首都圏鉄道各社が沿線の多機能ロッカーサービスを強化、事前決済しQRコードで開閉(EC NOW)

2024年4月12日8:50

百貨店も有する首都圏の鉄道各社が、自社ECサイトで扱う周辺店舗などの商品を駅構内の多機能ロッカーで引き渡すサービスを強化している。利用者は事前にネットでクレジットカード決済し、ロッカーにQRコードをかざして商品を受け取る仕組みだ。グループが扱うギフトや鉄道グッズ、沿線飲食店のグルメや消費期限が近い食品などを出品することで、駅に物流ハブとしての機能を設け、鉄道利用者の利便性向上につなげる。

通販研究所 渡辺友絵

記事のポイント!
①東武グループは食品ロス商品の再販を駅構内無人ロッカーで実施
②「レスキュー価格」で販売予定
③西武HDは「BOPISTA(ボピスタ)」設置拠点拡大
④京王電鉄は「トレくる by KEIO」の商品を最短当日受け取り
⑤鉄道会社同士の協業によって商品幅を拡充へ
⑥鉄道配送網と駅構内の倉庫機能活用
⑦現状は割高感は否めない?

■消費期限が近い食品を駅の無人ロッカーを通じて販売

東武鉄道と東武百貨店は食品ロス削減のプラットフォーム「TABETE(タベテ)」を運営するコークッキング社などと連携し、2024年3月から東武東上線池袋駅構内のロッカーで消費期限が近い食品を引き渡す実証実験を始めた。東武百貨店池袋本店や周辺店舗が専用サイトに出品するもので、食品ロス商品の再販を駅構内無人ロッカーで行う取り組みは鉄道事業者としては国内初となる。期間は6月末までで、実証実験の状況により前後する可能性がある。

規格外や消費期限が近い食品を割引価格で提供するTABETEのユーザー数は約87万人で、加盟店はレストランやカフェ、ベーカリー、ケーキ店、弁当店、スーパーなど現在全国に約2,500店舗ある。今回の実証実験では、東武百貨店池袋本店食品売り場のベーカリーなどが参加する予定だ。

フードロスの軽減にもつながるため、通常の価格より割安な「レスキュー価格」で販売予定。ただ、1食あたり300円のサービス利用料がかかる。

利用者はまず専用アプリ「TABETE」をダウンロードし、希望商品を購入。予定した引き取り時間にロッカーへ行き、「TABETE」の受け取り画面にQRコードをかざして商品を受け取る。支払いは事前のクレジットカード決済だけとなる。

サービス利用時間は店舗が商品を出品してから20時まで、商品引取時間は20時から最終列車発車時刻までだが店舗により異なる。加盟店に取りに行くのではなく駅構内の無人ロッカーを利用するため、利用者は遅い時間帯でも待ち時間なく帰宅時に受け取ることができる。

フードロス軽減にもつながる(出典:東武鉄道)

■56拠点に設置したスマートロッカーはアプリで開閉

西武ホールディングスは、SPACER社との協業で展開するスマートロッカーで受け取り可能なサービス「BOPISTA(ボピスタ)」の設置拠点拡大に乗り出している。2024年1月には、西武線沿線の45駅を含む46カ所56拠点へと拡大した。

2021年2月から西武線駅や商業施設において、遠隔操作や事前予約、時間指定による開閉、温度管理などが可能な次世代型のスマートロッカー「BOPISTA」の実証実験に着手。駅機能の多角化をはじめ、配送網に支障が出る「2024年問題」やCO2軽減への貢献を目指している。

コストコの冷蔵品や冷凍品、京王プラザホテルのギフト、西武鉄道グッズといった商品のほか、ブックオフの買い取りやUNION WORKSの靴修理などのサービスに対応する。利用には、コストコは300円というようにそれぞれサービス料金がかかる。

利用には会員登録とLINE連携ならびに友だち追加を行い、ロッカーを開錠するために必要なアプリを事前にインストールする。生鮮食品などの冷蔵品にも対応が可能だ。

受け取り日時や預け入れ日時は5日後まで指定できるが、対応時間はショップやロッカーによって異なり、決済はクレジットカードのみとなる。BOPISTA の会員数(BOPISTA  LINE公式アカウントの友だち数)は、23年11月時点で1万人を突破している。なお4月から、BOPISTAの運営は西武鉄道に変更された。

CO2軽減にも貢献する(出典:西武鉄道)

■鉄道会社同士の協業で商品幅を拡充

京王電鉄も2022年8月から、LINE上に新設する専用ECモール「トレくる by KEIO」の商品を最短当日中に駅の専用スマートロッカーで受け取れる実証実験を始めている。同モールで扱う京王沿線の京王百貨店や京王プラザホテルの商品を鉄道で配送するもので、新宿駅や調布駅など6駅にロッカーを設置。商品納品後は翌々日の正午頃まで専用ロッカーに保管でき、夏場でも安心して受け取れるように温度管理機能を搭載している。

その後、沿線の有名カレー店やラーメン店の食品なども順次追加し、サービスを拡充。現在は菓子や酒類、地域の名産品や沿線飲食店のフードなど300点以上の商品を購入できる。決済はクレジットカードに限られ、商品代金のほか商品ごとにサービス利用手数料が発生する。

2024年1月からは西武ホールディングスとの協業に着手し、3月末までの期間限定で同グループが手がける「BOPISTA」が扱う「コストコ」商品の販売も開始。対象は冷蔵・常温での保管が可能な人気・定番の約30商品となる。

温度管理機能も搭載(出典:京王電鉄)

■まとめ

3社とも鉄道という配送網と駅構内という倉庫機能を上手に活用した鉄道会社ならではのサービスだが、便利である一方で利用者にとってはややマイナスな面もある。

いずれも支払いは事前のクレジットカード決済のみという点に加え、調理済み食品などが多いため基本的に商品の交換や返品は受け付けていない。さらに数百円のサービス利用料が発生することから、割高になってしまうことは否めない。今後は参加店舗のさらなる増強やポイント制度の導入、決済手法の拡充など、現在のマイナス面をカバーできるような施策に期待したい。

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