得できるようになる。地域、個人にとって快適な移動環境の創出につながるよう取得した移動関連データの利活用を促進していく。
同実証実験では、①乗降情報と②年代、属性情報(利用者推定情報)を取得し、システムの実
用性や、取得データの解析について検証することを目的としている。乗降時にカメラで撮影した乗客の顔画像を特徴量データ変換および暗号化し、暗号化データを車両内に設置された解析用制御部内に格納、保管する。加えて、乗車情報と降車情報を照合し近似した場合に乗降情報として利用者属性推定情報とともに記録するという。
なお、映像データ、特徴量データは外部に送信されることなく、バス内で乗降分析、属性推定のために使用し、TMN にて厳正に管理を行い、実証実験終了後速やかに削除する。また、特徴量データによる利用者の追跡は行わないという。
同実証実験を通じて、運用時における機器の性能確認を行う。さまざまな課題・問題点を抽出し将来的なサービス検討に役立てるそうだ。
新潟市概念実証支援補助金は、近未来技術等を活用した概念実証を行う者を支援することで、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みと「新しい生活様式」を見据えた新規事業の創出を図るために交付される。TMN が取り組む「AI/IoT カメラを用いたバス利用状況可視化事業におけるシステム概念実証事業」は、同補助金を活用して行うもので、バスに GPS センサーや IoT カメラを設置し、得られる情報をもとに、バスの運行情報や、車内の利用状況の可視化を目指す。
バスの利用実態を正確に把握し、さまざまなサービスへ連携することで、今後の地域公共交通計画の策定やサービス改善に活用することが可能となり、バスをより利用しやすい環境の創出につなげることを企図しているそうだ。