2024年4月15日8:30
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、2024年4月9日に、独自技術「アプレット領域分割技術」に関する記者説明会を開催した。「アプレット領域分割技術」とは、SIM内において通信に必要となる情報を書き込む通信プロファイル領域と、アプリケーションなど通信以外の情報を書き込むアプレット領域を完全に分離して管理する技術であり、パートナー企業などがSIM の中に通信以外の機能を独自に実装できるようにした。同SIMはアイティアクセスが 2024 年 4 月より販売開始するクラウド型決済端末に採用されたという。
付加価値の高いSIM サービス提供を目指す
通信以外の機能を独自に実装可能
NTT Com プラットフォームサービス本部 5G&IoTサービス部 IoTサービス部門長 吉村秀幸氏によると、同社のIoTビジネスは、DXに資することを行う観点、顧客のサービスそのものを付加価値化、高度化することだという。
IoTデータ活用による価値創造として、測定、状態変化、稼働、機微、位置、動画像といった情報がある。同社では、IoT向けのネットワークサービス、クラウドへつなぐためのセキュアなゲートウェイサービス、その上のアプリケーションをトータルで提供するという。
現在、IoT向けのコネクティビティサービス(SIMサービス)は徐々にコモディティ化しているという。IoT市場が成熟するにつれ、標準化され広く普及してきた。また、価格競争や機能の充実化が図られている。サービス提供事業者は増加しており、付加価値を提供するパートナーやエコシステムへの期待も高まっている。NTT Comでは、付加価値の高いSIM サービスを提供するため、革新的なSIM アプレット領域活用の企画・開発に取り組んできたそうだ。
SIMはCPUやメモリ領域を持ち、OSやJavaアプレットの実行環境が装備されている。また、クレジットカードなどの高いセキュリティが必要とされるICカードやJavaカードの一種でもある。SIM内部へのアクセスは厳重な鍵で管理され、また、外部からの不正アクセスや情報の改ざんが困難であり、物理的に開封した場合は、チップの回路が破壊される構造だ。
NTT Comの独自技術である「アプレット領域分割技術」は、通信プロファイルとアプレット領域を分割して、アプレット領域に顧客(IoT事業者等)が独自のプログラムを実装できるように分割できる技術だ。同部 村田一成氏は「特にIoT事業者はアプレット領域を活用いただくことでSIM自体に新たな付加価値を持たせることが重要で、課題の解決や新しいビジネスモデルの創出などが期待できます」と説明する。ユーザー独自に鍵管理を行うことで、通信以外の機能を独自に実装可能だ。
ユースケースの1つ目が、高可用性(キャリア冗長化)だ。NTT Comが商用化したActive Multi-access SIMでは、端末への特別な設定なしにキャリアの冗長化を実現するという。例えばSIMアプレットで 回線が故障した際、故障の検知、メインキャリアからサブキャリアへの切り替え、一定時間後の切り戻しを自動的に行う。
また、運用保守性の向上で、デバイス追加開発なく位置情報や回線品質などの動的情報の抽出およびデータ活用が可能だという。さらに、機器設定作業の自動化・省力化だとした。
アイティアクセスはSIM搭載端末を20万台展開へ
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機密情報の安全な取り扱いでは決済への活用が進んでいるという。例えば、決済や個人情報などの秘匿性の高い情報をSIM内の安全な領域で処理できる。活用例として、クラウド型決済端末のセキュリティ対策をSIM で実施し、端末製造コストを削減するそうだ。
現在、キャッシュレス決済は成長しているが、少額決済ニーズはさらに増していく。少額決済端末の展開時の課題として、村田氏はセキュリティとコストを挙げた。決済には非常に秘匿性の高い情報を保管、処理する必要がある。これらの機微情報を取り扱うためのセキュリティ対策が求められる。セキュリティ対策には相応のコストが必要となり、スケーラブルなビジネス展開を阻む要因となっていた。
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