2024年5月8日8:10
D2C(ネット通販)事業者にクラウドサービスなどを提供する売れるネット広告社は、「後払い決済(BNPL)」サービスに参入する。スクロールグループで後払い決済事業を手がけるキャッチボールと組み、近く導入の予定。さらに矢継ぎ早に新規施策を打ち出し、拡大するD2C市場の取り込みを図っている。ほかにもD2Cを有望視する複数のB2B事業者が後払い決済サービスを積極的に導入しており、BNPL市場はさらに広がりそうだ。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①D2C(ネット通販)事業者向けにBNPL開始
②「コンビニ決済(後払い)」デフォルトでCVR(申込率)最大化
③10年以上D2C業界に携わってきたネットワークと知見を活かす
④インフルエンサーと協業して事業者とのマッチング実施
⑤B2B事業者が後払い決済サービスの導入や強化
⑥D2C事業者の決済の選択肢を増やす
⑦D2Cの市場規模はさらに成長?
⑧定期購入やLTVとの親和性高い
■キャッチボールと組み請求・回収業務を代行
売れるネット広告社は2023年4月、D2C(ネット通販)事業者向けにBNPL(Buy Now,Pay Later)と呼ばれる「後払い決済」サービスを開始すると発表した。EC サイトで商品を購入し、商品を受け取った後にコンビニエンスストアなどで代金を支払う決済手法で、近年は国内・国外問わず利用者が増加。矢野経済研究所の調査によれば、BNPL 市場は2026年度に1兆9,930億円にまで拡大すると予想されている。
同社の「後払い決済」サービスでは、ユーザーがネットショップやカタログ通販で注文した商品の受け取り後、コンビニエンスストア・郵便局・銀行・LINE Pay 請求書支払い・FamiPay 請求書支払い・ゆうちょ Pay・PayB・楽天銀行コンビニ支払いを通じた後払いが可能。請求書発行や購入者への督促、問い合わせなど、請求・回収業務のすべてを代行する。
キャッチボールと共同で事業を運営し、加盟店の募集や管理は自社で行い、費用回収などの業務はキャッチボールが担う。2024 年7月期第4四半期中(2024 年5月~7月)のサービス開始を予定している。
売れるネット広告社はネット広告の費用対効果を上げたいD2C事業者に向け、売れるノウハウを提供するクラウドサービス「売れるD2Cつくーる」やコンサルティングなどを展開。化粧品や健康食品などを手がけるD2C事業者を中心に、2023年7期末時点で約170社と取引がある。
同社はこれまでも、「売れるD2Cつくーる」にネットプロテクションズのNP後払いなど複数の後払い決済サービスを導入。広告が入口の新客獲得施策では、「コンビニ決済(後払い)」をデフォルトとすることがCVR(申込率)の最大化につながっているという。今回、後払い決済手段を拡充し、クライアントのニーズに対応できるようにする。
■D2Cに向けて各種取り組みを強化
2010年創立の売れるネット広告社は、2023年10月に東京証券取引所グロース市場に新規上場を果たした。その後、D2C事業者向けにさまざまな施策を相次ぎ発表している。
まず同年12月には、新規事業子会社として「売れる越境EC社」を設立。新型コロナや円安、インバウンド需要の増大などを背景に、海外に販路を求める事業者が増えていることに対応し、D2C事業者の海外市場進出をサポートする。
D2C業界に特化したM&A仲介事業を手がけるため、2024年1月には100%子会社の「売れるD2C業界M&A社」を立ち上げた。10年以上D2C業界に携わってきたネットワークと知見を活かし、業界の発展につながるようなマッチングを目指す。
さらにSNS分野の強化を狙い、同月に「インフルエンサーチーム」を設けた。D2Cのマーケティング手段として大きな注目を集める人気のインフルエンサーと協業し、事業者とのマッチングを行う。SNSやライブコマースを通じてD2Cの販売促進に取り組むのに加え、イベント・グルメ・地域PRなど幅広い領域の支援を行っていく予定だ。
■B2B事業分野で進む後払い決済サービス
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